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  作者: ひじきとコロッケ
2126年4月18日
11/65

19時(1)

「あそこです」

「おお、確かに壁がある」


 男たちの案内で進んでいくと一時間もしないうちに「横浜リージョン」と呼ばれる、壁で囲まれた都市の最外壁が見えてきた。高さは五メートルほどでその向こうにも建物があるのがチラホラ見える。


「一応聞きますけど、姐さんたち、IDは持ってないっすよね?」

「ID?」

「ですよね」

「任せてください。何とかしやす」


 大きな通りを進んでいった先には門があるようで、人々の列が作られている。どうやらあの壁は完全に外と中を隔離しているわけではなく、出入りは可能なようだ。


「なんで、あんな壁を?」

「外からモンスターが入り込んじまうからです」

「モンスター?」


 え?モンスターって……何?


「姐さん、まさか一度も見たことねえんすか?」

「初耳よ」

「そうっすか。まあ、その辺の詳しい話はボスのところで。あ、こっちです」


 ボスねえ。アウトローなイメージ通りと言えばイメージ通りかしらと、男の先導について茂みの中を進んでいくと、モニカが剣に手をかけてこちらに耳打ちしてくる。


『あの男、実里に何かおかしなことを言ったのか?なんなら斬り捨てるぞ』

『待って、ちょっと待って。そんな物騒な話はしてないから。ほら、あの壁見て。モニカはどう思う?』

『はあ……街とはああやって壁で囲むものでは?でないとモンスターや盗賊の侵入を許してしまって大変な事態を招くだろう?』


 異世界あるある来たわ。というか、さっきまで私のいた異世界の街もだいたいそんな感じだったから、モニカの返事は納得のいくものだったね。


「ここです。暗いし、階段急なんで気をつけてください」

『彼は何と?』

『暗くて急な階段だから気をつけろって』

『思った以上に紳士だな……ふむ、あれがこちらの世界の紳士的な格好なの……か?』

『一応聞くけど、アレが紳士だとしたら、モニカは淑女になりたい?』


 紳士はヒャッハーなんて言いませんし、モヒカン&肩パットの格好もしません。

 多分。

 百年経っても、紳士の概念が変わってないならね。




 薄暗い地下道(?)を進むこと少し。突き当たりの階段を登るとどこかの建物の中で、さらにそこから三階まで上っていく。


「ボス、俺です」

「「俺」なんて名前の知り合いはいない」

「鳥坂ッス」

「入れ」


 そう言えば名前を聞いていなかったなと思いながら、鳥坂という男に続いて中に入ると、アニメや映画に出てくるヤのつく自由業の下部組織リーダーを絵に描いたようなスーツを着崩した「俺、カッコいいっしょ」と言いたげな男、糸井――ここに来るまでにボスの名前は聞いておいた――がソファにふんぞり返っていた。


「そいつらが?」

「へい」

「ふーん、そいつらがねえ……」


 なんかわかり合っちゃってるし。むしろ、あらかじめ私たちをここに連れてくるって連絡を入れていた?いつ?他の男たちも含め、スマホとかいじってる様子は無かったんだけど。


「鳥坂……本当に連れてくるとは思わなかったぞ」

「へ?」

「壁を越える隠し通路を、どこの馬の骨ともわからん連中に教えて、おまけにアジトまで案内しやがって」

「え?で、でもボス!連れてこいって!」

「……お前はバカか?どっか壁の外に待たせときゃいいだろうが」

「あっ」

「ということで死刑。そっちの嬢ちゃんたちも同罪。運がなかったな」


 そう言って糸井がスルリと懐から出したのは拳銃。百年経ってもこういうアウトローな方々は拳銃を手に入れる手段を持っているのねと感心しながら、こちらに向けられた銃口を見つめる。殺意的なものはモニカも感じているようだから問題ないでしょ。


「じゃあな」

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