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プロローグ 別れと出逢いの春

チーン


 

 額縁に写ったその人は白髪でしわだらけだったが大きく口を開け、ここにいる誰にも負けないほど生に満ちあふれた表情をしている。

 参列に並んだ人間は約300人と平均を上回るかなりの人数で彼女の今までの人脈と人柄がそれを頷けさせた。


 参加している人間の年齢層も幅広く、小さい子供から本人より歳が上の人だっていた。その参列にいた人達の誰もが彼女のあまりに急な別れに心を病み悲しみに打ちひしがれていた。

 心臓に毛が生えるという言葉があるが、それを体現しているような人物で本当に最後まで元気な人だった。別れの日の朝でさえ、縁側のイスでいつ起きてもおかしくないくらいに安らかな表情で眠りについていたという。


 かくいう俺も昔はよく父さんの実家に遊びにいってよくしてもらっていた。だが流石に10年ほど前の記憶で思い出は遠に色褪せている。最近では正月に顔を合わす程度でほとんどまともに会話をしていなかった。だからなのか俺の心が枯れているのか、葬儀の最中でも一切涙は流れなかった。悲しいと云えば悲しいが俺の人生に影響を与えるほどではない、それくらい冷酷な感情が生まれる程に俺の心は安定していた。

 


そこからは通夜、葬儀、告別式、火葬と淡々とことは運びあっという間に俺のばあちゃんは紫色の袋で包まれ1つの小さい箱の中に収まった。

 俺と母さんと父さんはそれを大事に持ち帰り、代々受け継がれていた仏壇にその身を寄せた。本当は父さんの実家にあったものだが、この度住むものもいなくなりとりあえずこの仏壇だけ運び込み和室の部屋に設置した。


俺達は仏壇の前に3人並んで正座をし、お香を立ておりんを鳴らす。

 部屋全体にその音が響き渡ると俺達は静かに手を合わせた。


 俺が瞳を開け父さんに目線をやるとずっと同じ体勢のまま動かなかった。父親側のばあちゃんに当たるので父さんからすれば実の母だ。無理はない…


 その日は出前をとって久しぶりに3人揃って夕飯を取り、共働きだった両親は明日も早いため早々に就寝した。かくいう俺も、明日からは普通に学校なのであまり夜更かしはできない。

 俺はスマホでショート動画を小一時間流し見したあとアラームをかけ床につく。その日は快晴の夜で静かな夜だった。俺は布団に入るとものの数分で眠りについた。



 ピロリロリン ピロリロリン


朝か…


俺はスマホのアラームに覚醒したがまだ目を開けられず暗闇と現実の狭間を彷徨っていた。

 何とか布団から手を伸ばしスヌーズボタンを押し、延長タイムに入ろうとする。だが次にアラームの音で目が覚めた時、俺は衝撃を受けることになる。


ピロリロリン ピロリロリン


俺からすれば目を閉じて数秒という感覚だったが、世界はそれを許さず残酷に時の経過を知らせる。


「んん…んんんん」


俺はうめきながら先ほどの位置に手を伸ばすが見つからない。もしや落としたか?めんどくせえ


仕方なく俺は布団をめくると視界でスマホを捉えるため眼を動かす。


が、ない…


だがアラームは鳴り響いている…何処から? 


「んん?これどうやってとめるん?わからん…」


何故か声がした方に視線をやるとすぐ横で見知らぬ女が俺のスマホを持って必死にスマホのフチを叩いていた。


「あの、その画面の止めるっていうところを押してください…」


そうゆうと女は口を開けこちらに視線を向ける。


「こうかいの?」


すると細い繊細な指がスマホに触れ音が止まる。


「ほう!止まった!止まった!よかったわ!」

  

 女は満足そうに笑うと安心した表情を俺に向けた。よかったこれでこっちもよくねれーー


「うわぁぁぁぁぁぁ!!?誰だお前!?人んちで何やってんだよ!!」


 その反応に女は眉間にシワを寄せる。


「何をゆっとん?そんなことより涼介、今日学校やろ?はよ起きな!ご飯できとるからさっさと下にきなよ?」


そうゆうと少女は呆れながらいってしまった…


俺は強く目を瞑り頭をクシャクシャと掻き立てる。

 この場合は警察に通報したほうがいいのか?いやでも女の子だったよな?俺と同い年くらいの…気の強そうな…ということは知り合い?俺の?いや知らんあんな奴は見たことも聞いたこともない。ということは父さんか母さんの知り合いか?


「………………」


何もわからず、非常事態の朝を迎えてしまった俺の心臓はうるさいくらいに脈を打つ。身体が熱い。だが一つだけ確実にわかったことがあった。


やべぇ、めっちゃタイプだわ


俺こと根来寺涼介 ねごろじりょうすけ 17歳は、今朝突如として侵入してきた大きな青い瞳にダークブルーの髪色ロングで笑ったところが太陽のように美しい少女に一目惚れしてしまったのだった。


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この作品を面白いと感じて頂けましたら☆評価の方是非お願い致します。皆様の一人一人の声援が励みに繋がります!!これからも応援の程よろしくお願い致します。



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