Scene 3-④ 心の崩壊
沈黙が、世界を支配した。
リリアの膝が崩れ落ち、光の床に触れる。
その瞬間、淡い波紋が静かに広がっていった。
――まるで彼女の絶望が、世界の基盤そのものに刻み込まれていくかのように。
リリア(震える声):「私が……この世界を閉じ込めていたの?」
光が滲み、頬を伝う涙が床に落ちる。
その一滴が触れた場所から、コードが崩れ、白い粒子となって空へと消えていく。
リリア:「みんなを……私の“罪”で……」
声が掠れる。
世界の心臓が、彼女の嗚咽に呼応するように鈍く鼓動した。
アマリエは静かに歩み寄る。
その足音はなく、ただ光の揺らぎが彼女の存在を告げる。
リリアの前に膝をつき、透き通った手を伸ばした。
アマリエ(微笑して):「でも、終わらせるのもまた、あなた。
“赦し”は、創造主にしかできないわ。」
その声は、どこまでも穏やかだった。
けれどその奥には――リリア自身の声と同じ“痛み”が潜んでいた。
リリアは涙の滲む視界で、アマリエの顔を見上げる。
その光の輪郭が、かつて鏡に映った自分と重なる。
リリア(心中):「この人は……私……?」
アマリエの手がリリアの頬に触れる。
触れた瞬間、冷たさではなく、懐かしい温もりが流れ込んだ。
記憶の断片――笑い声、春の風、誰かの微笑み。
リリアの肩が震えた。
それは嗚咽とも、呼吸ともつかない震え。
アマリエ(囁くように):「あなたが赦すことで、
この世界は“終わる”のではなく、“解かれる”の。」
ルカはその光景を見つめながら、拳を握りしめていた。
何も言えなかった。
ただ、崩壊の音の中で――
リリアが流す一粒の涙が、この世界の最初の“真実”のように美しく見えた。
ルカ(心中):「……彼女が、終わらせようとしている。」
静かな振動が、光の海を揺らす。
リリアの涙が次々と零れ落ち、それが波紋となり――
世界そのものが、彼女の感情に呼応して震え始めた。
光とノイズが混ざり合い、輪郭が崩れていく中、
リリアは小さく息を呑んだ。
リリア(かすれた声):「……もう、繰り返さない……」
アマリエの唇が、静かに微笑を形作る。
――世界が、優しく崩れ始めた。




