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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。友人を得る
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75話  《剣》。説教をする

何度かバグってようやく投稿

「失礼しました」

 執務室から下がる。


 人気が無い所に差し掛かると、

「姉さん!! 陛下の命令はっ⁉」

「――利がある。従うつもりだが」

 するとリヒトが怒りという感情に身を任せるように――。

「利があるって、目障りだから遠ざけるだけじゃないかっ!!」

「………」

 叫んでいるが、周りに人がいなくて良かった。


 王と象徴が不仲だという醜聞は避けないといけないからな。


「そうか。俺としては賢いと思ったぞ」

 軍部の強化で教えを乞う。

 おそらく軍部で一番その立場に向いているのは俺だろう。


「いくら毛嫌いしていても、向いてない輩を送り出すような愚かな王じゃない」

 遠ざけれるし、向いている者を送り出して、ましてやそれが象徴だ。


 彼の国にそこまで自分の国に価値を見出したのかと恩も売れる。

「賢明だろ」

 そう告げるが納得いかないようだ。


「リヒト。――ヒメル・グランディア・ルーデル!!」

 しかり付ける様にリヒトの本名を呼ぶ。


 はっと表情を改めるリヒト(ヒメル)。


 呼び方って効果あるんだな。

 ――空気が引き締まる。


「私情で物事を見てないかっ」

 リヒトの表情が歪み、視線を逸らされる。


「王が間違っていたら諫めるのが俺らだ。だが、俺は王の判断は間違ってないと言える。だが、お前は?」

 お前は間違っていないと言い切れるか。

「……いえ。私情です」

 恥ずかしげに目を伏せる。


「そうか……」

 困ったなぁ。

 しからないといけないのにその行動の理由が俺の事を考えての行為だと思うと責めるに責められない。


 ぽんぽん

 頭を撫でるのは腕を伸ばさないといけないので、腕が疲れるが、それでもかわいい可愛い弟の頭を撫でたかった。


「子ども扱いは止めて下さい」

 自分のした事のバツが悪いのかその手を振り払う。


「何言ってんだ。その発言する時点で、お前は子供だ」

「…っ⁉」

 少し傷付いた顔。


「だけどな」

 ぽんぽん

「そうやって反省できるのはお前が成長したって事だろ」

 手を伸ばさないと届かない身長差。出会った頃は腰ぐらいしかなかったのに大きくなったなと感慨深い。

―ーと、同時にその伸長分けてもらいたいという想いがあるのはそういう意味では俺も姉としてまだまだなのかもしれん。


「もともと、象徴は一国に一人だ。俺とお前は二人でやってきたから離れるのに違和感を覚えるんだろうけど、それが普通だ」

「だけどっ!!」

「長くはなるが、それでも陛下のご存命中には終わるだろう。俺らにしたら短い間だ」

 だから留守を頼むな。

 泣きそうな可愛い弟に告げる。


「だけど、姉さ…姉貴!!」

「――それとも何か。象徴は一人でいいという考えの過激派が動いているか」

「っ⁉」

 リヒトの表情が変わる。


 ……やはりか。


 エーヴィヒのほとんどの民は俺ら二人で一つの象徴として認識している。だけど、あくまでほとんどだ。一部は認めて無い者も居る。


 象徴は男であるべきだという事に妙にこだわる輩はどの時代でも居る。

 男尊女卑が高まると特に。


「把握しているんだろう」

「大まかは」

 俺の問い掛けのリヒトの返事はそれ。なら、

「俺の居ない間に片付けておけ」

 神地の――天都との同盟の害にしかならん。


「――Ja」

 リヒトの返事に、

「頼むぞ」

 と告げた。



弟扱いされて複雑なリヒト

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