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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第二章 僕の日常生活?
24/45

01.僕は静かに暮らしたい。ホントマジ。

第二章開始です。早産過ぎて誤字脱字オンパレードかもしれません、ご指摘頂ければ幸いです。


 所持金は8、210円。


 現在の僕の全財産。その全てだ。

 そりゃぁヒタスラ苦労し続けて溜め込んでいた全財産。多少お菓子に消えたけど、その全てだ。

 今その全てに近い金額が失われようとしていました。



「ジーンズが1,980円。店舗限定品のシャツとセーターのセットが980円。Tシャツが3つで千円。トランクスも3つ千円。ソックスが2つで500円ですね。合計が税込5、896円になります!」


 普段はこんな買い物はしない。というか孤児院には半年毎に寄付という名の支援物資的な物が届くし、その中に衣類も含まれているのですから。

 流石に汚い格好をさせ続けるわけにはいかないので一山いくらというダンボールの中から適当に3着分ずつもっていっていいことになっているんですけど…… まぁ言わなくてもわかると思うかもだけど僕のところに回ってくるのはよく言って「ボロ」悪くいうと「ズタボロ」になった服しかこないのです。


 室内着として着ている分には問題なし。どうせすぐボロボロになるから手直ししても大差ないし、普段ならジャージで過ごせばいいし。ほんとジャージの万能感は凄いよね。あ、普段学校で使いまわせるように2着あるのもポイント高いよね。センパイからのお古でも見られる程度のものは残ってるし。あとは外出するときだけど学生服があるから何の問題も無かった。今まではだけど。


「はい、104円のおつりです! ありがとうございました~! またお越し下さい!」


 何故か両手でニギニギと手渡されたお釣りを確認する。これで残金2、312円。これはなかなか絶望的な気はするけど、それでも僕はこの選択をせざる得なかったんだ。



 そう、お風呂に行きたいからね!



----------



「いっつも余るのよね~。あそこちょっと狭いから人気無いし」

「それもあるけど、歩いて5分もしない駅よりのところに新しいの出来たでしょ? それでかなり酷いらしいわね」

「へぇ、だからってこんなにタダ券持ってこられてもねぇ…… 前までなら結構いいネタだったんだけど、流石に『新しい方の無いの? ならいいや』なんて言われちゃぁ…… ってあら優ちゃんどうしたの?」



 僕がフィリー姉様のところから戻って翌日。昨日よりは平和な生活を送り(ドラゴンとか見たことないので)、学校でも大した事故も事件も無くいつものように新聞配達の仕事を終えて戻ってきたところに、勧誘や事務仕事をしているおばちゃん達が井戸端会議よろしく立ち話をしていました。


「あら優ちゃんもう終ったの? 最近早いわねぇ」

「おかえりなさい優ちゃん。寒かったでしょ~お茶飲む?」


 断る理由もないのでご相伴に預かることにしました。けっしてお茶請けの芋羊羹に目がくらんだわけでではありません。本当なのです。


「ってなことがあってね。期限も近いし余っちゃってどうしようって話になってるのよ」


 と見せてくれたのが、隣町くらいの距離にあるスーパー銭湯の無料券。それがなんと10枚も付いているまさしくスーパーなチケットですた。興奮しすぎて語尾が変だ。


「そ、そ、そそそ、それめちゃくちゃイイやつじゃないですか!」


 なんしろスーパー銭湯である。行ったことはないけどきっとスーパーに違いないです。僕の知ってるスーパーなんて近所のマルキュウくらいしかないけど。


「ん~豪華っていうか、それしか特典が無いっていうの? サウナも無いし食事どころもついてないからスーパーとか付ける意味がないのよ? どっちかっていうと昔の銭湯がちょっと立派になった程度だし」

「場所も悪いから普段から人がいなくてね、のびのびと入りたいならいいのかもしれないけど、それほど広くも無いからあんまりのんびりとはいかないしね」


 このお二人からするとスーパー銭湯としては落第らしいです。


「ででででも! すごいイイと思います! 僕なら絶対行きます!」


 だって最近お風呂に入れないし。トイレに篭って濡れタオルで体を拭く程度しかできなません。[消臭]で誤魔化してはいるけどいい加減限界ってものなのです。最近は寒いから外で水浴びなんてチャレンジャーなことはやりたくてもできませんし。


