11時
ドラム缶は一時間とかからずにいっぱいになった。田中さんたちからは、
「行く先行く先、すぐにゴブリンが見つかるってすごいな」
「もしかして、ゴブリンの居場所がわかるとか?」
「まさか。俺たちのレーダーでも見つからない距離だぞ?」
レーダーの性能、百メートルもないそうです。曲がった先は当然見えないし。イマイチね。モニカの気配感知の方が優秀だわ。
「そろそろドラム缶もいっぱいだし、戻ろうか」
「はい」
「でも、その前に」
「ん?」
「モニカさんの腕前はわかったけど、十倉さんの腕前、確認してないんだよね」
「ああ……わかりました。では少し行ったところに四匹いるので、それの相手をします」
「え?四匹?」
「大丈夫ですよ」
「ちょ、ちょっと?」
すぐ近くにいたゴブリンが四匹、こちらの話し声に反応して近づいてきていて、モニカが棒を構え始めていた。
『モニカ、そいつらは私が相手をするわ』
『わかった。武器は?』
『いらない。いると思う?』
『そうだな』
数歩進んだところで、ゴブリンが射程距離に入った。
「空間切断」
空属性の攻撃魔法の中で比較的初級の魔法を放つとゴブリンの首が宙に舞う。昨日、ヒャッハーたちの首を分離したのとは違い、こちらは完全に切断する魔法なので、ゴブリンはそのまま絶命。なお、切断するといっても、ある程度以上強い相手にはほとんど意味をなさない、本当に初級の魔法だ。
「ざっとこんな感じです」
ポカンとしている五人を余所に、モニカがゴブリンをせっせとドラム缶に放り込んだら、さすがに量が多すぎたのか、ゴブリンの血が溢れてきた。襟から背中に。
「うひゃっ!」
『実里?!どうした?!』
『血!血が!血が!襟から!中に!』
生ぬるさに悲鳴を上げたら五人が我に返ってこちらに来た。
「ちょ!大丈夫か?!」
「血が出てる?どっか怪我した?」
「違っ、違います!ゴブリン!ゴブリンがっ!」
「ゴブリン?!やっぱり何かされた?!」
「違うんですっ!」
誤解を解くには解いたけど、
「うん、まあ……そう、だね」
「結構たくさん狩ったから、仕方ないよね」
微妙に距離を置かれた。
そりゃ確かに臭いけどさあ……露骨すぎない?
私?空間をコントロールできる私がゴブリンの死体の臭いごとき、気にすると思う?まあ、空気の流れしかコントロールしてなかったから、血があふれてくるのは防げなかったけどね。
血でべっとりしていて、本当は着替えたいけど、ダンジョンの中でとか、男性もいる前で着替えるのはさすがにちょっと、なので、とても気持ち悪いけど、我慢して帰ることにした。
なお、街に入るときに警備の人にすごくイヤそうな顔をされた。
解せぬ。




