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星間神話録ー十二星系物語ー  作者: 朧月
カルキノス星系編
10/14

10 ユウセイの才

魔力が吹き出す感覚。俺はついにこれを掴んだ。それこそが吸魔魔法の極意の片鱗であった。

魔法書に書いてある偉人エルドリッヒの言葉「吸魔魔法なくして妖術師ではない」。この言葉には続きがあった。「また、吸魔魔法は空の循環により成すべし」

この意味がわからなかった。だが、多分こういうことだ。

呼吸とともにオドを体内に取り入れ、体内でマナに変える。空の循環とは呼吸のことだ。この世界では科学技術が進歩していない。肺の機能も理解されていないだろう。

これが吸魔魔法。体の底から力が湧いてくる。

また、吐き出す呼気にも魔力が宿る。マナが空気中でオドに変わる。これが吸魔魔法の極意である"循環"なのだ。


翌日。

「吸魔魔法を会得したみたいだね」

ラティカさんがそう言う。

「みたいです」

「皆さんの体から魔力が立ち上がるのが見えます」

「はぁ?!」

ラティカさんの驚きの声がテント内に響く。どうした?など心配の声が上がった。

「魔力を視覚的に見ることができるのは、魔力眼という特殊な能力を持つ者だけなんだ」

魔力眼とは魔力を把握することで、魔法の発動や奇襲などにも対処できる能力らしい。

「なぜ奇襲に対処できるんですか?」

「普通の人間は微量に魔力が垂れ流しになっている」

「奇襲をする暗殺者は基本的に気配や魔力を完全にかき消すんだ」

「魔力が一切出ていない人間は暗殺者の可能性が高いというわけだ」

「なるほど」

「まあ、稀に生まれながらにして魔力が一切ない無魔力症というものもあるから、一概には言えないがね」


そこから魔力操作の特訓が始まった。

魔力を荒々しい激流にすることは誰にでもできるそうだ。魔法や魔力を使うには、それを制御して適切な魔力を術式に与えることで魔法が完成するのだとか。

まあ、魔力をそのまま放出する魔力弾という攻撃手段もあるみたいだし、俺はあまり術式をやらなくてもいいかもしれない。ジェットイーグルの卵を孵化させるために魔力操作ができるようになればいいだけだし。

「まあ、ジェットイーグルの卵に魔力を与えられるようになるには、まだ時間がかかるかな」

「現実的な数値で魔力を10分の1まで圧縮して操作できるようになったらかな」

「まだまだかかりそうですね」

「そうだね。多分、善の都に着く頃には魔力注入ができる程度まで育てるつもりだよ」

「ここから善の都まではこの商隊で半年はかかるから、じっくり練習しようね」

めちゃくちゃ距離があるなと思っていると——

「ユウセイ、黒の都から善の都がなぜこんなに遠いのかと思っているか?」

「はい。正直思っています」

「黒の都から善の都まで大きな都市はない。大陸横断になるからな」

これまでの街の距離は——

灰の都から死の都まで馬車で1ヶ月ほど。

死の都から黒の都まで馬車で1ヶ月半ほど。

これまでの距離は近い方だったみたいで、善の都までの道は舗装されているけれど距離が長すぎるのだ。

さっきから揺れが少ないのは、馬車に乗って移動しているからだ。

「砂漠の馬車って地獄ですよね」

「あれは馬車に乗るものじゃねえよ」

砂漠の馬車は砂が動いてグワングワン揺れるのだ。その揺れが吐き気を催させる。ミトンさん以外がほとんど砂漠を歩いていたのがいい例だ。

ラッタに寄った後、俺は歩きにシフトチェンジした。かなりきつかったけれど、デグンくんも頑張っていたから俺も頑張って歩いた。1日中歩いているときは夜ぐっすり眠れるから、結構いいところもあったりする。


そんな話から数日が経ち、今日も馬車の中で魔力操作の訓練だ。

「魔力の激流を細いホースに全て流し込むイメージ」だとラティカさんは言っているけれど、できる気がしない。

この魔力の通り道のイメージを狭めれば、ホースの代わりになるんじゃないか?

狭めるイメージで魔力を使うと、魔力の流域が狭まる。狭まった流域から激流が渦になり、さらに速くなる。

「早いな」

ラティカさんが言葉をこぼす。

「そのホースを徐々に小さくしていくんだ」

徐々に小さくしていくと、ある段階でこれ以上小さくならなくなる。

「魔力線は最初は硬いんだが、魔力を使っていくうちに軟らかくなっていく」

魔力線とは、俺が感じている流域の幅のことを言うらしい。

今、俺の魔力圧縮率は5分の1程度らしい。この半分の大きさにすれば卵に魔力を注げるらしい。

「あと、ユウセイ。魔力の流れが強すぎるかもしれない」

「流れが強いですか?」

「流れが強いと魔力圧で魔力線が外に押されて小さくならなくなることもあるから、流れを速くしすぎないようにしてみて」

魔力の循環。流れをゆっくり、幅を狭める。

そうすると、今までよりも細く、魔力の流れもさっきの圧力をかけていない状態程度の速さまで落ち着いた。

「ユウセイ、あなたには才能があるわね」

「普通の人はこんなにすぐに魔力圧縮率が5分の1から8分の1まで上がるなんてことはない」

「かなりの才能があるわ、あなた。この魔力習得スピードに加えて魔力眼持ち。大魔法使いユウセイって呼ばれる日も近いかもしれないわね」

ラティカさんが笑いながら踵を返す。

今日の訓練はこれで終わりだ。

「星間神話録〜十二星間物語〜」を観てくださりありがとうございます!

この話の続きが読みたい、面白かったりしたら評価ポイントやブックマークなどしてくれたら嬉しいです!

これからもよろしくお願いします。

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