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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
2年目
67/558

65:レトロフェス

 少し振り付けのレクチャーをしてもらって、お昼を食べて、そこからしっかり4時間。明石さんに振り付けを一通り教えてもらって、自分で練習して、アドバイスをもらう。というのが続き、あっという間に時間になった。

 振り付け自体は、ミアシスに入るときよりだいぶ簡単。たぶん、ボーカル専任の市原さんがいるからだと思う。

 そして、今日この時間だけで気づいたこと。少しだけ竹田さんの見る目が変わったんじゃないかなって感じる。

 最初は怪訝な目で私を見ていたけど、それが少しだけ『やるじゃん』と言いたそうな目に変わった。

 振り付けがこれくらいの易しさなら、続けていけるとは思う。ただ、油断ができないのは事実だから、しっかりと食らいつく。


 そこから3ヶ月。毎週木曜日にムーンライトスターとサンシャインの合同振り合わせは続いて、毎週行くたびに披露する曲が決まる。6月までには全ての楽曲が決まり、ここから必死よね。

 ミアシスも6月に新しいシングルをリリースしてリリースイベントこなしたんだから。それに伴って、振り付けをしっかりと覚えないといけなかったし。

 振り付けを覚えないといけない楽曲が10曲以上も抱えている私の頭は、もうすでにパンク寸前。あと1曲とか言われたら、同時進行で覚えている楽曲が全部ごちゃ混ぜになりそう。

 そんな今日は、ムーンライトスター名義で初めてのライブ。

 レトロフェスという名のイベントに呼ばれていて、持ち時間が30分でライブが場所を変えて何箇所か。

 ミアシスで30分と言うと、短いような気がするけど、ムーンライトスターで30分は少し長く感じる。たぶん、やったことのない曲で身体が馴れてないからだと思う。馴れたらあっという間だと思うんだけど……。

 とりあえず、セットリストに関しては、橋爪さんと林さんのスタミナが戻らないから、少なめの5曲。

 たった5曲だけだけど、暴れ倒して、いろんな人の心をつかみたいって考えている。


 そんな今日も、また始発の新幹線で東京に。萌奈ちゃんと東京駅で合流してお台場に現地集合って言う予定になっている。

 すでに新幹線は降りて、朝ラッシュも何も関係のない東京駅でぽつんと待たされる私。まぁ、まだ合流する時間に15分ほど早いから来ないのはわかってるんだけど。


「美桜ちゃん、おはよ」


 後ろから聞き慣れた声が聞こえて、後ろを振り向くと萌奈ちゃんがいた。


「おはよう。相変わらず眠そうだね」

「昨日も夜遅くまでバイトだったから。おかげでメークも中途半端だし。またあとでしっかりと顔は作るけど」


 だいぶ疲れた表情で言う萌奈ちゃん。

 仕方ないところはあるのかな。事務所もやめて、フリーな状態。当然、大きな仕事も舞い込んでくるわけがなく、バイトの日々で食いつないでいると自分で言っていた。

 でも、林さんが代表の事務所に入れてもらったんだから、仕事も来るとは思うんだけどね……。


「さっ、とりあえず行こうよ。場所はちゃんと把握してるし、今日のために、イベントの勉強もしてきたし」


 なぜか自信満々の萌奈ちゃん。資料くらいは私も目を通したけど、やっぱり、今までミアシスでやってきた観客の数はびっくりするくらい違う。

 最高がせいぜい300のミアシスが、ムーンライトスターのライブになると、一気に3000とか5000に膨れ上がる。

 そんな中で平常心を保ちながらライブができるのかと心配になる。

 幸い、経験者はたくさんいるから、パニックになっても救い出してくれると思ってる。とくに、市原さんと萌奈ちゃんは相当強い気がする。


「それにしてもさ、美桜ちゃんって本当に千人単位の会場でライブはやったことがないの?」

「本当にないよ。せいぜい、ミアシスの単独で300人が最高。マジックホールがメインでそれ以上はまだいったことがない」


 正直、それ以上をやってもいいんだろうけど、まぁ、ミアシスのメンバー、全員が大パニックになるよね……。私でも今は声や顔に出ていないものの、緊張もしてきているし、だんだんとパニックになりつつある。


「ミアシスさんはそういう風に見えないんだけどなぁ。背伸びしても、まだ余裕はありそうなのに」

「まぁ、まだ露出ができる範囲が決まってるからね。ミアシスの活動は部活程度で、学問優先だから」

「そうなんだ。初めて聞いた。だから関東になかなか来られないんだね。それでも美桜ちゃんは毎週木曜日に来てるじゃん。学校は大丈夫なの?」

「私はもう社会人だから。進学でもいいかなって思ったりもしたけど、進学してまでもやりたいことが特になかったし。それに、ミアシスでいるときのほうが楽しいし」


「やっぱり、美桜ちゃんって、外れてるのか、まともなのかわからない。正論を言うときもあったら、度肝を抜かれるときもあるし。たまに大胆なところがあるよね」


 たまに大胆か。そういえば、翔稀にも沙良にもいわれたことがあるっけ。

 保守的にいくときは、ものすごく守りに入るけど、大胆なときは本当にぶっ飛んだことをするって。

 でも、最近になってその意味がわかった気がする。

 このムーンライトスターのサポートメンバーの話でミアシス一本で活動せずに、サポートメンバーとして活動すること。

 与えられたものをこなすだけじゃなく、自分で何かを決めるっていいなって思った。これで物事が進んでいくんだから。


「さっ、美桜ちゃん、降りるよ」


 どうやら、目的地に着いたみたいで、萌奈ちゃんが降りる準備をしていた。さっ、私も降りる準備をして、集合場所に行くか。


「美桜ちゃんって、緊張してたりする?」

「相当ね。だって初めてなんだから。これで緊張してないとか言ってたらただ者じゃないでしょ」

「まっ、そうだよね。実はね、私も久しぶりのライブだから緊張してるのよね。初披露のライブでミスったらどうしようとか考えちゃうんだよね」

「気にしなくていいんじゃない?ミアシスのみんながそうなんだけど、みんな、たいしてライブ中に細かいことを気にしなくなったし。さすがに、振り付けのときは気を使うみたいだけど」

「やっぱりそこだよね。ホワイトマーガレットのときは忙しすぎてそこまで考えられなかったから。テレビに出て、ラジオのレギュラーをこなして、雑誌の取材。いつ休んで練習するんだろうって感じだったし」


 有名になったら、そのへんが大変なのか。いろいろ様子を見て決めないといけないっていうことよね。私がそれを考えずにやってしまう可能性が大いにあるってわけね。そこは気をつけないといけないところか。


「あっ、あれ、橋爪さんじゃない?」


 少し遠めに見える人影。私の目でも確認できる。間違いなく橋爪さんだ。


「橋爪さん、おはようございます」

「あら、おはよう。二人とも元気そうね。ライブでも元気いっぱいの姿の見られそうね。頼もしいわ」


 うれしそうな顔で言う橋爪さん。たぶん、私たちと一緒で、久しぶりのライブが楽しみなんだろうなと心の中で思う。


「あとはみさと男性陣ね。みさはそろそろ来られるって連絡は来てるし、男性陣もあと10分くらいあればって言ってるし、早いタイミングでみんなそろうでしょ」


 そろうのはいいんだけど、アップをする時間をもう少しほしい。というのも、朝からまた動かずに、じっと同じ姿勢でいたから。

 アップさえできれば、こっちのもの。年齢でも一番若い私が暴れまわるシナリオはできている。


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