どうして扉を開けてしまったの?
幸せを産む天使メインで書いてるので
こちらは投稿頻度は毎日‥‥‥ではないかもしれません!
が、応援してくださると嬉しいです!
私は、晴れの神子
山神に愛された、娘の末裔ー‥‥‥
陽華は、ひとり、窓を見つめた。
今日も雲ひとつない快晴だ。
ただひとり、古びた小屋の中で正座をしていた。
紅に染まった葉っぱが風に揺れながら落ちていく。
外はすっかり、秋なのだ。
内側から、決して開くことのない扉。
重い鎖とお札が巻きつけられた此処は
陽華を、呪いそのもののように
封印しているようだ。
【この地に雨は要らぬ】
此処は、決して雨が降ることのない村ー‥‥‥
そのはずだった。
でも、陽華が生まれた16年前、
悲劇は起こった。
灰色の雲が空を覆ったのだ。
一滴も雨が降ったことがないこの村でー‥‥。
一夜にして村は陥没し、
多くの人々が犠牲となった。
だから村人は、陽華を閉じ込めた。
ずっと太陽が降り注ぐように。
陽華は静かに、一筋の涙をこぼした。
死ぬことも許されず
普通に生きることすら許されない。
ただ幽閉されたまま
窓の外の世界に、焦がれることしかできない。
ぴゅう、と強い風が吹いた。
隙間風が冷たくなったのを感じる。
床は、夕方になるにつれてひんやりと体から熱を奪っていく。
それが、陽華の心までも凍てつかせるのだ。
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ー夜ー
陽華は物音で目を覚ました。
何かが近づいてくるのだ。
この村は、夜は恐ろしいほどに静かだった。
聞こえるのは虫の音か風の音だけだ。
確かに、小屋に向かってくる足音が聞こえる。
陽華は身構えた。
ガチャ、ガチャ、と外から鎖の音が響く。
此処をきつく封じている重くて錆びた鎖だ。
【ついに、殺されるの?】
陽華は思った。
でも、覚悟はあった。
ここで一生、ひとり過ごすくらいなら
来世に賭けたい。
陽華は急いで布団を畳んで
扉に向かっていつものように正座をした。
ギィィと不穏な音を立てて扉は開いた。
懐中電灯の光が眩しくて、陽華は目を細める。
目線の先には、美青年が立っていた。
驚いたような顔をして、こちらを見ている。
陽華『どうして扉を開けてしまったの?』
陽華は青年に問う。
美青年『君は‥‥‥!』
美青年は質問に答えずに、
何かを言いかけた。
陽華『私は、晴れの神子。
山神に愛された、娘の末裔‥‥‥』
陽華は感情を殺した顔でつぶやいた。
青年は、何も言わずに陽華を見下ろした。
陽華『私が此処を出れば、水害がこの地を襲う。
あなたも無事では済まされない。
早く‥‥‥』
陽華の言葉を遮るように、
青年は陽華の腕を掴んだ。
陽華『何を!?』
陽華は戸惑いながら問う。
青年は陽華の腕を離すことなく、口を開いた。
美青年『此処を出よう』
陽華『なっ‥‥‥!?』
美青年は走り出していた。
陽華もつられて走り出す。
【だめよ】
心の中で陽華は叫んだ。
【私は、晴れの神子】
【山神に愛された娘の‥‥‥末裔】
此処を出れば、恐ろしいほどの雨が
この村を襲う。
【怖い】
陽華は思った。
そもそも、この美青年は何者なのか。
信じてついていっていいのかー‥‥‥
少しだけスピードを落とした陽華を
美青年は振り向いて見つめた。
美青年『信じて。』
空恐ろしいほどに美しい顔だった。
陽華は思った。
【この美青年になら騙されてもいい】
どうせ、彼以外
自分を外に出してくれる人などいない。
それならー‥‥‥
裏切られたとしても、わかっていても
わざと騙されてみてもいいじゃない。
陽華は、自分が
この青年により、歯車が狂い始めることを
まだ知る由もなかった。




