2.リリアの独白 ― “終わり”と“始まり”の境界
――白。
ただ、それだけだった。
音も、風も、時間の流れさえも消えた世界。
空も地もなく、上下の区別すら存在しない。
けれど、そこにひとつの鼓動だけがあった。
それは、確かに生きている証。世界が滅んでも、なお鳴り続ける命の音だった。
リリア:「ありがとう、みんな……。
これが、本当の“終わり”なら――」
その声は、どこにも届かない。
けれど、同時にすべての場所へと広がっていく。
彼女の微笑は穏やかだった。
悲しみでも諦めでもなく、ようやく見つけた“赦し”の形。
リリア(微笑して):「きっと、次は“始まり”になる。」
その瞬間――
光の粒が、ゆるやかに彼女の周囲を巡り始める。
淡い蒼、桜色、黄金の輝き。
それぞれの光が、かつて彼女と出会った人々の記憶を映していた。
「信じてるよ」
「もう泣かないで」
「君が選んだ愛を、祝福する」
声が重なり、響き、やがて風のように溶けていく。
それは彼女が愛した人々の“残響”――
リリアの胸の奥に静かに染み込んでいった。
ひとしずく、涙がこぼれる。
その雫が白い地面に触れた瞬間、
世界が柔らかな光の波紋を描いた。
リリア(囁き):「……愛を罰する世界は、もういらない。」
涙が波紋となり、波紋が光となり、光が――やがて芽吹きへと変わっていく。
白の中に、ほんの小さな“春の色”が生まれた。
それはまだ名前も形もない、未来の世界の原型。
リリアは静かに目を閉じ、光の中へ溶けていった。
――そして。
どこか遠くで、新しい心臓の鼓動が、ゆっくりと始まる音がした。




