14.ダンジョン以外でも役立つスキルが欲しいのです。
疲労困憊、という程ではないけどかなりの疲労感。ステータス的に表示されない疲労の正体とは? と問い詰めたくなるところだけど、HPとかはあまり減っていないから問題はないんだろう。本当に不思議です。
そうそう、レベルが上がりました。2つ上がって7です。レベルって上がれば上がるほど上がりにくくなるんでしょうか? なんとなくそんな気はしていたので特に気にしないことにします。
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ユウ・ユキヅキ 性別:女 レベル:7 年齢:12
HP: 90/90 MP:167/373
STR: 6 CON: 6 DEX:10
INT:13 POW:11 APP:17 LUK:16
称号 :[捨てられたモノ][学生][学生アルバイト][自動修復サンドバッグ][おやつ係(笑)][自己犠牲(笑)][次元踏破者][異邦人][被従魔契約(主人:フィリーオ・フォン・エストン)]
スキル:[異界語(日本語)][苦痛耐性 Lv1][精神耐性 Lv1][環境適応 Lv1][サバイバル Lv2][裁縫 Lv1][清掃 Lv1][洗濯 Lv1][算術 Lv1][効率向上 Lv1][共通語][魔術の才覚][鑑定][獲得経験増加][レベルアップボーナス増加][支援魔術 Lv1][危機察知 Lv1][緊急回避 Lv1][生活魔術 Lv1][MP回復強化][アイテムボックス Lv3][術具作成 Lv4][調合 Lv2][棒術 Lv1]
ボーナスポイント :15
▼取得可能スキル一覧
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はい。[術具作成]と[調合]のレベルが1づつ上がりました。あんだけやってれば当然かもしれませんが、[術具作成]のレベルが4に届くのは異常だそうです。この短期間で考えたらめちゃくちゃなのは否定しきれませんが、やってることもメチャクチャだと思うので一緒だと思います。
[調合]はレベル3に届いてもいいかなぁと思ってましたが、作っているものが『低級MP回復薬』なので経験値的にあまり効率はよくないんだとか。それでもレベルが上がるのは凄いのよと言われました。
ステータスはINTとDEXが1づつ上昇。流石にLUKとかAPPとかは上昇しませんでした。いや減ってるのが無いみたいなので一安心です。
というかステータスに括弧がついていないところからすると、地球側よりもレベルアップの恩恵が明らかに早く得られているのではないかと思います。MPだって1分で1くらい回復する勢いなのでめちゃくちゃな勢いで使える計算です。 24時間X60分なので1,440MP! これはヤバい。地球では一日24MPしか回復しないわけなのでざっと60倍もの差が開いていることになります。MP回復に限ったことなのではっきりとはしませんが、スキルの性能が異常なせいかもしれません。
それはともかくです。とりあえずお腹が空きました。さっきからきゅ~きゅ~可愛い音がなりっぱなしだったみたいです。自分のことながら恥かしさを感じざるえません。
「さぁって、あぁそうか食事の用意よね。私一人だったからちょっと忘れてたわ」
流石に僕の様子?を見てお姉様が気を使ってくれたようです。ちなみにお姉様は僕の作った呪印紙に自分の使う魔術記号を書き込んでいたみたいでした。ペンが引っかからなくてとても書きやすい、流石最上級!と褒めちぎることしかりでした。あのわら半紙がどうしてあんなにツルツルな紙に化けるのか原理がサッパリです。
まぁそれはともかく、今は当面の問題に対処しましょう。
「えっと、これまではどうしてたんですか?」
というわけで聞いてみると、どうやら適当にテキトウに済ませていたとのこと。パンとかそのまま食べられるし、一応健康に気を使って野菜とかもたま~に食べていたそうです。僕の為に今朝は結構頑張ってくれちゃったとのこと。いつもの分量で考えていたので食品の買い出し等も「買いだめで大丈夫かなぁ」みたいな程度の考えも浮かんでいなかったそうです。まぁ色々と忙しい日だったので仕方ないかもしれませんね。
