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異世界転生したら、世界の敵になりました。  作者: 篠原 凛翔
【第4部】黄昏時

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【4-9-2】

「そんで〜? 人族は人を待たせた謝罪もできないわけ〜?」

「やめいフレイ……。すまんね。悪いやつではないんだ」

「いや分かっているさ。こちらこそ遅れてしまい申し訳なかった」


 私は頭をぺこりと下げる。目の前にいる竜人族のフレイはフンとそっぽを向いていた。待ち合わせ時間に遅れてしまったのはこちらの落ち度だ。苦言を呈されても仕方ない。


「構わんよ。貴殿が忙しい事は皆が知っている」


 老いたとはいえ獣王と呼ばれたガリオンの迫力に私は若干気圧される。


「心遣い痛み入る。ただそれは貴殿らも一緒だろう。言い訳にはならんさ」

「ははっ。聞きしに勝る堅物ぶりだ。もう少し肩の力を抜いた方が何かと生きやすいだろうに」

「なにぶん性分でな。そうありたいものだがいかんせん上手くいかん」


 私の返答にクックとガリオンが笑っている。


「……もういい?」


 フレイが間に割って入ってくる。


「私達を呼んだのってあのことでしょ? 好きにしたらいいんじゃないの? 今更私達には拒否権もないし」


 不機嫌そうな雰囲気を隠すつもりもないようだった。


「……いや強制したとあっては意味がない。私は貴殿らを従わせるつもりはないんだ」


 再度フレイが鼻をならす。彼女達の側からすると何を言っているんだと思うだろう。賛同が得られにくい事も承知の上だった。


「……僕は賛成しますよ」


 そんな中、声をあげたのは奥にいた亜族の少年だった。


「だってこんなこと考えた事もない。そうでしょう?」


 私は彼を見て驚いてしまう。小柄な背丈、人族とは異なる毛皮、欠損した耳。


 彼は先の戦場で出会ったあの少年に間違いなかった。


「お久しぶりです。レオ将軍」

「……久しぶりだ。見違えたぞ」

「あはは。今は戦争での傷も癒えましたし、あの時とは状況が違いますからね」

「そうだな。それで、何故君がここに?」


 私の問いに彼は真剣な表情へと切り替わる。


「……今僕は獣人族の代表補佐としてここにいます。ガリオンももう老齢ですから、次の世代が担っていかないと」


 彼は確かに凛々しい顔つきをしていて、男子三日会わざればというには時間が経過しているが、相応しい変化だった。しかし私にはここで疑問が一つある。


「……それは立派であるがラルフ殿もいるだろう?」


 彼はその実力からして獣人族を統べるに値する人物だと思う。ただ私の言葉を聞いて彼は若干怒りを露わにしつつ答えた。


「……ラルフは自分には向いていない。任せた。とだけ残して去っていきました。アイツは本当に……」


 文句をぶつぶつと言っている彼を見てなんだか他人を見ている気がしなかった。……今後なにかあれば手助けをしてやろう。


「それでレオ将軍。まるで、いやまさしくあの時に聞かれた通りの事態になりましたね。覚えていらっしゃいますか?」


 彼の言葉に私は堪らず笑ってしまう。確かにその通りだ。あの時に彼とした会話を思い出す。


「ああ。あの時に私はこう言った。――いつの日か、人族と亜族が分かり合える時が来るだろうか、と」

「ええ。そして僕はこう答えました。――天変地異が起きてもあり得ないと」

「ははっ。そうだった」


 私もその時にはそれは最もな意見であると思った。だから否定することも出来なかった。


「それに、こうもいいました。――もし共通の敵のようなものが現れれば、お互い憎しみあっている暇もないと。レオ将軍。貴方は最初から全て計画のうちだったんですか?」


 無論そんなことはない。自分でもまさかこんな事になるなんて思ってもいなかった。


「違う。ただ私は――「――でもさー。実際えっぐいことしたわよねー? 国の為とはいえそんなことするなんてねー」


 フレイがケタケタと笑う。彼女の言っていることは正しい。これからの世界を作るために私はそれを是とした。


「……私が優先すべきはこの国だ。そしてそのためにはどんな手段も厭わん。それだけの話だ」


 フレイは『あっそ』と興味を無くしたかのように明後日の方向に顔を向ける。獣人族の彼もまた納得したような顔をしていた。


「そういえば、君の名はなんというのだ?」


 今までずっと聞くタイミングを逸していた。彼も慌てた様子で私に返答する。


「失礼しました。僕はジルベルト=オーヴェンといいます。以後宜しくお願い致します」


 改めてぺこりと頭を下げられる。彼がこの場にいる事に疑問があったが、オーヴェンということはラースの血縁なのだろう。


「こちらこそだ。これから先を見据え貴殿らの力は非常に重要だ。よろしく頼む」 


 皆がうなずく。ひとまずはこの面々で無事に合意が得られたことに安堵する。あとはその日その瞬間を待つだけだ。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

この物語が、ほんの少しでも心に残ったなら――

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(……でないと、力尽きるかもしれません)


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