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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
幼少期。《剣》に出会う
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22話  《風》と《錫杖》。彼の国を追い詰める

あっ、ジェシカの象徴名をまだ本文に乗せてない。

 シュトルツは、陣屋で戦況を確認している。

「プリーメラが居ないとこちらが有利に進められますね」

 彼の視線の先には騎馬軍団。

「ええ。うちに騎馬軍団は最強ですから」

 メイド服を脱いで、軍服に身を包むジェシカは誇らしげに答える。


「ええ。期待してますよ」

 にこり

 微笑むと顔を赤らめて視線を逸らすジェシカ。

 その様に可愛らしいと微笑ましく見てしまうが。


(駄目ですよ。シュトルツさん。そういうのは男を惑わす魔性の笑みであって私に向けるものじゃありません。ああ、今の笑みを絵師に残してもらいたい。そして、その魔性の笑みを見た部下達は背徳感を感じながらそれで自身を慰めて…)

 と、イケナイ妄想の世界に言っているのをシュトルツは知らない。


(でも、どんなに自身を慰めていても一度芽生えた欲望は抑えられず……ああ。それにシュトルツさんは気付かず悶々としている部下に『何かあったか?』と尋ねて……)

「シュトルツさんが危ない!!」

「ジェシカっ⁉」

 どうしたんです。

 慌てて尋ねてくるシュトルツを見て、

「いっ、いえっ。何でもありません!!」

 いけない。いけない。妄想が口に出てしまった。

 でも。でも。


(そんな凛々しい顔をしていてもどう見ても受け顔。ああ。白い物をぶっかけたい。力ずくで押さえてひいひい言わせたい)

 ジェシカの脳内では人様にお見せできないぐちゃぐちゃのどろどろの映像が流れているが、顔に出ていない。


 ぞくぞくっ

「何か悪寒が……」

 風邪の引き始めでしょうか。

 身体を震わせるシュトルツはその原因が自分の傍でにこやかに微笑んでいる女性とは気付いてない。


「ジェシカちゃん。妄想が垂れ流れてるけど」

 そんなジェシカに忠告する声。

「カシューさん」

 フルーラの象徴カシュー。


 散々有利になると漁夫の利狙いで動くと罵られていた国の象徴である。


「だって、美味しいじゃないですか。どんな場面でもイける最高の受け!! なんですから」

「俺、シュトルツに同情するわ~」

 自分が対象じゃなくて良かった。

 ジェシカの本性を知ってるカシューの目は死んでいる。


「ああ。私に(ピー)が生えていればシュトルツさんにひいひい言わせるのに……」

「普通に逆じゃ駄目なの……」

「何言ってんですか? 男女の愛は生産性とか自然の決めた本能でしかありません。同性愛こそ至高!!」

 力説するジェシカに。

「それ、同性愛嗜好な象徴に伝えてあげなよ」

「私にも好みはありますので……」

 好みって……俺この子のこの性格は分からないな……。

 分かりたくもないけど……。


「どうしました? ジェシカ? カシュー?」

「何でもありません。シュトルツさんこそどうしたんですか?」

「いえ……。急に寒気がして……」

「大変っ。お風邪をひかれたら困ります!! 何か温かい物を」

 慌てて用意するジェシカを見て、


(寒気の原因は風邪の引き始めじゃないと思うけどな……)

 そんな事を思うが口にしない。

 後が怖い。


(ジェシカちゃんの性格じゃ、口にしたら去勢させられて俺の(ピー)を自分の身体に付けてシュトルツをひいひい(自主規制)するに決まってるからね)

 自分の身は可愛い。


「それにしてもフーちゃんも大変だね~」

 フーちゃん=フリューゲルとは付き合いが長い。

 色々恩もあるけどそれはそれ。これはこれ。


(歴史的に力あるノーテンに新興国でありながら勢いがあるリンデン。それを敵に回して無事じゃすまないでしょう)

 ご愁傷様。


 沈みかかっている船には乗らない主義だ。


 いくら防衛戦特化しているとはいえ、味方がいない状況で二国相手にするのはきついでしょう。


 そんな事を考えてた矢先――。


「申し上げます」

 陣屋に走ってくる者。


 連絡通達をしている者だと気付くと、

「イーシュラット。ラーセロ。そして、……アルシャナが我が国に宣誓布告をしてきました!!」

 ……どうやら、沈む船はこちらの様だ。



ジェシカさんは腐女子です。

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