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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第二章 僕の日常生活?
44/45

21.宿題たっぷりです。そして何があったのかのお話しです。

 テーブルの上にはなにやら怪しげな素材が並んでいます。たぶんどれもがこの世界にないものでしょう。といっても僕からすれば既に見慣れたものばかり、スキルのアシストもあってほとんど自動作業のようにテキパキとこなしてていくだけです。

 っと、成功です。これは上級品かな? 最近鑑定をしなくてもなんとなく出来の見分けがつくようになってきました。


「へぇ、それがポーション?」

「はい。回復薬っていってわかります? 傷薬とかのなんか凄い版です」

「ふ~ん、ますますゲームチックね」


 流石に寝て起きて、朝食や掃除やらなんやらの後ですが、帰還時に持たされた宿題をやっています。学校にも行かず優雅なものです。やってることはひらすら地味な作業ですが。

 現在やっているのは持ち帰った素材を使ってのスキルLv上げです。今挑戦中なのは『中級HP回復薬』と『中級MP回復薬』の二種類になります。まぁそこそこの成功率、かな?


「しかしほんと不思議ね。このガラス瓶てどこから来るのかしら?」

「さぁ? よく考えてもわからないので考えないことにしてます」


 素材に砂っぽいのがあるのでそれかもしれません。ちょっと自信ありませんけど。


「……そうねぇ。あんまり考えてもしょうがないのかしらね」


 なんか珍しいものでも見るように、孝子さんは回復薬を指で摘んでふるふるっと振っています。確かに珍しいんでしょう。ガラスというには軽いので実際には他の物質かもしれませんし。


「実際のところ、この薬が市場を出回れば凄いことになると思いますよ? 瞬間回復とか現代医学どころか科学でも不可能だと思いますし」

「そうなんだろうけどね~、そもそも使うところが想像できないというか…… あぁ、包丁で手を切ったときに便利?」

「べ、便利ですけどその程度なら普通に[生活魔術]を使う方がいいかなぁと」

「はぁ? 優ちゃん魔法使えるの?」

「あれ? 言ってませんでしたっけ? 簡単な魔法っぽいのが使えますよ。えっとこんなのかな」


 こういう場面で手っ取り早い……のは[着火]といいたいけど、スプリンクラーが動きそうだからやめよう。なんとなくだけどそういう運命はよく引き当てる気がする。なわけで無難その2。



(・・・孝子さん、聞こえてます?・・・)

「おぉっと、今優ちゃんから愛の電波が…… とつまりこれ?」

「はい、[報告]ってヤツです。僕からしか発信できないのでかなり不便ですけどね」

「ふ~ん、意外に使い所は多そう。ってことは部屋の掃除とか料理とかもスキルが関係してたり?」

「まぁそうですね。特に料理は補正が強いかも。あ、でも知らない料理は作れないんですよ? 材料を見てなんとなくこういう感じ~ってのはできますけど」


 あくまで補正止まりらしいので、実物を見たりとか知らない知識を駆使してとかいう方向はダメっぽいです。ちゃんと勉強しないと身につかないってことですね。


「へ~、つまりなんかわかるってことね。でもそれって料理やってる人なら大抵できそうね」

「そういわれるとそうかもですね。だとしたら何が便利なんだろう?」

「優ちゃんの場合、やっぱり注ぐ愛情の量かしらね~、とっても大事なことよ?」

「それはもう、いつもたっぷりと」


 涼しい顔で答えたことにちょっとご不満のようです。


「……なんか手馴れて来たわね。ちょっとお姉さん寂しいわ」

「いつまでも恥ずかしがってばかりいられませんし?」


 というかフィリー姉様に散々言われて慣れたんでしょう。あの人もしょうがないですね。


 よくよく考えると、孝子さんのノリってフィリー姉様に似てるんですよ。結構有能なところとか、何故か僕にだだ甘なところとか。こういう人とのめぐり合わせはLUCKが高いおかげではないかと思っています。関係ないかもしれませんけどね。


「……その首をかしげた表情いいわね~、もっとして!」

「あの、ちょっとそろそろ流石に恥ずかしいかと」


 何度も抱きつかれてつといい加減気になって仕方ないのです。どこがとはいいませんが。えぇどことか言いませんよ。


「つまり、優ちゃんは美少女錬金魔法使い。魔法少女・マギスターユイなのね?」

「なんですかその何かコレクションしそうな名前は」

「なんでそのネタ知ってるのよ。まぁそれはいいけどやっぱ魔法少女といったらフリフリの魔女っ娘コスね。ちょっと見繕おうかしら?」

「待ってください。なんでそういう方向に話を進めようとしてるんですか?」

「嫌い? 魔女っ娘コス?」

「嫌いというか、恥ずかしいのはカンベンしてください……」


 ニンマリ。とかいう声が聞こえて競うです。


「じゃぁ後日楽しみにしててね♪」

「いやあのその。どういう」



 あ、失敗した。



----------



 今日のお昼はサンドイッチ。いわゆるミラノサンドというヤツですしとても簡単です。

 メインが簡単だったのでスープにちょっとがんばりました。ミネストローネ風ですが、少しからさは抑え目です。具沢山なので食べ易さ重視です。特に意味なくタコさんウィンナーがプカプカと浮いた自信作です。