「あ、その、フィリー姉様。一つお願いというか相談があるのですが」
「何よ改まって」
「えっと、レベルが上がってボーナスポイントが10増えたんです」
「え?」
「はい、レベルが2上がってボーナスポイントが増えました」
「そ、そう。なんだかもう滅茶苦茶ね。それだけあればスキルを選びたくなるってことかしら?」
「はい。なので一つ取りたいスキルがあるのを思い出しました。……取っていいでしょうか?」
本来なら問答無用で取ってしまってもいいのかもしれないけど、せっかくだしフィリー姉様に許してもらってからの方がいい気がするのだ。だって僕らに関係あることだし。
「う~ん、スキル次第、というところだけど、何が取りたいの?」
「はい。[調理師]を取ろうかと」
[調理師]は[料理]の上位スキルらしい。何故かリストにあるので取得可能。ただし習得に10ポイント必要になるそうだ。
「……え、選べるの? [調理師]……?」
「はい。10ポイント使う必要があるみたいですけど」
なんだか非常に躊躇う様子を見せるお姉様。一般スキルと違って汎用性はあまりないとされるのが上位スキルだ。しかも戦闘に直接関係が無さそうな感じのスキルだけに判断が微妙に鈍るのも仕方ない。
「確かに便利よね。実家で雇っていた者の中に[調理師]を持っている者がいたけど、シェフだけあって確かな物を作ってくれていたわ」
学院での就学中は基本一人で生活する義務があるらしい。本来なら学生寮に入っていたんだけどトラブルが絶えなかったので許可を得て学外で一人暮らしをしているそうだ。本来なら王族が従者を引き連れて生活するためのルールだったそうだけど、お姉様は『一人で生活する!』という宣言をしているので身の回りの世話をするものがいなくて大変らしい。
朝食を作っていた時も思ったけど、このお姉様は自分で食をどうにかしようっていう欲求が少ないっていうかほとんど無いみたい。できれば美味しいものを食べて欲しいと思うのはわがままなんでしょうか?
「……ん~~~、まぁスキル1つ分はとってある訳だしまぁいいでしょ。折角ユウがわがまま言ってくれたんだもの、許してあげるのも主人の甲斐性ってものよね」
何がなんだかわからないけどとりあえずです。
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そういうわけで[調理師 Lv1]は凄いです。
朝食の時になんとなく見ていたハムとかレタスみたいなものとかの詳細が[鑑定]とリンクして的確な情報として僕に伝わります。どう扱ってあげれば美味しくなれるか、っていう情報がもう溢れんばかりに。更に地球での知識もリンク、してたらいいんですが僕の食生活はそんなに優れたものではないのでそれなりでしたけど。でも給食のおかげで一定レベルの食事の知識はあったようです。主に[調理師]が掘り起こした知識ではあったんですが。
「……えぇっと、ここにあった食材だけで調理したのよね?」
「そうです! ……使っちゃいけない食材とかありました?」
「あぁいえ、店にいってテキトウに買ってきたものばかりだったし、あと2・3日もしないうちにダメになるようなものもあったはずなんだけど」
「あぁ、えっとここにあった赤い野菜(僕的にトマトと認識した)は使っちゃいました。そろそろダメになりそうだったので」
「でもどこにも見当たらないのだけど、どう使ったの?」
「はい、それはすりつぶしてソースに使いました。程よい酸味が出ていいソースになったと思います。あ、この肉にかかってるヤツです」
「え? あぁこれね。フォークとかどうしたの? まともに用意してなかったと思うけど」
「簡単な食器なら作れるみたいなので、隅に積んであった箱を1つ解体して用意しました」
「あぁ、腐り物になってたアレね。別にいいわよ。木製だと使い続けるのは難しいからそのうちちゃんとしたものを用意しましょうか。じゃぁ味見よね」
「はい、どうぞ!」
