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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第二章 僕の日常生活?
43/45

20.予想通りですが、予想外の事も多いです。なんなんでしょうね?

 12月19日(土)。午後22時54分。


「そろそろね。準備は大丈夫?」

「はい。OKです」


 シルバードラゴンネックレスを手に待機します。

 既に食事等は済んでいるのであとはこの装置の起動を待つだけですが、正直動いて欲しいようなほしくないような。


「代表は嘘だけはつかない人だからね。ちゃんと動くと思うよ」


 この状態を説明するために、孝子さんにはスキルやアイテムボックスに関する事柄を軽くですが説明しています。説明当初は「いいな~アイテムボックス。私も欲しい~」とおっしゃっていました。でもその後「あぁ、だから代表はあんなこと言ったのか」と独り言をしつつ納得なさっていたのです。


「なんて言われたんですか?」

「ん? あぁ、優ちゃんのことを大切に思うなら、道具として使おうとするなって。まぁ優ちゃん可愛いしお料理上手だしもうそれだけでお姉さん十二分に満足なんだけどね~」


 だからって抱きついてこないで下さい。ちょっと恥ずかしいじゃないですか。


「んで、別の忠告もしてた。優ちゃんは外であんまりスキル使わせないように、だって。というか効果が薄いから信用するなって言ってた、かな?」

「効果が薄い。ですか」

「うんそう。肝心な時に信用できなくなることが多いとか。パッシブなスキルは特に顕著だって。っていうかパッシブとかわかる?」

「えぇっと、用語から考えるに言いたいことは多分わかります」


 MPを使わない常時発動スキルのことだと思う。どうりで色々仕事をしないスキルが多いわけだ。MP消費があると強引に起動できる感じなんだろうか? ……ますます良くわからない。

 どちらにせよ知らない人の前でコレとわかるスキルの使用はマズイというのはよくわかる。誰でもビックリするよね。


「何も無いところから物を取り出したりするのを見られでもしたら大変ですからね。何か考えないといけません」

「うん、正直便利だし、優ちゃんが緊急で隠れられるようなものだったいいんだけど、そういうのできないの?」


 念のためにアイテムボックスの説明を確認しますが……


「……多分無理かなぁ……時間の流れが遅くなるような説明があったので、生き物を入れていいものか自信ありません」

「う~ん、買い物に便利なんだけどなぁ~、今度ためしに使ってみたり」

「しません」


 バレたら大変なことになりそうですからね。注目されたくありませんし。


「え~、優ちゃんのお洋服一杯買えるよ?」

「……しません」


 ちょっと気になりますけど、ダメなものはダメです。


「お、一瞬悩んだ。脈あり?」


 などと会話していたら、ガチャガチャという音が鳴り響きました。

 どうやら動き始めたようです。



----------



 ゆっくりとうなりを上げていた装置ですが、僕らが近づくとうなり声を止めます。


「あれ? 止まった?」


 と思ったら目の前で変形を始めます。スライドして上のフタに該当する部分が開くと、そこには小さな窪みと手形のようにラインが書かれています。なんか事件現場みたいなアレですね。ちょっと例えが悪いかな。


