表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/30

冬の話

 クリスマスは結局、家族と過ごした。田宮くんも家族と過ごしていたらしい。

 友達の多くは充実したクリスマスを過ごしているけれど。

 川辺くんは引き籠り仲間とカラオケで『来年はハッピー待ってるはず、クッルィッスマス――!!』と歌っていたらしい。悲しいが、私も妹に誘われていなかったら、一人でカラオケに行っていたかもしれない。

 冬休みは特にイベントがない。田宮くんには一度も会わなかった。

 みちとは一緒に初詣に行った。

 あとは松美ちゃんとひさきちゃんと、一緒に冬のバーゲンに行ったくらいだ。

 学校の補習宿題は特にないので、塾の宿題さえしていれば、あとはのんびりと過ごしていい。

 最近、『アルジャーノンに花束を』という小説にハマっている。

 あれはすごい。ダニエル・キイスの代表作なだけある。

 一ページ目から傑作だとわかる作品は初めてだ。チャーリイ、私も賢くなりたいよ。

 しかも忘れちゃいけないのが小尾芙佐さんの名訳。

 私は環境がら知的障害を持つ人の文章を読む機会がよくあったけれど、さすがはプロだ。再現の完成度が半端ない。

 カレンダーを見ると一月七日だった。明日から学校だ。もっとだらだらしていたい。

 大みそかはアイス食べながら某有名少年漫画誌を読んでいて、楽しかったなあ。冬は毎年のように軽いうつ状態になるので、わずらわしい人間関係から離れて一人で楽しむ時間が貴重だ。

 ちなみに、私のように夏にそう状態で冬にうつ状態になる人は、珍しくないらしい。

 なぜだろう。日照時間とか面白くない理由はたくさんあるだろうが、まあ考えても仕方ない。

 だいたい夏休みは四十日間あるのに対して、冬休みは二週間しかない時点で、夏より冬に気合が入らないのは当然なのだ。

 プルルルルルルル。

 いきなり私の携帯電話から着信音が鳴る。

「もしもし」

『あ! もしもしー』

「なんだ。夏目くんか」

 久しぶりに不登校時代の適応指導教室の男友達から連絡があった。

『リーダーと呼べよ』

 私達は適応指導教室を卒業するときに個人的に中二病集団を結成したのだ。

 リーダーは夏目くん。幹事は別の女の子。私は初期メンバーなので、一応幹部。

 でも、やることといったら、カラオケで歌うことくらいなのだが。

『近々、会合開くから。連絡係よろしく』

「りょーかい」

 了解という言葉は上司が部下に対して使うものだが、こいつを敬う義理はない。

『あとさ、望月さん、好きな人できた?』

「……な、なんでよ」

『なんとなく』

 夏目くんは悔しいが聡い。私は頷く。

「まあね」

 下手に誤魔化すとボロが出るのだ。はっきり言おう。こいつは敵に回すと怖い。

『ふうん。まあいいや』

 いいんかい!

「用件終わったなら切るよ?」

『いいよ、じゃあねー』

 ブッ、つーつーつー。

 明日から学校なのに、どっと疲れが出た……。

 夏目くんは勉強ができるので現在私立の進学校に通っている。ちょっとしたお坊ちゃんだ。

 あいつは女友達の彼氏のツイッターをフォローするやつだから、私の好きな人も調べ上げるに違いない。

 ああ。面倒臭い。

 味方のうちは頼もしいけど、敵に回すと大変なことになる。

 まず、中二病集団「小麦の会合」に一切がっさい参加できなくなる。

 それだけならまだいいが、学校の文化祭に友達を連れて煽りに来る。

 『煽る』の意味がわからない人は、ネットで検索しよう。

 文化祭で自分のクラスメイトを煽られるウザさは半端じゃない。はっきりいって苦痛だ。

 明日から、学校行くのかったるいなあ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