「ん~、まぁそこまで言うならこれ使う?」

「ほ、ほんとですかっ!」


 僕の目は今間違いなく輝いている。だって欲しいし! って判り易かったのかもしれないけど、特に「隣町」ってのがいい。知り合いに合う確立が低いし。


「そう? じゃぁハイこれ」


 とあっさり。二セットも頂きました。すごい。20回もお風呂に行ける…… あぁ、なんていい人や、この人は神様に違いないです。おばちゃんとか思っててすいませんでした。


「あらあら、そんなに嬉しそうにされるとこっとまで嬉しくなるわねぇ。じゃぁオマケでこれも付けちゃうわ」


 と次々と手渡されたのが、同じ施設で使える「スパセットレンタル無料券(10枚つづり)」が2セット。


「これもっていけば着替えだけ持って行けば済むから楽よね」

「あら? まだあったの? そっちも付ければ勧誘的に意味あるんだけどねぇ」

「あぁこれちょっと少ないからお得意さん用にとってあるのよ。優ちゃんは最近がんばってるから特別にね?」

「はい! ありがというございます! 大事に使いますね!」


 あぁ、これでお風呂に入れる。しかも自分で掃除とかしなくていい。まさしくパラダイスです。

 とこの時は思ってました。いやかなりマジで。



----------



 気が付いたんです。流石に学生服で行くのはまずいと。


 だって学生服って男物じゃないですか。いや僕は世間的に男で通しているので普段は問題ないんですよ。普段は。

 でもお風呂ですよ? 裸になるんですよ? 水着とか着て入るようなところじゃないんですよ? たぶんですけど。いやそうですよね? スーパー銭湯って混浴ってネタないですよね?

 と思ってチケットをジロジロと眺めつつ調べましたが「混浴」という語句は存在しないのでたぶん無いでしょう。あったらピンチってレベルじゃねぇんですが。


 で、学生服で行くのはマズいとするとあとは私服な訳ですが、これがそこらじゅうにボロボロと穴とかツギハギとかがある、まぁ外に出歩くにはかな~りみっともないものなんです。室内着としてしか考えてなかったのでこれでも問題なかったんですが、流石にこのまま外に出る気にはなれません。



 ということがあって冒頭に戻る訳です。

 今僕は、普段あまりしない新品の服を着て歩いています。いつも学生服でしか出歩いていないのでなんだか新鮮な気分です。


 あぁ、久々?だなぁお風呂。もういいよねお風呂。あったかくて、ポカポカして。もうなんか色々許せそうな素敵世界。ふやけたり上せたりしなければ一生入っていたい。


 おっといかんいかん、ぼんやりして変な顔してたかも。慌ててキョロキョロと見回してみるけど、誰も僕のことを見ていた訳ではないらしい。一人小さな女の子がじーっと見ていたような気がするけど気にしないことにしましょう。なんかお母さんらしき人に注意されてたような気がするけど。



 さて。やってきました「スーパー銭湯 只野湯」。


 ……もしかすると名前が悪くて人来ないんじゃないですかね?

 まぁそれはともかく、キンチョーします。それもそうです。これから僕は女湯に入ろうとしているのです。

 男子が女湯に入るなんて、それころ清掃ぐらいしかないのはずですし、正面から堂々と入ろうなんてバカはいないんじゃないでしょうか? 昔に女装して女湯で盗撮をしたって変態がニュースになったことがありますが、それくらいバカげたことだと思います。


 でも、でもでも! 僕は今、心はともかく身体は女性! 女の子なんです。 どうしようもないくらいに女の子です。女湯に入っちゃいけないなんてことはないのです。 というか男湯に入ったら怒られるのです。そっちの方が気安いんですが、流石に男湯に平然と入れるほどの年齢(たぶん4・5歳?)ではないのですから。


「……ちょっとどいてくれる? 通れないから」


 気が付いたら横に女の人が立ってました。


「ご、ごめんなさい!」


 と慌てて飛びのきました。なんだかジロジロと見られてしまいましたが悪かったのは僕の方なので仕方ありません。それにしても大きな荷物です。旅行鞄が2つ分とか凄い重そう。お風呂に来るにしちゃかなりの量ですね。どんなお仕事の人なんでしょうか? なんて思っていたらそのまま通り過ぎていきました。単に通行の邪魔なだけなようで。落ち着け僕。


 えっと少し呼吸を整えて、それじゃぁ入りますか!




 入り口を抜けると下駄箱がずらっと壁一面に並んでいました。一番高いところは届きそうにないので素直に目の前の高さのを選びます。お、77番だ、なんだかラッキーかも? 気のせいか。


 靴を預けて中に入るとさらに休憩スペースのような長椅子やマッサージチェアやら観賞植物やら置いて有ります。奥にわかりやすく赤青で色分けされた暖簾のかかった入り口がありちゃんと男女別だとわかります。よかったよかった。

