表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/52

8:先生!やっちまってください!!

「確認は取れた。確かに征服皇はコンテウス帝国に侵入していたし帝都にも被害が出ている。また、聖女が行方不明という話も聞いた」


牢屋の中で一夜を明かし。

朝になったら朝食とともにこんな言葉もセットで運ばれてきた。モーニングセットで素敵な言葉つきなんてオシャレなものだね。

どうせならもっと詩的な文章が欲しかったよ。


「確認が取れましたか。では、問題ないということでしょうか?」


「何を問題なしと判断してるのか知らんが、お前たちの言っていたことが間違いなかったというだけでそっちが聖女だっていうことまで信じたわけじゃない」


「あら。そうでしたか。それは残念ですね。聖女様の絵姿の1つでも手に入れられなかったのですか」


「召喚直後に襲撃されたんだから絵姿も何もあるわけないだろ」


「そうでしょうか?てっきり件の征服皇なる人が指名手配でもしてそこら中に配っているのかと思っていたのですが」


私や結ちゃんが想定するような位置づけのキャラなのであれば、結構執念深いキャラのはず。捜索が迅速でない理由がないし、徹底的である可能性は高い。

それだけに、私たちの写真とまではいかずとも似顔絵くらいはすでに出回っていると思ってたんだけどなぁ。


「確かに特徴は書いてあったがな……黒髪の女2人。召喚された2人の特徴と一致するといえば一致するが、それだけで判断するのもな。それこそお前、明らかに場慣れしすぎてて召喚された直後とは思えん。どっちかというと城にいた従者だろ?」


「おや。私が原因でしたか?聖女様、申し訳ありません」


「いえ。気にしないでください。加藤さんがいなければ逃げることもできなかったですし」


あえて私は結ちゃんに軽く謝罪する。

ここでほしかったのは、結ちゃんに私の名前を呼んでもらうこと。

おそらくこの世界と私たちの召喚前にいた世界では名前の雰囲気も違うはずだから、細かい要素として出しておきたかったんだよね、これがあれば少し異世界の人っぽさを出せるはず。


「では、まだ私たちはしばらくここで待機でしょうか?」


「そうなるな。だが、大気だけでなく事情聴取も受けてもらうことになる。当然、1人ずつな。2人そろって受けるわけじゃないから嘘を付けると思うなよ?」


「ふむ。そうですか。またそれは時間がかかりそうですね」


ちらりと横に視線を向けてみれば、軽く結ちゃんの顔色が曇るのが見える。

さすがに事情聴取なんて受けたら疲れることが分かり切っているもんね。寝たからってそう簡単には疲労が消えるとも思えないし、私がわかるくらい表情が変化することも仕方がないよ。


ただ、あんまりこれ以上追い込むと間違いなく危険ではあると思う、

ということで、


「しかし、証明というわけではないですが、疑いを晴らしやすくするにはもっと簡単な方法がありますよ」


「あ?」


「聖女様。昨日の召喚された直後のように、光を出していただけますか?」


「え?……ああ。なるほど。『光あれ』」


結ちゃんの口から出る詠唱。

直後、まばゆい光が心を照らすようにあふれ出し、


「なっ!?」

「おいおい。どうなってんだ!」

「これは、本当に聖女様、なのか?」


周囲から聞こえてくる驚愕の声。

周囲の兵士っぽい人たちはみんな何かしら感じるものがあるみたいで、結ちゃんに期待か何かを込めた視線を送っている。

一気に聖女であるということの信ぴょう性を持たせられた気がするね。


逆に、私たちの対応をしていた責任者であろう人は苦い顔。

周囲が信じてしまうと、下手な扱いができないからね。自分の判断に周囲が不満を持つなんてことになったら面倒になることは間違いなし。それこそ、私たちの脱出に手を貸してしまうような人が出てくることを危惧しているのかもしれない。

もちろん、私の思惑はそうした心の動きを作ることだよ。


「完全に信じていただく必要はありませんが、頭から否定されてしまうとこちらも困ってしますので」


「チッ………ここは一応魔法が使えないようになっているんだがな。それでこんだけのものを見せられるってのは聖女じゃなくとも何かあるってことか。わかり切ってはいたが面倒くせぇ」


「ふふふっ。お手数おかけしますが、対応のほどよろしくお願いしますね?」


「うるせぇ。次勝手なことやったらその首切り落とすから注意しろよ?一応お前は不法に国境越えようとしてんだからな?………行くぞお前ら。これ以上何かされる前に退散だ、あと、一応今見たものは黙っとけ」


私にいやそうな顔を見せた後背を向けて去っていく担当者さん。

部下の人たちには口止めをしたみたいだけど、どこまで効果があるだろうね?今見た「聖女の奇跡」と言ってもいいようなものを黙っていられるほど心の強い人はそう多くはないはずだよ。

兵士の人たちだからそれなりに鍛えられてはいるんだけど、どこまで持つだろうね?


「加藤さん、本当に場慣れしているんですね」


「ん?そう感じますか?」


「はい。私も落ち着いていれば同じような手は思いつきますけど、今の状況ですぐには出てこなかったです、やったのだって昨日の1回だけだったので」


「そうですねぇ。私としては昨日の団野さんに見せてもらったものが印象に残っていたので、それが影響したんですよ。団野さんが思っている以上に、団野さんの力がすごいんじゃないですか?」


「そう、なんでしょうか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