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第六十一話 「一級魔法使い試験:二次試験」


 ゲートを通った先には大きな闘技場に繋がっていた。

 大きな歓声が広がり、これからの展開を大きく期待しているようだ。


 おぉ…おぉ…!


 アークストン家に産まれた神童の話は、噂止まりだが、各地へ飛び交い、本当かどうかと思われていた。

 だが、それが今目の前に実在している。

 その事実が、より一層観客たちのボルテージを上げる。

 そして…。


「君が初戦の相手か」


 反対側から同じくゲートを通ってきた、落ち着いた風貌の青年が登場した。


「僕の名前は[ハンス]だ、よろしくね」

「あ、うん、よろしくね」

「僕はリヒト、アークストン・リヒト」


 なるほど、これはこれは…。

 まさか噂になっている神童が初戦の相手とは…。

 これは少々、楽しみになってきた。


「それでは両者、位置についてください」

「それではCブロック9番の試合を始めます」

「——始め!」


「「はぁあ!!」」


「両者とも、開始早々いきなり大きくぶつかり合った!」


 最初の一撃で、、。

 相手の実力の3割がわかる…。


 さぁ、神童は立っているのか…。


「ふぅ…」


 無傷…か。


「えいっ!」


 追加攻撃…!


「これは強烈な一撃が当たったー!」

「——と、おぉ!? ハンス選手、ダメージなし! そして消えたぁ!」


 絶対に当たったはずなのに、当たってない…。

 まさか…。


 僕の家系は代々幻術魔法を扱う家系だった。

 だから僕も得意とする魔法は…!


 もう一度試してみよう…!


「レヴォルテ!」


「レベル4の強力な魔法だぁー! これは流石のハンス選手も——」


 レベル4の魔法をあんな速く撃てるなんて。

 やっぱり神童というのは間違いじゃなかったようだね…。

 でも、そう簡単に尻尾は掴ませないよ。


「いや! またもやダメージなしだぁ!」


 もしもあれなら…。


「リヒト選手、ハンス選手に向かって走り出したぁ!」

「バランス、レヴォルテ!」

 

 至近距離でやっても同じだよ。


「おーっと! ハンス選手、ついにダメージを負ったぁ!」


 な、なぜ…なんで傷を…。


 俺が使ったのは対象と自身の状態を入れ替える魔法だ!

 例えば、対象が透明になっていたとして、俺がバランスを使ったら、一時的に透明の要素を逆にすることができる。

 そうすれば一時的に俺が透明になり、透明だった対象は実体化するというわけ。


 だから今、相手は生身の俺と同じ状態、俺はおそらく実態をなくす幻術系!

 攻めて攻めて攻めまくれ! 今しかない!


「ツルマイ! ライジン!」

「リヒト選手、レベル4の魔法を次々と出し、一気に決着をつける気かぁ!?」


 守るしかない…!


「くっ…ぐっ…うぅ……」


 防御魔法が、、出せない…!?


 気づいたな、、バランスをかける前に、あらかじめ自分にデバフをつけておいた。

 だから今、ハンスは魔法を撃つ時に制限がある…!


 く、、策士…! さすが神童…。

 これは流石に負けだな…。


「はぁあ!!」


「——勝負ありぃぃい!! 勝者、リヒト選手です!」


 大きな歓声の中、リヒトはゆっくりとゲートへ歩いて行った。



—控室—


「ふぅ…」


 なんとか勝てたな。

 幻術系の魔法だって気づかなかったら、普通にやられてたな。


「次の試合まで、待機、待機」


 後何回あるんだ…。

 1、2、3、、あと3回か…。

 せっかくなら横になって一眠りしたいけど。


「ここ、ふかふかのソファないしなぁ…」

「あるのは硬〜いベンチだけ」


 まぁ、なんとかして暇を潰そう。

 そうだ、生成魔法で魔法本を作ろう。

 読んだことのある本なら、作れるはず…!


「クリエイティブ」


 おっ! できたできた。

 さ〜て読むか。


「——白紙…」


 ならばもう一度!


「クリエイティブ!」


 今度は…!



「——読めない…」


 そっか、本に書いてあることを一言一句文字の配置も全て鮮明に覚えてないといけないしな…。


 しょうがない、じゃあ他のものを作ろう。

 木箱をたくさん作って、遊ぶか。

 ——なんか、子どもに戻った気分だ、、子どもだけど。



—1時間後—


「受験番号315番、受験番号315番、出番、出番」


「やっときたぁ〜」


 リヒトは重い腰を上げて、ふたたびゲートの前に立つ。


「よーし行くぞ!」


 ゲートを通ると、再び大きな歓声に包まれた。

 反対側のゲートが開き、対戦相手が姿を見せる。

 大きな歓声の中、両者は真ん中へいき、自己紹介をする。


「俺はラージャン、見ての通りパワー系だ」

「リヒト、アークストン・リヒト、よろしくね」

「あぁ、よろしくな」


「それでは両者、位置についてください」

「それではCブロック24番の試合を始めます」


「それでは、試合開始ぃ〜!」


 一気に行くぜ!


瓦解鉄槌(がかいてっつい)


「ぐあ…!」


 い、痛い…。

 一撃がすごい重い!

 防御魔法で防げるか…?


「くっ…!」


 ほぅ…?


「瓦解鉄槌!」


 おぉ…! 防ぐかぁ!


破岩鉄槌(わがんてっつい)!」


 えぇ!?


 無駄無駄ぁ! これは防御魔法貫通だ!


「ラガンテ!」

「くそっ! これで動きを封じたつもりかっ!」


 まずい、、手強いかも…。

 距離を取りたいけど、相手はどんどん距離を詰めていくタイプ…。

 動きを止めつつ、距離をとって特大の魔法を撃つしかない!


 何か考えているようだが、その隙は与えさせない。


乱震鉄槌(らんしんてっつい)!」


 これは当たったものを振動されるもの。

 人なら脳が揺れたりして一時的に行動ができなくなる。

 それに攻撃範囲も広いからこそ、相手の行動範囲も制限できる!


「ライコウ!」


 早いな…。


「ショウライ!」


 ぐっ…!? 雷か…!


「すぅ〜、、ふぅ〜、、」


「ラージャン選手! あれだけの雷の一撃を喰らったのに立ち上がったぁ! なんというタフネス!」

「これくらいじゃぁ俺は倒れん!」


 乱震の広範囲攻撃をいなして俺に一撃を与える…やるな。

 それに攻撃手段が雷属性に一貫してる、相手は俺の動きを止めようとしているな。

 まぁ、仕方ないことか。


「へっ、高まってきたぜ!」


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