「ふぅ、ごちそうさま。やっぱ何も考えずに美味しいご飯が出てくるのって贅沢な幸せよね~」

「でも何作るとか考えるの楽しいですし?」

「これからもよろしくね? とまぁそれはいいんだけど、結局昨日は何があったの?」


 まぁ訳わかんないですよね。ちょっと長い話になりそうなのでコーヒーを用意しつつお話体制です。


「では、掻い摘んで説明していきますね」

「いいえ、詳しく説明して」

「……じゃ、じゃぁ詳しく説明していきますね」

「うんお願い♪」


 なんだかやりにくいなぁ……



----------



 ビーコンに触れてから次の瞬間、視界が暗転するように目の前が真っ暗になりました。

 多分意識が途切れていたのかもしれません。

 次に気がついた時、目の前にいたのは僕を抱きかかえるフィリー姉様でした。


「ユウ! ユウなのよね!? よかった~、これでダメなら本気でどうしようかと思ったわ~」


 ふわっとした懐かしい香り。あぁ僕はフィリー姉様のところに戻ってこれたのですね。

 どうしてかわかりませんが、なんだかとっても安心します。


 ふと周囲に目をやると、どうやら石畳の部屋の中にいるようでした。周囲は暗く、整った部屋というよりは何か古い石造りの建物内といった感じです。


「……よし、この状況でユウの加入は朗報だわ。どうにか逆転の目が出てきたってところね」

「えっと、フィリー姉様?」

「再会の感激はもうちょっと後まで取っておいて、今はまずステータス確認ね。あんだけ間があったんだからユウならレベルの2つや3つ……上がってない!?」


 あぁ、そういえば色々有りすぎてレベル上げてませんねぇ。


「え~、じゃぁしょうがない、とりあえず今欲しい広域攻撃魔術の使える、火炎系の何かを……ってボーナス0!? 何に使ってるのよ……って恐慌耐性!? ちょっと尋常じゃないわよこんなの。いったい何があったの!?」


 どうやら耐性スキルの中でもかなり強力なものらしいです。僕としてもどうして取得してるのかわかんないんですよねぇ……


「……まずは呪札の補充が先かしら。ある程度持ち歩いているから材料はあるはず。足りないものとか、あとこんへんで使えそうなものがあれば集めさせるから、とにかくお願いね」


 テキパキと指示が飛びます。一切無駄が無いあたり、相当にピンチなのでしょうか? こんな状況で合流したのを不運と思うべきか、それとも間に合ったことを幸運と思うべきでしょうか?


「……マスター。そいつは誰なんだ?」

「戻ったのね、状況はどうかしら?」

「ひっ!?」


 突然声がしました。振り返ると黒い服を着た男の子が立っています。いつの間にやってきたんでしょうか? 僕の[危機察知]にかからなかったところを見ると敵ではないかもしれませんが、知らない男の子がいきなり出てくるとビックリしますね。


 ……あれ? この子って……


「た、武本くん?」

「……タケモトってなんだよ。つかお前だれ?」


 え~っと顔立ちとか雰囲気? とかが元同室の武本君だと思うのですが。本当にどういうことでしょうか? それにしても瓜二つと言いたくなるレベルです。本当に本人じゃないんでしょうね?


「紹介するわ。これはわたしの奴隷のクラーボ。私達の護衛として働いてもらってるわ」

「ど、奴隷ですか? 武本君……じゃぁないんでしたっけ?」

「タケモトって、多分知り合いだと思うけど、彼の名前はクラーボよ。ちゃんと覚えてあげてね。これから一緒に行動するんだから」


 武本君ショックもアレですが、奴隷宣言もアレですね。というか姉様は奴隷を追加獲得してたようです。どんなおつもりだったのか後で聞いてみましょう。


「……ってことはコレがセンパイってことでいいのか?」

「そそ、ユウ。私の一番可愛い子。ちゃんと仲良くしてね?」

「名前も覚えられないアホとは組みたくないんだが」

「仲良くね?」

「……まぁいい、とりあえず邪魔はするな。いいな」


 上下関係はしっかりしているのかもしれません。奴隷とかになると何かあるんでしょうね。

 とりあえず、人間関係の第一歩は挨拶から。先ほどの失態を取り戻すチャンスです。


「あ、はい。よろしく、クラーボくん?」

「……クラーボでいい。俺もユウって呼び捨てるけどいいな?」

「あ、うん。好きに呼んでくれていいよ」

「わかった、とにかく俺の前には出るな。邪魔だ」

「わかってるよ……」


 うん、上手く行く気がしません。なんだか妙に睨まれてるんですよね。どうしてでしょうか?

