<ティフェレト編>37.帰還そして王からの依頼
37.帰還そして王からの依頼
スノウのこめかみに汗が滴る。
ホドでアレックスと対峙していたはずの三足烏・烈の連隊長ホウゲキが見慣れた巨大な大剣を肩に担いで目の前に立っている。
その姿に言葉を発する様子はなく、またかつて本人と対峙した際に感じた武の威圧感は感じられないが、一度剣を交えた存在であればその姿を見ただけで危機的状況と認識してしまう。
「ザリウス!部下たちを連れてここから避難しろ!急げ!」
スノウはザリウスたちにこの場を去るように指示した。
目の前のホウゲキが仮に本物である場合、その実力的にザリウスたちが全滅するのに然程時間はかからない。
むしろ足手まといになってしまうと思い指示するに至ったのだ。
ザリウスは目の前の存在が強いのかどうかわからなかったが、スノウの焦りようから目の前の赤毛トグロがそれほどの実力の持ち主なのだと理解し、部下たちを避難させる。
部下たちは度重なる人智を超えた戦いに精神が崩壊寸前となりふらふらと非難している。
目の前のホウゲキはスノウがホドで見た本人に比べ若干色の薄い感じに見えた。
そのホウゲキはどことなく無機質でしゃべる事はなかったが、大剣を構え攻撃体勢になった。
(来る・・。おれに勝てるか?!アレックスがあれほど苦戦していた男に・・・・)
「いや!考えていても仕方ない!ビビってたら戦う前から負けと同じだ!」
大剣を振り上げて襲いかかってくるホウゲキ。
「上等だよ!」
フラガラッハで大剣の一撃を受ける
ドガン!
あまりの衝撃でスノウの足が地面に少しめり込む。
スノウは止まらない大剣の勢いをフラガラッハを傾けて逸らして避け、その隙に体を回転させてホウゲキの脇腹を深く斬りつける。
ザッパァ!!
ホウゲキの脇腹がパックリ裂ける。
しかし、それに痛みを感じるような表情を浮かべる事なく、ホウゲキは大剣をスノウに向かって水平に斬りつける。
スノウはそれを背中を逸らせて避けそのままバク転を繰り返してホウゲキから距離を取る。
(何か変だな・・・・)
スノウは違和感を感じていた。
なぜならスノウの知るホウゲキに比べ一撃が軽く遅かったからだ。
流石に理由を考えている暇は与えてくれず、攻撃が連続して繰り出される。
だが、スノウはことごとくフラガラッハで受ける事ができている。
ドガン!
スノウはホウゲキの強力な一撃を再度受け止め、流し、その延長で太ももを切りつけた。
かなり深く切りつけたにも関わらずホウゲキは表情ひとつ変える事なく次の攻撃に移る。
(まるでロボットかアンドロイドみたいだな・・・・)
ホウゲキの更なる攻撃が続く。
ドガン!ザガン!バババン!!
