◆シーン5:静寂の余韻
世界が白く溶けていく。
色も音も、すべてが均一な光に飲み込まれようとするその瞬間――
リリアの手のひらに、ひとつの光の欠片が残った。
それは、小さく震える粒子データ。
形を変えながら、微笑むような表情を映し出していた。
――レオの笑顔。
あの、どんな終わりの中でも笑っていた少年の記録。
リリアは、そっと指先でその光を包み込む。
温度も質量もないはずなのに、なぜか、確かな“ぬくもり”があった。
「ありがとう、レオ。あなたの笑顔……ちゃんと、覚えてるから。」
声は震えていたが、そこに涙はなかった。
泣き尽くした先に残ったのは、静かな決意だけ。
光の欠片はゆっくりとリリアの胸元へ吸い込まれていく。
そして、完全に消えた。
――《#Residual_Data_Saved : "Leo_Smile_Record"》
白い光が、やがて静寂へと溶けていく。
まるで、新しい幕が上がる前の、深呼吸のように。
どこか遠くで、再起動の鐘が鳴った。
――《#Loop_Reinitialize》
静けさの中、時間が再び流れ始める。
リリアはそっと目を閉じ、次の世界へと歩き出した。
BGM:「Fake Smile - Data Collapse mix」
アコースティックギターのやさしい旋律から始まり、
徐々に電子ノイズが侵食していく。
中盤、音が反転し、“幸福”の旋律が歪んでいく中、
最後に残るのは――微笑みのリフレイン。
壊れても、笑顔だけは、再生される。




