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義戦之武  作者: 昇龍翁
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【第九章】

【第九章】

 11月20日。寿張の攻略は、前回の失敗が不思議に思えるほど順調に終わった。


 他州勢の動きは、当初の想定を外れた動きを見せた。

 南軍西部戦力は、直接の穎川州への侵入ではなく、関内州を経由してから河洛州へ入る戦略を取った。陽阿の関を抜き河洛州へ侵入した南軍西部戦力の箭田鴉は、そこから南下して司隷州に通じる孟津の関を目指す。その途中で、百家涼藍の軍勢と衝突。そこへ戦勝祈願も援軍を送るなど、目まぐるしい状況となった。

「我ら北軍が河洛を集中的に進軍しておるが。」

「まぁ一部、やる気を疑うような勢いの同盟もあるがな。」

「それに比べ、南郡は分散しながらも、着実に進んでおりますな。淮海・淮揚の州境は少し押されておるような。」

「鷹揚軍が侵入していますが、軍勢・城戸愛絡が持ち堪えているようです。」

「各地で戦端が開かれてますな。」

「我が軍でもすでに会敵した部隊があると聞くぞ。」

「董卓討伐とはいえ、司隷に先についた者のみに、その討伐の機会と栄誉が与えられるという事か。」

「それぞれがそれを考えておるから、どうしても衝突は避けられぬな。」

「いずれにしても、時は近いという事じゃ。」


 その一方で、戦勝祈願は国力増強のため襄垣、そして楊県を手中に収める。この時期になると、主力を前線に置きつつ、後方部隊で攻城ができるようになってきている。

 多方面への行動司令が飛ぶ中で、やむなしとはいえ、攻撃時間を間違えて早く突撃する者もいるが、そこは柔軟に対応して、100近い部隊が呼応し、事なきを得た。

「なぁに。これから攻城は毎日続く。失敗から学べば良い。人は失敗からこそ多くを学ぶ。」

「さよう。今回のように修復可能な失敗であれば、かえって財産であろうよ。」

 参戦の機会を失って複雑な気持ちの者もあろうが、そこで意気消沈していても仕方がない。機会を重ねながら、組織としての機動力を鍛え高める以外にはない。


 そして11月21日。戦勝祈願は寿張を首都に定め、建国した国号は「蜀」である。


【章末】


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