あまりに強力なのか、振り下ろした大剣の圧であたりの木々や瓦礫が吹き飛んだ。
血管が浮き出る太い腕で繰り出される幾多の攻撃にスノウは受け切りながら隙を見て斬りつける。
いよいよ致命傷と言えるカウンターをホウゲキの左胸に叩き込む。
だがホウゲキの動きは止まらない。
(おかしいな・・・・思ったほど強くないが切っても切っても倒れない。本物じゃない事くらいわかるが、人でもなさそうだ。おそらく球体の顔の作り出したものだろうな)
スノウは、フラガラッハに雷魔法のライセンを付与し斬りつける。
ホウゲキはスノウの攻撃を受けようとするが、スノウもフェイントでホウゲキの受けを外し、背面に回って痛恨の一撃を喰らわす。
上半身が肩から真っ二つに裂けている上、電撃によって全身に強烈な痺れが走る。
動けなくなったところでさらに細切れにするようにフラガラッハで何度も斬りつける。
普通の生き物であれば血を噴き出して凄惨な状況になるであろう攻撃であったが、スノウの切りつけたホウゲキは細切れになった後、ピクセルデータが消滅するようにかき消えた。
「なんだったんだ?これで終わりじゃないよな?」
「攻撃対象の生存を確認、攻撃失敗。次の攻撃へ移行」
突然現れた球体の顔はそう告げるとまた自身の影に沈み込み消える。
「やべぇな」
あたりを見渡すと30人ほどの人影が突如現れる。
その全てが先ほど戦ったホウゲキだった。
スノウは、先ほどはさほど苦戦もせずに勝つ事ができたが、さすがに30人を相手に勝てる気がしなかった。
「マスター!少し離れてください!」
上空で待機しているホワイトドラゴンのセリアがスノウに話かける。
セリアは喉を膨らませている。
「おお!マジか!」
スノウは急いで後退しその場を離れ瓦礫の裏に隠れる。
セリアの喉が大きく膨れ上がった後、口が大きく開き30人のホウゲキたちがいる一帯に白熱球を放つ。
超高熱の光の塊は地面に触れた瞬間に一帯を高熱で焼き溶かし周辺を吹き飛ばした。
スノウはその爆風で吹き飛ばされそうになるが、剣を地面に突き刺して耐える。
しばらくすると、爆風は収まり一帯が露わになる。
あったはずの建物や瓦礫は溶けて異様な形に変形していた。
30人のホウゲキたちは、当然耐えられるはずもなく跡形もなく消え去っていた。
「マスター!次に球体が現れた時がチャンスです!」
(なるほど!やはり本体をなんとかしないとこの戦闘が終わらないって事だな)
「ありがとうセリア!」
セリアの言う通り、スノウの前方の地面から球体の顔が姿を現す。
スノウは隙を与えず凄まじいスピードで突進し球体の顔目掛けてフラガラッハを振り抜く。
サヴァァ!
球体の顔は真っ二つに切られ、電気のようなものを発しながら地面に転がった。
「攻・・撃・・対・・象・・生存・・・確・・・認・・・次・・・移・・・」
プシュゥゥゥ!
球体の顔は動きを止めた。
「なんだかあっけなかったというか、よくわからない展開だったが、一応ミッション完了のようだ」
上空を飛行しているセリアがスノウの横に着地した。
セリアは、5メートルほどの大きさの首長のドラゴンで美しい透き通るような白い体に蒼い目をしている。
まるで犬が飼い主に甘えるように頭をスノウの体に擦り付けてくる。
「お、おいおい!」
「こ、これは申し訳ありませんマスター。どう言う心境か整理がつかないのですが、ついこのような行動を取りたいという衝動に駆られてしまい・・・・」
「まぁいいんだが、おれたちに敵意というか攻撃をする理由もないという事でいいんだよな?」
「もちろんです、マスター。スノウ様は私を救ってくださった恩人であり、私が仕えるべきマスターであると認識しました。認識というより思い出したと言った方がしっくりくる感じでしょうか。いずれにしてもあなた様の指示に従います」
「お、おう、わかったよ」
(なんだかよく分からないがとにかく結果オーライだな)
「スノォォ!」
騒動が収まったのを理解したのかザリウスが遠くからスノウの方に向かってくる。
「おわーー!!」