 二つの暖簾の間に売店スペースのようなものがあって、売り子さん?が静かに待機していました。


「いらっしゃいませ~」

「あ、ハイ、えっとこ、これ、使えます?」


 ちょっとまだ緊張が抜け気っていないのと、ズボンが新品のせいで妙に取り出しにくいポケットから只券を取り出します。くぃくぃっとね。あ、ちょっと破けてた。


「えっと、無料チケットをご利用ですね。シャンプーとかのつくスパセットの利用券はお持ちですか?」

「は、はい」


 慌ててサイフに押し込んであったスパ券(?)を取り出す。つもりが切れてなかった。あわわ。

 とか慌ててたらお姉さんが切り分けてくれました。そんなに危なっかしかっただろうか? まぁいいや大丈夫大丈夫。これから僕は桃源郷に向かうんだか。


「少々お待ち下さいね……はいこれ。あとでこの木札を渡してもらえればお好きなドリンク1つと交換できますよ。一応規則なので無くさないでくださいね」

「あ、ありがとうございます!」

「……ふふ、ではごゆっくり」


 うん、なんだか変な反応しちゃった気がするけどまぁいいや。


 目の前の暖簾しか見てなかった。だってお風呂だしっ! という多幸感?に包まれていたから。だからだろうか、後ろから声がかかるなんてコレッポッチも思っていなかったんだ。


「良かった! 優君きてたんだね!」


 満面の笑みを浮かべてそこにいたのは、ルームメイトの武志君だった。だったのです。




 ナンデ? タケシクンナンデ?


「ここのチケットも、らったって聞いてさ、一人じゃさ、心配だったからさ、慌てて追いかけてさ、来ちゃったよ!」


 荒い呼吸の合間から切れ切れに、それでも言いたいことを言い切ると大きく呼吸を整えた。

 というところは見れた。気がする。


「最近落ち着いて話もできなかったし、そういや優君に渡したから僕にもってもらってきたんだ。君のことだから待ちきれずに一人で行っちゃうだろうって思ってたけど、本当に好きな事には一直線だよね」


 まぁ好きなおかずとかお菓子とか、真っ先に確保しないと無くなって当たり前の生活でしたからね。もはや必然というか生きるための必要な知恵でしたし。


「こんなところで立ち話もなんだから早く入ろ? あ、これチケットです、それじゃぁ行くよ!」


 腕を引かれ、抵抗することも許されず。



 そのまま口を出すことも出来ずに男湯に連れ込まれてしまいました……




「ん? どうしたの? あぁこのロッカーに洋服は入れておいてね。タオルとかシャンプーとかは持っていかないとダメだけど、洗面器とかは置いてあるから」


 ソクサクと、大胆に。いや普通なんでしょうが、武志君はひとしきり説明した後でパパッと全裸になってお風呂場に突入していきました。それにしても武志君は最近肉付きがよくなってきましたね。微妙に筋肉が目立ってきたような気がします。ちょっと前まえまで僕もあんな感じに……ならなかったでしょうね。それだけは確信が持てます。


 ……。


 い、今なら、か、帰れる……。


 そう、この場で帰っておけば、「ごめんねお腹が痛くなっちゃって」なんて言い訳で済む。そう思えるのです。

 でも、でもですよ? ほんの1・2cm開けた扉の向こうから漂ってくる湯気。白くも暖かな湯気の気配と、その奥に覗く大きな湯船。実際孤児院のより2回りくらいは大きいでしょうか。そんな風呂に時間制限とか厳しい監視の目も無く入れる喜び。第一ここまで来て貴重な無料チケットを浪費するのももったいなさすぎます。


 覚悟するか。


 そのためにもまずは警戒です。[地図作成]および[危機察知 Lv5]を総動員しての完全警戒です。

 周囲に人は3名。うち男湯の脱衣所に1名(僕だけ)、男湯内に2名。っとよし[鑑定]。えっと、74才のおじいちゃん? お名前がカタカナで表示される以外は特に……っととと、靴下脱ぎながら見るもんじゃないですね。あ、閉じちゃった。まぁいいか。それよりこっちこっちっと。


 [危機察知]もレベルが上がると細かく応用が利くようになります。ここでは「対象の視線を察知」するように調整……っと、できたかな。うんうん。視界の中に「その人が見えている範囲」が表示される。[地図]を確認すると、なんかメタル○アのソリト○レーダーみたいなものが展開しています。5分で1MPを消費するみたいなのであまり長い時間は難しいけど、これで最低限の防衛行動は可能でしょう。


 今は……誰も見てない。うん。大丈夫。


 ズボンを脱いでシャツを……脱ぐ前にバスタオルを体に巻きつける。

 ネックレスは、いつも付けてるようにしたいけど流石にお風呂は無理かな。全裸で呼び出されてもこまるし。うん、置いておこう。

 う~、やっぱりシャツは脱いでからのほうがいいか。えっと、誰も見てないよね? よし大丈夫。

 さて、最後にパンツだ。うん、片足が引っかかったりもしたけどまぁなんとか無事。


 ハンドタオルよし、シャンプーセットよし。



 では、銭湯開始だ。




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