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エピローグ ~最大の裏切り~

   エピローグ ~最大の裏切り~


 雪鈴とデートでお忍びで城下に来たものの、雪鈴がレース屋に入ると流石にレースメーカーたちが放っておいてくれず、礼竜は陽射しを避けて公園の木陰にいた。


 エルベットの民は、お忍びの王族は【そっとしておくもの】として扱ってくれる。

 ただ、楽しそうな子どもたちの声を聞きながら寝転んでいた。


 もう背中に傷がないので、仰向けも板についた。


 と、声が変わった。

 行ってみると、屋台に寄ってきた子どもたちを厄介者のように店主が追い返そうとしている。


「貴方は苦手かもしれないが、優しくしてやってほしい。

 悪いことをして叱られたのかと思ってしまう」

 近づいて言うと、店主は、初めて礼竜が来ていたことを知ったようだ。

「お、王太子殿下?

 も、申し訳ございません!」


「いい。公式ではない」


「…………」

「…………」


 沈黙に耐えかねた店主が、

「その……ご成人の暁には、元気な王女様がお生まれになるといいですね」

「男の子でも、元気でなくても構わない」

 礼竜のその言葉で、店主はまたも失態をしたと気が付いた。


 と、遠巻きに見ていた子どもたちが寄ってくる。


「君たちはよく似ているね。兄弟かな?」

「は、はい!」

「はい!」


 子どもは、畏れよりも期待に目が輝いている。


「妹も居るんです! ……病気で……寝てます」

「そうか……」


 礼竜は足元に生えている花を一輪摘み、魔力を込める。


「妹のお見舞いに。回復の祝福を込めておいた。

 食べられる花だからスープに入れて飲ませるといい」


「うわぁ! ありがとうございます!」

「ありがとうございます!」


 二人は花を大事そうに抱えて走り出す。


 と、振り返った。


「けっこんしき、妹とお父さんとお母さんと、お祝いに行きます!」

「ぜったい行きます!」


「ありがとう」


 笑顔で手を振った礼竜だが……この夏、結婚式は「急病」にて中止された。





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