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M.Aに捧ぐ
エリカ、ああ、私のエリカ。我が魂の内奥をえぐる深い傷にかつての愛を埋めて癒してくれた優しいマリア。無限と錯覚してしまいそうな宇宙の歴史の中でも空前絶後の偶然が生み出した私の天使。この世界を見捨てた怠惰な神の唯一の傑作。蜂蜜色の丸い肩も、朝のミルクを流したような白いなめらかな背中も、かよわく伸びた細い手足も、光をたたえ、どんな黄昏よりも金色に輝いて小さな肩甲骨を隠す色素の薄い髪も、星を散りばめた夜空を映す海のように無限の奥行きと黒い深みを秘めた瞳も、すべてが神の愛によって想像されていた。それはつまり、私の愛でもあった。
あの子がいたずらっ子のように白い歯を見せて笑うとき、私の愛は頂点を極め、あの子が悲哀の涙を流すとき、私の愛は深淵に落ちた。あの子の愛らしい仕草すべてが、我が官能を天国と地獄のあいだで激しく揺り動かし、もつれさせて、果てのない苦悩を呼び起こしたのであるが、今となってはその痛みすら愛おしい。あの子が桃色の薔薇の花弁のごとき唇をそのかわいい舌で舐めて潤いを与え、宇宙で最も艶かしい、もの欲しげな声で私の名前を呼んだときの我が血肉の沸騰をいかにして表現したものか。ああ、言葉とは何ともどかしい!
私がこうも苦悩に身をよじらせて書くのは、死ぬ前の感傷とか私の存在の片鱗をこの世に残したいとかなどという下らない理由では断じてないことを、読者には留意されたい。この腕に灼熱の鞭を打っているのは頭蓋骨の裏にへばりついて木霊する私自身が自らに課した責務なのであり、私はこの神なき世において神の臨在を記述しなければならないのである。
書くという行為には出産のような絶望的努力が必要だ。此度の分娩は魂を引き裂く煉獄の責め苦を伴うことは確実である。だが、それがなんだというのか。彼らは神を愛したが私はエリカを愛したのだ。




