番外 たて笛
今回は血の森編に入る直前の話になります。
あ、因みに私、たて笛は自分のしか使ったことありません。
っていうか、好きな子のたて笛舐めるって考えが純粋な頃の私にはありませんでした。
いや、そんな考えがあってもやらなかったけどね?
・・・
―これはガンツがブラッディフォレストに向かう直前の話
そしてこれは『第一次たて笛大戦』の始まりの物語――
・・・
「じゃあ、コロガシンの外殻、ここに置きますね。」
「おぅ、奮発して5万で買い取ってやるよ。」
「あ、助かります。これからブラッディフォレストって所に遠征に行くんで結構お金欲しかったんですよね。」
「・・おいおい、まさかまたミラのおススメに行くのか?」
「はい。ミラさんの教えてくれる狩り場はキツイけど経験値はおいしいんで。」
マジで言ってるのかコイツ。頭どうかしちゃったんじゃないのか?
ミラは狩り場を教える時、本当にレベルギリギリの場所しか教えない。
それはギリギリの戦いの中でのほうがステータス以外の戦いのカンってやつが鍛えられるというミラの持論があるからなんだが、ミラのおススメの狩り場でトラウマを作って戦えなくなる連中が多い所を考えると、ミラのやり方は間違っていると儂は思っている。
そんな儂もミラのおススメの狩り場で潰された一人だ。
そんな儂だから今のガンツの言葉が信じられなかった。
まぁ、この世界では死んでも金がある限りは本当には死なないから大丈夫だろ。
ガンツもやる気満々みたいだし、水を差すのもなんだな。放置しておこう。
ガンツにお金を渡してコロガシンの外殻を工房に運ぶ。
ガンツはこの後、回復アイテムを買って明日出発するらしく、急いで店を出て行った。
バタンッ!!
それからしばらくコロガシンの外殻の品質をチェックしていると、勢い良く扉が開かれる音がした。
「グランの旦那!ちょっと匿ってくれ!!」
そういって入って来た男はラングという商人だ。
キツネ目で金髪のショートカット、背は160cmくらいのひょろりとした男だ。
コイツは結構変なアイテムを売り物にする事で有名なやつだ。
確か・・今は聖エルモア学園に通っている少女達のたて笛を盗んで販売していたはずだ。
それがバレたんだろうな、多分。
儂が了承する前にラングのやつは勝手に工房の奥に入って行きやがった。
怒りたい気持ちもあるが、ラングと儂は同時期にこの世界に来て助け会った過去がある。
少し癪だが親しい友人なのだ。仕方ないので少し匿ってやる事にした。
「お邪魔します!ここにイヤラシイ目の商人がやってきませんでしたか?」
今日は騒がしい日だ。また扉が開いたと思ったら今度はエルモアのシスターのお出ましとはなぁ。
しかしエルモアの職員が動き出したか。こりゃあ、エルモアが本気出す前にラングの奴をつきだして反省させた方が被害が少ないんじゃないか?
聖エルモア学園は学問を教えるシスターや救導師、モンクなんかの他にも、学園を守るための存在としてパラディン、デスイーターなんかのレア職の奴等がいるっていう噂がある。
これはお人好しシスターが文句を言っている時点で終わらせた方が絶対に良いと思うんだよな。
たて笛泥棒如きでパラディンやデスイーターが出てこられても困るが、『エルモア学園が小悪党に舐められている』とか思われて潰されたらラングが可哀そうだ。
「ちょっと待ってろ。」
儂はシスターに待つように言うとラングの所に向かう。
ラングは裏口から逃げようとしている所だった。儂は思わずため息を吐いてしまう。
「おい、厄介事が酷くなる前に謝りに行くぞ。今なら何とでもなる。」
「えー・・それってたて笛も返却しないといけないんじゃ?」
「そうだな。・・・ってか、それだけで済むんなら恩の字だぞ?拘束されて牢で数年ってのになるかもしれんな」
「うげ、それなら余計に捕まれないでしょ!」
「だから、儂も一緒に謝ってやる。今なら何とかなるって言ってるんだよ。」
「うーん。分かった、分かりましたよ!降参です。連れてってください。」
儂はラングをシスターに渡してなんとか穏便に済ませてもらうように頼んだ。
シスターはそれを了承し、少しの罰金とたて笛の返却で済ませて貰える事になった。
ラングは悔しそうな顔をしていたが、あいつもこれで懲りただろう。
実力はあるんだし、これで真っ当な仕事に戻ればいいんだが・・・・
・・・・
これが第1次たて笛大戦の始まりの物語
幼女のたて笛を求め血で血を洗う争いが始まるのはまだ先の話――




