第七十二話 「謎の呼出」
人力じゃ行けないからな、それくらい多種族の領域に行くことはタブーらしい。
しっかし本当、時間が溶ける溶ける。
1ページ捲るごとにいろんなことが書いてある!
屋敷にはない、魔族の世界でもない魔法!
ワクワクしないわけがないだろ!
うん、うん、うん…。
——でも難解だな…分からなくはないけど、まだ理解するのには時間がかかりそうだ。
リーブは寝ている…数分で寝るってことはよほど疲れていたんだろう。
ここは静かだから眠くなっちゃうのは同感だなぁ。
「君、リヒトかい?」
ん? 誰か俺の名前を?
「——って、うわぁ?!」
「やぁ、君がリヒト君かい?」
「は、はい…だ、誰ですか?」
近いな、顔が。
「すまないすまない、私は魔防軍という組織の一員でね、君の父親からリヒト君を連れてくるよう命令を受けてね」
「え、父様が?」
「すまないが、一緒に来て欲しい、横にいる従者も一緒で構わない」
「ど、どこへ行くんですか?」
「魔防軍の本拠地だ、この都市にはない」
「な、ならもう一人、フランという専属メイドがいます、フランが来るまで待ってほしいです」
「うーむ、仕方ない、だが出来るだけ急いで欲しい」
「わ、わかりました」
なんなんだ一体、父様が俺に何の用だ?
まさか家出したことについてか?!
流石の親バカと言っても何も言わずに自立と称して家出したのには怒ってるか…。
あぁ…そうだ宿の事どうしよう…。
「さて、まずは謝罪をしたい、それとこうなった訳も一緒に説明する」
「リヒト、君の父親であるグラナト様は魔防軍の第六部隊の隊長でね、君の手助けをしたいと言って連れて行くことになった、すまない」
「私の予想だが、グラナト様は久々に会いたいと理由と旅の手助けをしたいという二つの理由があると思っている」
「私は小耳に挟んだ程度だが、君が家出じゃなく、何らかの目的を持って旅を始めたという解釈だが、それで間違いないのか?」
「すまないな、質問ばっかして」
「いえ、そんなことは」
「——目的はあります、ですがそれは他人に共有してどうにかなることではないので」
「——そうか」
* * *
「グラナト様、落ち着きがないですよ」
「親バカでいい」
「何も言ってません」
「——はぁ…こういう時だけグラナト様は冷静じゃいられなくなるの、よくないと思います」
「——親バカでいい」
直す気はないと…。
リヒト、一月も経っていないが、きっとリヒトは何か困難な状況に直面しているはずだ!
待ってろ! ここへきた時、ばっちりと問題を解決させてやる!
* * *
「ここで少し待っていて欲しい」
「は、はい」
ふと、リヒトは窓の外を見た、そこには見たこともないくらい大きな建物が並んでいた。
一つではない、今見えるだけで5。
間違いなく着いたのだろう、魔防軍、その本拠地に。
リヒト達を乗せた馬車はゆっくりと大きな門を通って敷地内に入って行った。
「着きました、ここは私たち第六部隊の本庁、ここの最上階に隊長のグラナト様がいる」
「ここから一気に最上階まで転移ができる、全員ここに乗ってもらいたい」
「は、はい!」
* * *
「——ベーゼ様、何か…とんでもない人物がやってきましたね」
「——シェイン安心しろ、あっち側ではない」
「底知れない力、そそるが今接触する必要はない」
「すごいな、まるで綿毛のようだ」
「——ベーゼ様でも底が分からないんですか」
ふふふ、、潜入成功!
さ〜て、計画に必要なのは内部の情報が書いてある書類だよね。
てか私、戦闘要員なのにこんな所に潜入できるって、もしかして才能ある感じ?
まぁいいか、バレる前にちゃっちゃと必要なものを見つけ出そう!
見つかっても殺しちゃえばいいけど、後片付けが面倒くさいし、できればバレずに行きたい!
* * *
「この扉を開けたらグラナト様がいる、ってことで開けるぞ」
「お、お久しぶりです」
「リヒト〜! 会いたかったぞ〜!」
家を出てから全然経ってないのに…忘れていたけどこの人親バカだった…。
「グラナト様、見苦しいです…隊員がいたらどうするんですか、冷静沈着なイメージが崩れますよ」
「冷静沈着?」
「あぁ、ここじゃ冷静沈着で強い隊長というイメージでやっているんだ」
な、なるほど…納得し難い…。
「ここに呼んだのはズバリ! リヒト、何か困っていることはないか? あるだろう?」
「ない…」
「ないだとぉ!?」
「そんなことはないだろ! 絶対何かあるはずだ! 何かないのか?」
「困っていることはないですね」
「ぬおぉぉぉ!?」
「グラナト様、頭を抱えてしまいましたね」
「何かが堪えたんだろう」
その後、グラナトはリヒトに色々と聞きたいこと聞いた。
そして今は、グラナトはリヒトにせっかくここへ来たんだから、色々と教えてやると言って無理やりリヒトを連れ歩かせている。
「魔防軍は、とても大事な組織なんだ」
「リヒトはまだ考えなくてもいいんだが、将来人間と魔族が戦争をした時にまとまった戦力がないといけないからな、あとは魔族の世界での色々な事もやっているぞ、治安維持や環境整備とか」
——戦争か…。