瓦礫の影で見えなかったのか、スノウの横にいるのがホワイトドラゴンと認識するや否やザリウスは驚き滑って転んだ。
「き、貴様!このザリウス様がき、斬り殺してくれるわ!」
「ザリウス、大丈夫だ。このホワイトドラゴンは操られていたらしく無意識の中でおれ達を攻撃していたんだ。だが既に正気に戻っているし、どうやらおれ達に危害を加える事もないようだから安心してくれ」
「そ、そうか!このようなドラゴンが仲間になるとは、この先の戦争が楽になるな!わ、わっはっは!」
「無礼な!私は貴方の仲間になったわけではない。このマスターの従者でありそれ以外の何者でもない。あまり無礼がすぎるならこの場で消し去ってくれる」
「!」
ザリウスは恐怖を感じながらも剣を構える。
「おい!2人ともやめろ!」
「申し訳ありません、マスター」
「す、すまないスノウ・・・・」
スノウの一言によって、人間にとってのアリ程度の存在と言わんばかりにセリアの眼中からザリウスは消えた。
一方ザリウスは警戒心を解く事ができないままスノウに従って構えた剣を収めた。
まだザリウスの膝はガクガクと震えている。
「さ、さて!どどどうやら終わったようだな!鬼神スノウの活躍をこの目で見られず残念だが、何はともあれミッション完了だ!帰還するとするか!」
一行は一路ラザレ王宮都に向かうためEVに乗りこむ。
ミッションは完了したが、人数は半分以下に減ってしまった。
スノウに対して蔑んだ態度を取っていた騎士達は凄惨な戦闘のせいで精神をやられてしまい廃人のようになっていた。
おそらく騎士を続ける事は難しいだろう。
傭兵として参加していた冒険者も同様に魂が抜けたようになっていた。
「それじゃぁセリアここでお別れだ」
「!!」
セリアはせっかく得た主人に捨てられるような表情を浮かべ、少し考え込んだ。
「い、いや、その巨体を連れて行くわけにはいかないし、もし連れて行けたとしても攻撃されるぞ。お前の攻撃に対抗できる武力は王宮都には存在しないだろうから勝負にならないかもしれないが・・・・いや、リュラーという強い騎士達がいるからあるいはお前と渡り合えたとしても王宮都は壊滅的なダメージを受けるだろう。それをおれは望まない。だから連れて行くわけにはいかないんだよ」
「承知しました」
素直に諦めてくれたと安心したスノウは、別れを惜しむようにEVに乗り込む。
EVのドアが閉まり走り出す。
騎士や冒険者は運転できる状態ではないため、ザリウスが運転手を務めている。
豪雪地帯を順調に抜け平原を通り無事にラザレ王宮都が見えるところまでついた。
EVが王宮都内に入り、王宮前に到着した。
スノウはまだ心の中で悩んでいた。
マクロニウムをスメラギに渡す事が正解か、それともユーダに渡す事が自分の進むべき道か。
だが、無事にホワイトドラゴンを討伐した(事にしている)報告を止める事もできず、ザリウスはミッション完了を王と総司令に報告した。
「スノウ!!」
思い悩むスノウに慣れ親しんだ声が飛んでくる。
声の主はエスティだった。
ゴーザとレンもいる。
「スノウ!なんだか久しぶりだが随分と立派になったじゃねぁか?いやなってねぇか!がはっはー!」
「アニキー!もうアニキがいない間にいろんな事がありすぎてすごかったんすから!」
「スノウ・・・・」
少し涙目になっているエスティ。
ほんの数日間だったにもかかわらず双方大きな出来事があり落ち着かなかったようだったが、再会した事でやっと心の落ち着きを取り戻したという感じだった。
だが、スノウの気分は依然もやもやしたままだった。
一行は根城にしている宿屋に行きお互いの状況を報告しあう。
「やっぱり王は偽物だったか・・・・」
「そう!しかも偽王は悪魔だったわ。あのコグランの仲間ね」
「そういえば!あの宰相は?!あれはやばい!コグランなんて赤子みたいなもんだ。相当恐ろしい存在なはずなんだが何もなかったのか?」
「宰相?何もなかったわよ?ねぇ?ゴーザ、レン」
「何にも無かったすよ!」
「ああ、とにかく偽王の悪魔はやばかったなぁ!だが真王とお近づきになれたのはらっきーだった!おかげで貴重なアイテムももらえたしな!」
