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神の創りし新世界より A  作者: ゴウベン
第三部 覇都の遺産
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7.始まりの死地

 そこはまるで死の世界だった。

 巨大な成層火山。

 カツォノブレイッカ山

 その五合目付近の荒れ果てた山腹から見える遥か緩やかな登り坂の先にもうもうと噴煙を上げる山頂の火口が見える。

 章子とオリル、昇、サマリナの四人は、この第五世界に着いて何日かが経った頃、当のサマリナに誘われてこの例の命の与えられた水槍を地球の中心部に目掛けて投下した地とされる「始まりの地」を訪れていた。

「ここって私たちの富士山に似てない?」

「同じ成層火山だからじゃないかな」 

 富士山とは違って斜面は剃った部分のないなだらかな直線だが、そこは第五文明の中でも十の指に入る高峰の一つだ。

「水槍ペンティスラ本体の主な性質は最初に与えられた温度方向に初速度のまま移行していくものだって言ってたよね?」

 昇の言にサマリナは頷く。

「水槍は箱の中で常に0度の状態で維持されていました。私たちは槍に「この槍を外へ取り出したい」と願い温度加速が始まる直前に槍に命を与えそれをまた箱に戻したのです」

 槍は箱から出された瞬間に加温なら加温に冷温なら冷温方向に自分の構成温度を初速のまま加速していく性質を秘めている。

「その時の変温方向は加温」

 サマリナが頷く。

「そして加温速度は毎時0.01度。それは例え鉄をも溶かす溶岩に落とし込んでもその加温速度は変わりません。

 正直に言うとこれは賭けでした。

 槍が地球内部よりも熱を持ちだした頃、その槍に刻み込まれた命が自身の危険を察知し温度上昇を抑えるために地球と同化していく様になるかならないかという」

「その温度上昇を止める為の手段は?」

 いくらなんでも命を与えただけでその命が槍の機能全てを掌握できるわけではない。

「槍に付属していた固体物質の創製能力でした。これは人の願いを具現化するための槍の副産物的な能力だったのですが私たちはこれを内部温度を冷却するための手段に応用しようと考えたんです」

 意外なことに魔法による物質生成時の過程で起こる現象は排気等による温度上昇ではなく吸気に近い現象による温度吸収だった。

「物体を創製すると熱を排出するんじゃなく熱を吸収し周囲を冷却する」

「つまり槍に刻まれた命の生存本能が無意識的にでもその機能に気づくかどうかが問題だったのね」

「そして、槍がその状態になった時が第五世界から始まる地球体積の増大の始まりだったんだ」

 昇はその火口の先を見た。それはあるいは地面深く、この星の核に位置する場所だったのかもしれない。

 昇は言った。

「いるんだな。そこに」

 昇はそう直感していた。


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