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Go high Go! We are MiASYS!  作者: 黒龍
1年目
37/558

35:失意の中で

「由佳も亜稀羅もライブの時はいつも必死やもんね。でも、その中で成功したこととか失敗したこととか考えとかんと、厳しいこと言うかもしれんけど、自分らの成長はないで。ほんまやったら、こういう話し合いが無いのが一番やけどさ」


 沙良の口調は徐々に厳しくなる一方。そろそろこのあたりで止めないと、本当にミアシスは空中分解しちゃう。


「……。沙良。今日はここまでにしよう。このままやっても話がまとまるわけじゃないし、まだリリースイベントは続くから、そこで失敗しないように、明日からまた考えて作っていこうよ」

「なんで今からとちゃうん?ミアシスのライブは面白くないって言われたら離れていくんちゃうん?ちょっとでも時間のあるうちに練っておくべきちゃうん?」

「わかってる。わかってるよ。でも、こんな雰囲気でそんな面白いことが考えられると思ってるの?思ってるなら今すぐここに出して私を納得させてみなさいよ!私だけじゃなく翔稀や亜稀羅、由佳も一緒に!」


 つい歯向かって怒鳴ってしまった。一気に静かになったミアシスの部屋。誰も何も声を発しない。

 とりあえず、明日は〈仮面舞踏会〉のリリースイベント。こんな雰囲気になっちゃえば、明日のセットリストとかうんぬんは言ってられない。場を丸く収めないと。


「とりあえず、明日までは今まで通りに行こう。そこから先はライブがしばらくないから、そこでライブの考え方を変えよう」

「そうやな。美桜の言うとおり、今から明日のこと考えても、うまく行けへんだけや。次が単独かリリースイベントかわからへんけど、ライブの話し合いが始まるまでにそれぞれのライブの考え方を考えようや。時間がかかってもええやん。自分らの納得のいくライブを作り上げようや」

「……わかった。ほんなら、明日に向けて練習しようや」


 練習に向けてみんながぞろぞろと動き出して振り合わせに入る準備に入ってる。でも、私はそんな気分じゃない。振り合わせはしないといけないことはわかってるけど、今日は違う。今はひとりになりたい。


「ごめん、今日、帰らせてもらっていい?たぶん、ショックだからだとは思うんだけど、振り合わせに身が入りそうもないかも」


 そういうと、みんなキョトンとして私の顔を見る。そして、翔稀が一息ついて口を開いた。


「はぁ。言いたいことはわかるし、俺らも美桜が強烈なショックを受けてるんはわかる。やけど、明日の演目だけ合わせとこうや。いつもやってるから合う。ダンスとかっていうのはそんなもんとちゃう。水泳でも一緒やと思うけど、一日休んだだけでも取り戻すのに三日かかるって言うやん。鈍ったまま明日の本番に臨んで、あわんと怪我するって言うのはさすがにダサないか?」


 そう。翔稀の言うこともわかる。そこで一瞬だけ心が揺れた。


「……わかった。一時間だけでもいい?」

「本音を言うと、リーダーとして一日おってほしいんやけどな。気持ちついてこずで、ここで怪我される、する方が怖いし。やけど、鈍ってほしくないから通すだけ通すぞ」

「わかった。で、どうするの?インスト?歌入り?」

「インストやな。ここにきてわざわざ歌入りにする必要が分からへん」


 わかった。それだけ返すと、重い足取りで更衣室に向かうと、練習着に着替えた。


「着替えたよ。どうする?演目順で行く?」

「まぁ、とりあえずそうするか。気になったところは止めながら行くか。亜稀羅、振りを忘れたとかはないよな?あったらそこから行くけど」

「忘れたとかはないわ。不安なところはめっちゃあるけどな」

「例えば?」

「まぁ、しいていうなら〈仮面舞踏会〉のサビやな。『タンタンタンタン』から『ターッタンターッタン』に振りは変わるくせに、ボーカルはそのままやからな」

「私もそこが不安。曲につられそうになって無理やり合わせるしね。表は3拍子に聞こえるけど、ベースはしっかりと4拍子を刻んでるし、ベースの音が耳に入れば問題ないけど、今日はミスったね。ベースが全く聞こえなかった。体育館で、ベースに合わせてもらえてなかったというのもあるけど、苦手やからこそ気にしてる部分でもあるんだよね」

「へぇ。美桜もそこ苦手なんや。意外やわ。いつもスラって行ってるから苦手なところはないと思ったわ」

「まぁ、そこを重点的に行こうや。今日と明日のリハーサルしかできるとこないんやから」

「よし、とりあえず、明日のセットリストを合わせてから仮面舞踏会を中心に合わせて行こか」

「了解」


 そのまま私は一時間で帰ることを忘れてしまい、振り合わせが完璧に終わるまでスタジオにいた。

 でも、こっちのほうがよかったのかもしれない。

 一人で吹っ切れるまで時間をつぶすより、こうやって気づかないうちに吹っ切らせる方がよかったみたい。だいぶ気持ちが楽になった。


「まだちょっと変わるところでつられるところもあるけど、振りに関しては大丈夫やろ。今日はこのへんにしといて、明日また頑張ろうぜ」


 翔稀が言うと、みんな帰る準備を始める。


「翔稀、ありがとう。このあと時間ある?話したいことがある」

「あぁ。別に構へんよ」


 それだけ返すと、翔稀も更衣室に入った。

 ……。ふぅ。なんとか今日も終わった。けど、今日が今までで一番メンタルを削られた気がする。

 いつもメンバーに助けられて、何もできない私。ダンスに関しては、ずっと足を引っ張ってる。こんなの、リーダーでも何でもない。ただの足手まといだ。

 はぁ。なんだか嫌になっちゃうな。思い切って辞めちゃおうかな。

 とりあえず、私も着替えよう。このままだったら帰りにくい。着替えて翔稀をご飯に連れて行こう。

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