68話 《露草》。その重圧を感じる
メインを放っておく
神地組はそれぞれ象徴と王を観察していた。
その一人――李月狼は当たりを見渡して都合のいい同盟国を探していた。
「俺が捕らえていた檻を壊したんだぞ!! なのに、どうしてここまで怒られないといけないんだい!!」
文句を言う若い象徴。
「まだ分かってないのかい。君が仕出かした事で迷惑こうむっていたんだよ!!」
「それが分からないんだよ。トーマ。偶然自然災害が重なっただけじゃないか」
「偶然がそこまで重なるのがおかしいだろう!!」
風の大陸の象徴を観察して、若い国に任せるのは博打だと判断して冷静に選択肢から外す。
別に鳥居を壊されたからの恨みでの判断ではない。
次に北の巨人を見る。
その大きさで、近寄りがたい雰囲気で未だに他の大陸の象徴は近付かない。
「あれも辞めた方がいいだろう……」
ぼそっ
呟く。
するとやはり音の大陸しかないが。
音の大陸は、様々な国があって、どの国が強いかと言われれば不明。強国だと思っていてもすぐに――神地基準――その国は弱小に成り代わる。
「伯兄は…」
どうするつもりかと神地の象徴が聞こうとしたが肝心要の兄は居ない。
「伯兄?」
どこに行ったのかと探すと、天窓を見上げ、月を肴に手酌酒をしている。
「伯兄……」
「儂にはこういう場は苦手だ」
だからここでのんびりしておく。そう告げる伯兄――李黒龍に、
「仲兄はここで使える同盟相手を探せと……」
「……王が居ないのにか?」
黒龍の象徴名は《国を救いたい者の為の力》。国が荒れた時、その状況に憂いを感じてその状況を変えたいと願い、行動を起こす者の前に現れる仙人という存在として求められている。
それ故、彼は国の安定するまで、自分を探し出した王が死ぬまで人の前に居るが、それが終わると人知らず消える。
「伯兄……」
「儂の一存では決めらぬ」
黒龍の国は今荒れている。
神地の防衛をしていた白蛇の壁が壊されて消えてしまい――蛇は死んでないが療養中だ――もともと貧困の差が激しかったので――敵がいない状況故に飽和した環境で内側から腐ってきているのだ――国はゆっくりと崩壊をし始めている。
「王が儂の前に現れるのは当分先じゃろ。儂が勝手に決めてはいけない」
国自体同盟を考える余裕もないだろう。だが、王は現れる。
それを待つしかない。
「月狼。そなたは儂を気にせずに選べばよい」
「伯兄……」
「そなたの国の有利な同盟国。それを盾にして国を守れ」
そこら辺の戦う方は忠臣が得意だからあいつを参考にしておけ。
「ですが……」
今まで、黒龍と忠臣が矢面に立ってくれていた。三人目といえど下を守る事をしていなかったので。いきなりその役割をして来いと言われても躊躇う。
「大丈夫だ。《夜の露草》」
突然象徴名を呼ばれる。
「夜…不安な時代すら静かに咲き誇り希望を与えるという意味の象徴。そなたなら民の不安を和らげるだろう」
儂の様に王を待つまで動けない者や、もしもの時は大君を犠牲にしなくてはいけないのにその大君に寄り添い続ける忠臣の様にならずとも動けるのだからな。
「………」
兄の言葉は背中を押してくれる。
それで、決意する。
「そうさせてもらいます」
「そうしろ。――儂や忠臣の言う通りに動かなくて良いからの」
神地だけで一つに留まってはいられない。そう言外に言われて、
「分かってます」
そう答えた。
神地組は人の名前に動物の名前があったりします。