「そうっすよねー!あの本物の王様の捕まってた地下の部屋に誰かが来た時はオイラの機転でうまく乗り切ったっすけど、今回のオイラの活躍といったらそりゃもう!ねぇ!アネゴ!」
エスティ、ゴーザはレンの調子に乗った自慢話をいつものようにスルーした。
レンは宰相とあった事は覚えていないようだった。
「そういえばスノウ。その頭の上に乗っている可愛い生き物は何?!」
「え?」
スノウは自分の姿が見えないため鏡の前に行く。
「なんじゃこりゃーーー!!」
鏡に映った自分を見て驚く。
スノウの頭の上に白い猫のような姿に翼の生えた生き物がちょこんと座っている。
透き通るような白さだが、目は澄んだように蒼い。
「まさか・・・・」
「こんにちわ、マスター」
「こ!こんにちはじゃねぇ!セリアだな?!」
「私は従者ですからね、そう簡単に主人から離れるわけには行きません」
「なんか喋ってるっすよ・・・・あの生き物・・・・」
「可愛いー!」
「なんだぁ?!喋ったぞぉ!!」
「みなさん始めまして。私はセリアです。マスタースノウの従者です。以後お見知り置きを」
「礼儀正しいな」
「礼儀正しいっすね」
「礼儀正しいわね」
礼儀を知らない3人組が可愛さとは裏腹に礼儀正しいセリアを見てそのギャップに感心している。
「どういう経緯かしらないけど、この子も仲間ってこと?」
「あなた方はマスターとどう言った関係ですか?とても懇意な関係に見受けられますが」
「あたしはエスティ。どこまで話を聞いているか分からないけどスノウとずっと一緒に・・・・一緒に・・・・」
エスティはなぜか急に顔を赤らめ、居ても立ってもいられなくなったのか、レンの背中を叩いてモジモジしている。
レンはその衝撃で吹っ飛んで壁にめり込んだ。
「俺はゴーザ。見ての通りドワーフだ。スノウとは出会ってまだ日が浅いが一緒に戦ってこいつに惚れ込んで仲間になった。お前ぇさんがスノウの従者ってのは初耳だが、なんにしても仲間って事だな。よろしく頼むぜおチビさんよ。お、そんでそこの壁に埋まってるのがレンだ。音の魔法で変身できる」
「元の場所へ帰れって言っても無駄か。一緒に来るのは構わないがくれぐれも騒ぎは起こすなよ?もしおれ達の計画や行動を邪魔するなら即刻絶交、破門だからな?」
「!!!・・・・もちろんです。マスターのお邪魔は致しません。誓います。ですのでどうかお側に・・・・」
「ところでおチビさん、お前ぇさんは何て言う種族なんだい?表現すると翼の生えた白い猫だが、そんなのは見た事がねぇ」
「こいつは記憶を失っているんだよ」
「そうなのね、でも希少な生き物よ、きっと。おそらくその可愛さから大昔に乱獲されてしまったとかで数が激減したのと、襲われないようにどこか奥地の方に住処を構えているか。とにかくあたし達があなたを守ってあげるからね!」
「そうっすね!オイラは頼れる男っすから、何かあったら遠慮なく言ってくださいっすよ!」
「おい、セリアはホワイトドラ・・」
セリアは尻尾でスノウの口を塞ぐようにしながらレンの頭に飛び乗った。
そしてスノウにウインクした。
「ホワイトドラ・・何?」
「ああ!分かったぞ!ほわいとドラ猫だ!間違いなねぇぞ!」
「そんな種族あるかい!」
「レンのボウズのくせに生意気だな!じゃぁお前さん当ててみろい」
「ホワイトドラ!きっとホワイトドラって言う珍しい種族っすよ!」
「そんな種族聞いた事ないわよ。あんたやっぱり適当ね。いや適当な馬鹿だわ」
「はぁ?!馬鹿はないでしょ馬鹿は!じゃぁアネゴは何だと思ってるんですか?」
「そんなのスノウに聞くかセリアに聞けばいいじゃない。だから馬鹿なのよ。それでホワイト何なの?」
「い、いやお前らが変な事言ってるから忘れちまったじゃないか」
スノウはセリアの黙っておいて欲しいというお願いを聞いて誤魔化そうとした。
セリアも知らないフリを突き通し、その後もセリアの種族は何なのだという議論で盛り上がったが結局セリアはセリアだという事で落ち着き、大切な仲間として受け入れられた。