 それよりも僕のほうが心配ですかね。なんとなく知り合いっぽいところがあって安心してましたが、彼は間違いなく男性ですし、不用意に近づいてなにか悪影響が出ないように注意しましょう。妙に小さいけど迫力は凄いですから。あれ? そういえば小さいなぁ、確かに武本君よりも小さい。なんだ子供じゃないか。とか見てたらまた睨まれました。やっぱり怖いです。



 一抹の不安は拭いきれませんが、取り急ぎ渡された材料から呪札の作成と補充です。こういう時はスキルの自動補正がありがたいですね。MPさえあればなんとかなります。


 回復ポーションも含めある程度の補給が済んだ状態で再度作戦会議です。どういう状況なんでしょうか?


「さっきもある程度説明したが状況は不利だ、最悪といっていい。この遺跡周辺にオーク共が進行してきている。数は未確認だがとにかくたくさんだ。打開するにしても相応の火力がいるだろう。できるなら緊急脱出を提案する」

「それは却下。ユウを置き去りにすることになるから絶対にダメ」

「……それならこいつを戻した後で、再度安全なところでの再々召還でいいんじゃないか?」

「そういう訳にもいかないの。既に札は切ってしまったし、召還の再構成にここで行う必要があったし。再度呼び出すとしてもユウを安全な場所で登録しないといけないわ」

「……なら突破するしかないが、どこを通る? 敵の数は膨大だぞ。一点突破を試みてるにしてもあてずっぽうでは間違いなく犬死だ」

「そこでユウの出番よ。ユウ! 周辺地図作成と状況把握。敵対勢力分布の把握と補遺状況を確認して。あぁ一応注意してね、ちょっとショックかも、って[恐慌耐性]あるから平気かもね」


 見ると恐慌しかねない敵陣て……見るのも怖いんですが。

 とにかく言われるまま[地図作成]を試みます……成功しました。どうやら遺跡の中の迷路の一角のようです。この遺跡は見た感じからすると古代の都市かなにかだと思います。入り組んでいるのは戦争等で攻め込まれ難いようにでしょうか。おかげで迷路化していて、簡単には見つからないところで息を潜めていられるんじゃないかな。僕はこうして地図として見れてしまうので簡単に感じちゃいますけど、普通に攻略するのは大変なんでしょうね。


 っと、次は[危機察知]で敵の認識っと。やっぱこっちだと視認してなくても反応がわかりますね。なんでだろって……えっと……


 これ、なんだ……? 比喩ではなく遺跡周辺が真っ赤……


「ふぃ、フィリー姉様、こ、この数……」

「うん、把握できる?」

「で、出来ます……オーク約2万体。ファイター、アーチャー、マジシャン、アサシンの混成部隊。更にオークロードが12。オーククイーン、オークキングがそれぞれ1……」

「万はいないと思ってたけど、これはちょっと軽い絶望感ね。ユウは平気?」

「へ、へへへいきじゃ、……ちょっとないです」


 オークってアレですよね。薄い本とかで女性に対してあんなこよやこんなことをしてくれる最悪のモンスター。ちょっと今は本気で会いたくない敵じゃないですか。見ただけで気絶しそうです……


「……こいつほんと使えるのか? さっきから青い顔をしてどうにもならなそうだが」

「そんなことないわ、ユウは優秀なんだから。ドラゴンとだって正面からやりあえるのよ?」

「でも震えているぞ?」

「え? まぁこれだけの大群相手じゃちょっとね……ってユウ? どうしたのユウ? 大丈夫?」


 もうなんだかとってもヤバイのだけは判ります。どれくらいヤバイのかってあのエロオヤジなんか比較にならないくらい大変な目に。もうあんな苦しい目にあいたくないです。本当にどうしてこんなことに……


「ユウ!? ユウ!?? どうして……はぁ!? 男性恐怖症!? なんでそんなものが……ユウ! ほんとしっかりしてっ! ってこれのせいで耐性取得をしたのか。でもユウにこんな知識あると思えないけど、ってそんな問題じゃないわね。どうにかしないと……」




 どうしようフィリー姉様。今、すごく帰りたいです……



とりあえず第二章はここまでです。

え?あからさまに続くだろうって?


うん、まずは落ち着いて欲しい。バーボンでも出したいところだけど未成年には出せないからね。

オレンジジュースにしとこうか。優君が好きなのはイチゴ牛乳だから覚えておくといい。やっぱ刷り込みは大事だね。


あぁ関係ない話だったねゴメンゴメン。

ところでこいつを見てくれ。どう思う?


(白紙の紙束)


すごく真っ白だろ? 字面しかないけどこれ、紙なんだぜ。コピー用紙といってもいいけど。

つまりまだ書かれていないんだ。本当に申し訳ない。

変な博士が顔に浮かんだ方は、思考回路が似てるからさぞ生き難いだろう。共に頑張ろう。





……なに? 説明してない?


すいません、こんな風に続くなんて書き出し当初は想像もしてなかったんです。

でもさっき変なネタが降りてきたからなんか書くと思います。

この仕事の山が片付いたらね……(そっと横を見る)



2016.03.06 おがわん



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誤字訂正


×わたし奴隷のクラーボ。 → ○わたしの奴隷のクラーボ。


私奴隷ってなんだw 自分でやっておいて酷い間違いw いやほんと恥ずかしいミスで……


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