Scene 3-② 回想映像 ― 原初の罪
光が歪み、空間がゆっくりと反転していく。
リリアの視界に、金色の光が広がった。
――そこは、神殿だった。
天蓋には無数の祈りの紋章。壁面を走る光のラインが、荘厳なリズムで脈動している。
空気そのものが、神聖な緊張で満たされていた。
中央の祭壇には、一人の青年が縛られている。
その眼差しは驚くほど穏やかで、目の前に立つ少女――純白の衣をまとうアマリエを、優しく見つめていた。
青年:「……アマリエ。たとえこの身が滅びても、君を愛している。」
静かな声。
その言葉が響いた瞬間、アマリエの手が震えた。
掲げた聖剣の刃が、光を反射して鈍く揺らぐ。
リリアは、思わず息を詰めた。
(やめて……やめて……!)
心の奥で叫ぶ。けれど声は届かない。
祭壇の上で、アマリエ――いや、前世のリリアが唇を噛みしめ、涙を押し殺す。
アマリエ:「……愛は、罪。」
「だから――罰せねばならない。」
その言葉と同時に、剣が振り下ろされた。
黄金の光が弾け、世界が真白に塗り潰される。
一瞬の輝きの中、青年の輪郭が霧のように消えていった。
そして、静寂。
光が収まると、リリアの身体が硬直していた。
震える手で口元を押さえ、ただ映像を見つめる。
リリア(心の声):「あれが……私……?」
アマリエの姿が、ゆっくりとこちらへ振り向く。
その瞳は、涙をたたえながらも穏やかで――まるで「赦し」を宿していた。
アマリエ(声だけ):「あなたは、愛を恐れた。
そしてその恐れが、世界を動かしたのよ。」
リリアは目をそらし、唇を噛む。
胸の奥が焼けるように痛む。
その痛みは、記憶の痛み――罪の記憶そのものだった。
黄金の神殿が崩れ、光が再び暗闇へと吸い込まれていく。
――そして、現実の“メモリア・ネットワーク”の海が、再び姿を取り戻した。
リリアの頬を伝う涙が、宙に浮かび、光の粒となって消えていく。
リリア(震える声):「……どうして、私が……こんな世界を……」
その問いに、アマリエは静かに微笑み、答えを告げる。
アマリエ:「それが、“原初の罪”。
そして――“恋愛システム”の始まり。」
――次の瞬間、空間が光の脈動とともに再び動き出す。