ナイフとフォークを持つても滑らかに、こういった食事はしばらくしていなかったようだけど実家ではこういった食事が中心だったんじゃないかと思う。
肉を切り裂くナイフの先に滴り纏いつく肉汁。ほんのりとした湯気と共に漂い来る匂いは中に詰めたひき肉とキノコの炒め物の香り。胡椒に似た不思議植物を刻みいれているおかげでさぞかし食欲が刺激されることだろう。
皿に滴る肉のジュースを気にしつつも一口。その表情は少し驚いた様子だけど、特に変化することもなく、ただ目を閉じてゆっくりと肉を咀嚼していく。静かな世界にゆっくりと奏でられる肉の潰れる音。弾ける肉汁が唇から少し垂れてしまったようで慌ててナプキンでふき取ったり、少し慌てたように二切れ目が運び込まれる。
静かに、ひたすら静かに過ぎていく時間。こういう時に何も言われないのはとても怖い。味付けが合わなかったのかな? もしかすると嫌いなものがあったのかもしれない。僕を傷つけないようにととりあえず食べきってしまってから感想を言おうとしていたりしたら、ちょっと悪いことしちゃったのかな……
「あ、あのお姉様、お口にあいませんでした……か……?」
ちょっと、いや随分自信は無い。だって初めて作った『料理』といえそうなものだ。いくら[調理師]による補正があったとはいえ、素人がどうにかできるとは思えない……
「……ユウ。お願い。ちょっと黙って」
「あ、ハイ」
凄い顔、真剣な顔。怖い。やっぱりダメだったんだなぁ……
としょんぼりすること数十秒。いや実際にはどれくらいだったんだろうか。僕として1時間くらいたっていたような気さえする。
「……はぁ、飲むものが欲しいわね。何か無いのかしら?」
「はい、お茶を用意してます」
スープでも良かったんだけどちょっと味の濃いものだったから合わないかと思って用意していなかった。お茶の好みはきっとこれだろうという茶葉があったので(一つだけやたらとあった)こっちはなんとかなったと思う。頭の中にタイマーみたいなのがあって最適なタイミングが分かるっぽい。これ凄い便利だよね。
「……んぁ。ふぅ。さっきはごめんなさいねユウ」
「いえ、僕がこんなことしなければ良かっただけですし……」
「え?」
「すいません折角スキルを取る許可を頂いてまで作ってみましたけど、お姉様のお口に合わなかったみたいで……」
「何言ってるのよ。これからもよろしくね」
「……え?」
「こんなソース、実家でも食べた事無いわ。ほんと。お世辞抜きでユウに[調理師]を取らせて良かった。心からそう思うわ」
…え?
「というかユウ。自分の分はどうしたの?」
「あ、えっと味見とかしてたらお腹もならなくなったので……」
流石に味もわからない状態で出す訳にはいかないし、確認でソースの味を見たりはしていた。お腹がクークーなってないのはそのおかげだろう。いつの間にかお姉様に食べて欲しいってことしか考えてなかったので、自分の分はすっかり忘れていただけなんだけどね。
「……ほんとしょうがないわね。ほら一口食べてみなさいって」
そういって一切れ僕の口元に差し出してくる。う~ん、こういうのってどうなんだろ? ちょっと恥ずかしいってレベルじゃないんだけど。
きゅ~~~~。
うん、タイミング良過ぎ。
「もう、ほら早く口を開けて。あ~~~んって」
はい、すいません頂きます。
……お、おいしぃ?
「ね? 美味しいでしょ?」
いやちょっと恥ずかしくてあんまりわかんなかったんですが、確かに食べられる味です。いや味見してましたしこんなにちゃんと食べられるものが作れると思ってなかったんですけどね。
「こんなの食べちゃったらもう自分で食事の準備なんかできるわけないじゃない。もうユウのことお嫁さんにしちゃおうかしら?」
それはもう鮮やかに。これが『華が咲くような』笑顔なんでしょうか。もう綺麗で、なんと言っていいのかわかりませんでした。
結局その後は材料の残りを使って簡単に食事を準備、お姉様と一緒に食べました。途中一口取ったり取られたり。食べたり食べさせたりと、とても楽しい食事でした。誰かと一緒の食事がこんなに美味しいなんて初めてでしたよ。




