10時(2)
「着いたよ、コレがダンジョンだ」
「洞窟ですね」
「他のところだと、地下鉄のホームに降りていくとダンジョン、ってのもあるぞ」
「へえ」
それはそれで見てみたいけど、ここにあるのは……まんま、異世界のダンジョンだなあ……
「さて、行くぞ」
「はい」
『モニカ、行くよ』
『ああ』
モニカは興味深げに周囲を見ていたけど、何かあったのかな?
「っと、入る前に確認だが……二人とも明かりは?」
「明かり?」
「ああ。ダンジョンの中は暗いから……って説明しておいたよね?」
「入ってすぐに暗くなるから、ここらで用意をして」
そう言えば異世界のダンジョンも、階層によっては明るいこともあるけど基本的には暗くて、誰かが「こんなのダンジョンじゃない!」って叫んでたっけな。
「大丈夫です」
「……モニカちゃんも?」
「ええ」
「それならいいんだけど」
そう言いながら彼らはなんかレンズのついたゴーグルを装着する。
「暗視ゴーグルですか?」
「そう。仕様は古いけど軍用だから性能は間違いない一品」
「高いのが難点だね」
金額は聞きませんよ。
さて、このろくに光も差し込まないダンジョン、普通は明かりを持って入るそうだ。懐中電灯からランタンタイプの電灯、はたまた原始的に松明まで好みに合わせて選ぶらしい。だけど、どれも片手が塞がるとか、影ができやすいとかの欠点があるので、ある程度以上のハンターは暗視ゴーグルを使うのが一般的なんだって。
では、私たちは……モニカは騎士としての訓練の一環で暗視スキルを獲得していてこんなところでも昼間のような視界を得ているそうなので問題なし。で、私は言わずもがな。両目共に異世界での戦闘で失い、入れ替えをしていたのでこんなところでも昼間と変わらない視力を得ている。うん、アレは悲しいでき事だったよ。両目同時に失っていたら本当に大変なことになるところだったわ。
「後はこんなのも使う」
そう言って五人はBCポートにサイバーデッキとは違う装置を繋ぐ。
「なんですか?」
「モンスター探知レーダー」
「へ?」
予想外の名前に呆けた声が出てしまったが……モンスターを探知するレーダーってことだよね?
「ダンジョンでしか使えないんだけどね、モンスターの居場所とだいたいの強さが表示されるんだ」
「へえ」
「後は、あらかじめ設定しておけば仲間同士の位置もわかる。不測の事態があって離ればなれになった場合でもダンジョン内ならかなり遠くまで通信できる」
「サイバーデッキじゃダメなんですか?」
「電波がダンジョンの中に届かないんだよね」
「なるほど」
逆にダンジョンの外ではレーダーはうまく機能しないので使わないそうだ。
「ちなみに一式百万くらいするから」
「うげ」
「あと、海外への持ち出しが制限されてる。軍の技術てんこ盛りだから戦略物資扱いだぞ」
まあ、私たちがこれを使うことはないだろうから、あまり気にしなくていいか。