「……ここにネックレスを嵌めろってことかしら?」

「その後ここに手を載せろってことでしょうね」

「う~ん、なんだかよくわからないけど、まず私が試していいかしら?」

「孝子さんがですか?」

「そう、優ちゃんが危なくないかの確認。いいわよね?」

「悪くはないんですけど、何か変な感じがしたらすぐに手を離してくださいね?」


 そっとネックレスを窪みに添えます。同時に装置のラインが光を放ち始めます。どうやら反応し始めたようです。


「……それじゃ、とやっ!」


 孝子さんがぱしっと手を置きます。


 ……


「た、孝子さん?」

「ん~、冷たくもないのね、意外だわ」

「孝子さん?」

「あぁ、やっぱダメね。何もないわ」


 登録者がうんぬん書いてありましたからね。まぁ可能性はあったんですが。逆に誰が登録されているんでしょうか。とても謎です。


「それじゃ。僕の番ですね」

「……気をつけてね」

「大丈夫ですよ。なんとなくですけど」


 何かあるというとしたらアレくらいしかないんですよね。どうなることやら。


「では行きます!」


 僕は手の平をそっと乗せた。



----------

----------



「優ちゃん? 優ちゃん? 大丈夫!?」


 どうやら無事戻ってきたようです。

 いやぁ今回も強敵揃いでしたねぇ。まさかあんな状況で呼ばれるとか意味わかりませんでしたよ。


「あ、ただいまです。ってそういうえばこっちでは…… ほんとに2分しか経過してないんですね」

「2分しかって、消えてる間になにかあったの?」

「まぁ色々。ちょっと確認したいことがあるのでその後でお話しますね」


 孝子さんの返事を待たずにビーコンのチェック。うん。ネックレスにMPが0になってる。これのチャージが1週間くらいかかるらしいから実質周に一度しか使えないみたいだ。

 僕がMPを注ぎ込めればいいのだけど、そんな都合のいいスキルは無いらしい。第一僕がここにいない間にこのビーコンにMPを入れないといけないのでどうしようもないのだ。


 とりあえず確認は完了したから問題ないかな。これで次は来週。いつ呼び出されるか判らなかった頃に比べて格段に楽になりそう。準備とかしやすいしね。



「もういきなり消えちゃうから心配したわよ! もうどこに行ったのかと思ったじゃない……ってなにそのファンタジー衣装。もしかして早着替え装置だったり?」


 息を落ち着ける間も無く質問攻めですか。孝子さんの立場からすると心配というよりこの服の方が着になるようです。職業柄どうしようもありませんね。

 今僕が着ている服はフィリー姉様が用意した服なので、あちらの文化100%

 どう見てもゲームのコスプレか何かにしか見えません。


「可愛いといえば可愛いけど、なんかちょっと凄いわね」

「あ~。別に僕の趣味という訳では……」

「いえ、ここまでフリルたっぷりで甘ロリされるとちょっとキュンと来るわ。写真とっていい? 撮るけど」

「え?」


 どこから取り出したのか明らかに大きなカメラが手の中に。一眼レフとかいうのでしたっけ? 最近はデジカメも大きくなったもんです。


「あぁ、でもちょっと腰のこれはアレね。というか帽子じゃなくてリボンだけで妥協してるのは許せない感じ。ちょっとコッチきて? 少し手直ししましょう。というかお化粧もちゃんとしましょうか?」

「あの孝子さん? え、とちょっと?」


 孝子さんの表情から笑顔が消えています。というかちょっと迫力が増しているというか、どうしたんでしょうか。


「いいから、もっと可愛くしてあげるから。ね?」

「いえ僕もうこれ脱ぎたいんで」

「可愛くしてあげるから。いいわね?」


 あれ? なんか怒ってる? 僕なにか悪いことしたの?


「だから孝」

「い・い・わ・ね・?」

「……はい」


 あの、僕もう疲れたので寝たいですけど……



----------



 ……朝日が眩しいです。


「いやぁ捗ったわぁ~、優ちゃんのその憂いを含んだ表情がいけないのよ?」

「ね、眠いだけなんです……」


 僕のテンションと反比例するようにハツラツとした表情の孝子さんです。というかツヤツヤです。充実しまくる人生って羨ましいですね。僕を巻き込まないで頂きたいものですが。


「まぁそういうわけね?」

「どういう訳ですか!」

「あぁごめん、一応ほら、撮影中にも聞いてたじゃない? 異世界がどうこうっての」


 さすがに撮影中撮られているだけというのも暇?なので一応説明の努力をしてみました。というかシャッター音ばかり響いてちゃんと説明できたかの自信はなかったのですが。


「まっ、あんまり詳しく聞いてなかったけど」

(やっぱり)

「でもこの服見せられたらちょっと信じる気にはなったわ」


 といって取り出したのは帰ってきた時に僕が着ていた服です。


「普通ね、服、というか布地って糸を織って作るのよ」

「えっと、機織機とかのことですか?」

「そそ、糸を組み合わせて布にして、それを裁断したり染色したりして作るものなんだけど。これは100%別物」


 パンパンと服を叩きます。というかそれパンツですよね? ちょっと恥ずかしいのでやめて下さい。


「フリースとか化学繊維なら一応可能、なのかもしれないけどこれは違う。絹の手触りがありながら一枚の布の服として形ができてるの。別の言い方をすると、針と糸が使われてないのよ」

「……それってどうやって縫い合わせてるんでしょうか?」

「縫い合わせてないわね。最初からこの形で作られてる。途中がゴッソリと抜けていきなり完成品がある感じ」


 流石におかしいですね。まるで魔法か何かのようです。


「魔法というか、ゲームっぽい。スキルだっけ? MPを消費すると色々作れるって超能力?みたいなもののことを言われたけど、そういう技術を前提にしないとこういうものは出てこないと思うわ」

「まぁ、多分そうなんだと思います。一応中間素材という概念はありますが、完成形でどこに使われてるってものはありますから」

「ふぅん。やっぱりなんか歪よね。自然じゃない感じ。まぁそれだけで異世界から持ち込まれたものだってのは理解できるわ」


 そんなこと言いながら持ち上げたのはやっぱりパンツです。ドシフンのアレです。だからほんと恥ずかしいのでやめて下さいって。


「しかし、一発整形できるならこんな単純な形じゃなくてもっと可愛いの作ればいいのに。フリルはあってもレースは無いのかしら? 細かい細工も結構適当だったりするし、デザイナーじゃなくてイラストレーターが作った服みたい」

「そういうのって差があるんですが?」

「大有りよ? だってデザイナーだって『着てもらう』ことを前提としている以上はこれだけは守らないといけないラインてのがあるのよ」

「……どんなのです?」

「作れること。少なくとも型紙に起こして量産できることは前提。一点ものだとしたらそれこそ着心地とかになるけどね。これはえっと姉様?とやらが作ったものじゃないのよね?」

「多分でですけどどこかで購入してきたものかと思います」

「だとしたらある程度の量産に耐えるものだと思うしやっぱり変だわ。立体裁断ってレベルじゃない。布として作られた段階で立体になってるもの」


 ブラのカップの部分とか、腰周りとかは布を寄せたり合わせたりして形を作るものだそうですが、それが全く無いそうです。


「……まぁいいかぁ」

「いいんですか?」

「うん、自分でどうにかできるわけでもないし、優ちゃんにやらせるつもりもないしね~」

「そうなんですか?」

「だって洋服作るところまで優ちゃんにやらせたら過労で倒れちゃうもの」


 いやだからって抱きつかないでください。倒れてしまいます。


「やっぱり優ちゃんは可愛いままでいて~、どこかで針子さんとかさせるのはもったいないもの~」

「というか僕はモデルもあんまり……」

「駅前のケーキ屋の月10個限定プリン」

「……うぅ」

「追加でシュークリーム」

「……たまになら」

「やっぱり優ちゃん大好き~」


 あぁ、僕もう寝ていいですか?




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