69話 《盾》。同盟に動き出す
リヒトも仕事をしっかりやっていました。
姉さんが北の巨人達と会話しているのを見て、姉さんの行動に驚くべきか褒めるべきか悩んでいると。
「――凄いお姉さんですね」
声を掛けられる。
「お前…じゃなくて貴方は……」
確か神地の……。
「烏丸忠臣。です」
丁寧にあいさつしてくる。
「ああ。俺はヒメル・グランディア・ルーデル」
前名乗ったような気がするが、再び名乗ると、
「わざわざご丁寧に」
深々とご挨拶。
丁寧というか烏丸の方が丁寧だなと思いつつ、
「何の様だ?」
敬語忘れた。
「いえ、……貴方達を近くで見てみたくなったので」
黒い瞳が真っ直ぐ向けられている。
「何でだ」
「なんででしょうね」
くすっ
探る目。
本当なら不愉快に思うべきだが、
(姉さんに似てるな……)
最初に会った時も思ったが、この人の行動とか諸々姉さんを彷彿させる。
「守るために俺らが使えるか近くで確認かな」
そう告げると、
「――流石ですね」
くすっ
「ええ。そうです。――私は貴方を貴方達の国を試してみたかったんですよ」
告げる声。
「――怒らないのですか?」
「いや……」
姉さんもこういう人だ。
「守るためなら最良の選択をするために必要だろう」
そう告げると、
「そこまで考えているのなら……丁度いいかもしれないですね」
どうやら好印象を与えたようだな。
だが、
「同盟相手としてもらえるなら、告げないといけないが……」
「女の国主は認めない。貴方の国の国主の考えですか」
図星だった。
「………ああ」
「心配ご無用です。国主が女だからというだけで認めないのはよくありますので」
明言しているだけ信用できますよ。
毒舌だ。
「それにしてもここに来て正解でしたね」
会談を開いてもらって良かったです。
そう告げられて、話をせずに去っていく。
「どうした?」
王が近くに現れて声を掛けてくる。
「……陛下」
「何だ?」
「……国に帰ったらすぐに神地…天都の方に同盟を結ぶように動いてください」
そう告げる。
「天都……」
「――はい。女人の国主です」
ですが、大丈夫ですね。
言外に告げると。
「――分かっている」
外交では、……内政は向いていると言われた実力を期待してますと言外を告げたが、しっかり伝わっていた。
「頼みます」
姉さんの事で正直いい印象が無かったが、見直したのは誰にも言えない秘密だなと思ってしまった自分は姉に負けず劣らず性格悪いなと思った。
(いや、象徴としては正しい行動かも知れないが)
つい、苦笑いを浮かべてしまった。
烏丸「面白い人材ですね」




