9 魔力
「魔力とはありふれたものだ」
ラティカさんの魔力講義が始まった。
「この世界のほとんどの物質には魔力が宿っている」
「私たち人間以外の生き物は皆例外なく魔力を糧に生きることができる」
それって、これまで倒してきた生き物たちもそうなのかな?
「無論、今まで倒してきた生き物もそうだ。例えば砂漠の大蠍や大棘主なんかも魔力を使って生きている」
なるほど、今まで戦った生き物も魔力を使うのか。
「また、人間が魔力を使う事もできる。それが私たち魔法師などが扱う魔法だ」
「魔法は魔力を消費し、魔力的現象を現実に実現する技術だ」
なるほど、魔法は魔力を消費して現実に現象を表す技術なのか。
「私は魔法師だから魔力は専門分野だ」
「まあ、論述はこの程度でいいだろう。実技に移っていこうと思う」
実技か。とりあえずやってみよう。
「まずは胡座をかいて、身体の中にある魔力。体内魔力を感じるところから始めよう」
静寂が近くを包む。
ミトンさん達の生唾を飲む音が聞こえるが、全くと言うほど魔力なんて感じない。
「まあ、初心者に魔力感じてみてって言ってできたためしないんだけど」
ズコッと音がするかのようにゴラートさんが滑る。
ギャグ漫画かよ。
しかも面白くない白けるタイプのギャグ。
「流石に本気でやるね。まず私の体に触れて」
手を差し出してきたから、その手を握る。
その手から謎の力を感じる。
まるで小川のせせらぎのような弱々しい力の流れを感じる。
「これは?」
「お、感じたみたいだ。それが魔力だよ」
「弱めに魔力を流してユウセイ君の魔力に刺激を与えて活性化させたんだ」
魔力を刺激か。
なんか整体の鍼治療とかみたいだな。
「手を離すからそれを感じてみて」
ラティカさんの手が離れるが、先ほど同様魔力の流れは一定のままだ。
「安定してるね」
「魔力の流れを速くしてみるんだ」
流れを速く?
魔力の流れに指向性を持たせるのか?
小川のせせらぎのような弱々しい魔力が、川の激流の如く勢いを増した。
「あ、やばい」
ラティカさんの声と共におれの意識は暗転した。
ゴラートside
「あ、やばい」
と、ラティカの声が周囲に広がる
「ラティカ。なにをした?」
ユウセイ殿がいきなり倒れた。
今は魔法の特訓をしていた。つまり魔力切れのほうが可能性は高いが他の可能性も捨てきれないが、一応聞いてみる。
「いやー。まさか魔法師タイプじゃなくて妖術師タイプとは思いもよらなかった」
「どういうことだ?」
「魔法使いには2つのタイプがある。それが魔法師タイプと妖術師タイプ」
「魔法師タイプはマナを制御して魔法を操る」
「逆に妖術師タイプは体外魔力を使って妖術を扱う」
「彼は妖術師だった。魔法師の訓練はきつかったね」
「おいおい。そういうのってわかるもんじゃないのか?」
「私ごときができるわけないでしょ?できるのは魔力眼持ちの魔導師とかそのレベルよ」
こいつ意外と適当だな。
「まあ、妖術師タイプなら回復はすぐだから、気長に待とう」
悠星Side
「あ、起きた」
ラティカさんがそんな事を言う。
「ごめんね。見誤ってたよ」
なにをだろう?
「私が君の魔力量を見誤っていた。君は魔法師タイプじゃなくて妖術師タイプだった」
妖術師ってなんだろう
「あの、妖術師について教えてもらえますか?」
「魔法師と妖術師の違いは魔力の質と扱う魔法だろう」
曰く、魔法師は純粋に魔力を相手にぶつけて消耗させる戦法。
妖術師はオドをマナに変えてそれを操るらしい。
「妖術師はマナが魔法師より少ない代わりに色々な補助魔法やらなんやらが使える」
「オドをマナに変える魔法も存在する」
翌日。
善の都に出発した。
それからは魔力制御の特訓だ。
魔力を欲しいだけ出して、オドをマナに変える。
それを繰り返していると、マナに変える方法が浮かんでくる。
妖術師は「吸魔魔法なくして妖術師ではない」という偉人の言葉とかもあるみたいだ。
ラティカさんに教わってるんじゃないかと思うが、彼女はこういった。
「妖術師は私の専門外だ。魔力操作に必要な魔力に達していない。まずは吸魔魔法を覚えて実質的に魔力量を規定量まで上げてくれ」
とのことだった。
いま俺は徐々に吸魔魔法のきっかけを掴みつつあると思っている。
毎日夜に魔力操作を一度している。
毎回ぶっ倒れているが、なんだか操作できる魔力の量。流れる水の量が多くなっているような気もする。
とりあえず、妖術師の教本を見ながら吸魔魔法をできるようにしているけど、なんかよくわからないなんだよな。
「身体を魔力に溶かし一体化する」だとか「魔力を通して遠くを見る感覚」とか純粋なこの世界の人間ならともかく、部外者にはわからない感覚だよ。
魔力を川の激流のように変える。
あう。
また意識は反転し、落ちていく。
だが、今までとは違い、きっかけを掴み取った。
気絶する瞬間見えた白い世界の穴だ。
そこからマナが吹き出す感覚を覚えた
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