龍宮童子──リュウグウドウジ──
オカ研の女の子が最近彼氏ができたと喜んでいる。
確かに最近、整形したのか?と疑うレベルで可愛くなったし、身を包む服やバッグなどの小物も、僕でも知ってるブランドものばかりなっていた。
カッコいい彼氏。
自分の望むものをなんでも叶えてくれる彼氏。
そして彼女は宝くじが当たったりと、まるで一生分の幸せを手にしたような出来事が続いた。
それからしばらく。大学の帰りにたまたま男性と歩いているその子を見かけた。
しかし、彼女がべた褒めするほどかっこよくはないように見えた。
というより、ハッキリ言うとブサイクな部類に入るくらいで、その身なりもまったく清潔感がない。
声をかけようとしたが、その子は僕の姿を見ると、 彼氏の手を取って逃げてしまった。
なんとなく嫌な予感がして、祖父の言葉を思い出す。
祖父曰く。
奴らは幸せをもたらす。どんな願いも叶えてくれる。
神みてぇなありがたい存在だ。
しかしな、言うなれば奴らは鏡みてぇなもんなのさ。
その人間の心が欲にまみれて醜くなればなるほど、奴の見た目も醜く歪む。
そして、見捨てた途端に今までのツケが自分に降りかかるのさ。
確かその名を、龍宮童子といったか。
それから彼女は彼氏の話はしなくなった。
もう別れたのかと思ったが、彼女は未だに幸運の中にいる。ならばまだ、怪異の力で幸運を使い続けているのだろう。
物欲。
虚栄心。
傲慢。
怠慢。
暴食。
嫉妬。
高慢。
忿怒。
様々な負の感情がひしめき、それは際限なく膨れ上がる。
オカ研にも顔を出さなくなり、今は合コンやヤリサーと呼ばれるところに出入りするようになっていた。
僕は彼を探してみた。こういう時の感はよく当たる。
公園で一人、ベンチで横になっていた。
前に会った時より醜さは増していて、人間かも判別できないほど骨も体付きも変わっていた。
彼に話をかけるが、歪んだ口からは人間の言葉は出てこなかった。
それでもなんとか聞き取れたのは。
──彼女は幸せか?
僕は答えに詰まった。
こんな姿になっても彼女の心配をしている彼に対してなのか、際限なく物欲を膨れさせる彼女の姿にか。
答えを出せない僕の目の前で彼はムラサキの光の粒となり消えた。
力を使い果たしたのか。
そして次の日から彼女の姿を見なくなった。
彼女がどうなったのかは僕は知らない。
少なくとも、死ぬなどと生易しい罪では済まないだろう。