・・・・・
・・・
―――翌日―――
「スノウ、エスティ、ゴーザ、レン一行はいるか?」
とある男が宿屋を訪れた。
王宮の騎士だった。
「なんすかね、朝っぱらから」
「貴公らに王宮への出頭命令が出ている。早急に準備を済ませ迎えのEVに乗るように通達する」
眠い目を擦りながら準備を済ませスノウ達は言われるがままEVに乗り込み王宮に連れて行かれた。
スノウ達は謁見の間にいた。
何が始まるのか分からなかったが、側近と思われる者に言われるまま、片膝ついた状態で首を垂れていた。
誰かが入ってきたようだったが、それに合わせて謁見の間にいた者達が一斉に立ち去っていった足音が聞こえる。
「おもてを上げよ」
スノウ達は顔を上げた。
「王様!」
「王じゃねぇか!」
「王様ぁ!」
「はっはっは!数日ぶりか!済まなかったな、突然呼び出して」
「!!」
3人は王様に馴れ馴れしい態度をとってしまった事に気づき、周りを見回して畏まった。
「大丈夫だ。人払いしてある。重要な客人だとしてな」
「ふぅ・・・・」
「おお、すまぬ。貴公はスノウ・・・・だったな。エスティ達の仲間でありリーダーだと聞いている。エスティ達にはとても世話になった。命の恩人だ。何やら貴公の指示でエスティ達は我を救うため潜入したと聞いた。改めて礼を言う」
スノウは状況を察した。
このいかにも豪快な王を救った事で気に入られたようだ。
「いえ、滅相もありません、王様。ですがご無事で何よりです」
「そう固苦しくするな。貴公らとは友でありたいのだ」
「もったいないお言葉。ところで何故私たちを?」
「おお、そうだ。貴公らは空から巨大な岩が降ってくる話は知っているのだな?」
「!!」
(驚いたな・・・・王からいきなりその話かよ)
スノウは思考を巡らせ返答を考えていた。
「もちろん知ってます」
(エスティー!!)
「よし!今スメラギがその巨大な岩、たしか隕石とか彗星とか言ったな、それを破壊する兵器を作成し始めた。スノウ、貴公が禁断の地のホワイトドラゴンを退治した功績によってスメラギが世界を救う兵器を作成できる事になったのだ。改めて礼を言う」
エスティ達はどこか嬉しそうで誇らしげだった。
スノウは無意識に肩に乗っているセリアを少し隠し気味にした。
「だが、我はそれに成功の確信を持っておらん」
「!!・・・・どういう事ですか?」
「スメラギの知恵とモノを作り出す力に絶大な信頼は持っている。おそらく破壊兵器を計画通り作るであろう。だが!その隕石とやらの破壊力はおそらくスメラギの想像を超える!」
「!!」
( なんだその根拠は?スメラギは科学者だぞ?!おそらく彗星の大きさ、質量、スピードからどれだけの破壊力かなんて計算できそうなものだ。そして読みきれない部分はきちんと補完するだけのバッファーは取るはずだし。この王は何を根拠にスメラギの計算を否定する?!)
スノウは王の発言を一気に信用できなくなった。
かつて日本にいた頃の常識で考えてしまうからだ。
「スノウ。貴公は何故我がそこまで自信を持ってスメラギの計画に疑念を持つのか解せないようだな?」
「ええまぁ・・・・あ!いや、そんなことは・・・・」
「はっはっは!畏るな。それでよい。根拠を話そう。これはプレクトラム王から代々王にだけ伝わる言い伝えなのだがな」
―――
異界の神の怒りに触れ
巨大な鉄槌がこの地を穿つ時
聖なるタクトを振るう王に導かれ
世界が紡ぐ歌にて星を降らす
―――
「これはな。代々王が受け継ぐ言葉の約束なのだ。起源も信憑性も分からぬ。だが、王はこの言葉を一片の疑いもなく確信し、それを実行することが使命とされているのだ」
「・・・・」
スノウは信憑性が低いと思ったが、言い知れぬしっくりとくる感覚に襲われ困惑した。
「つ、つまり、ムーサ王自らがその聖なるタクトというものを振るって世界を救うというのでしょうか?」
「分からん!」
「はぁ!?」
「わっはっは!分からんから分からんと言ったのだ!だがな!貴公らを呼んだ理由はこの伝承にある!」
「どういう意味でしょうか?」
「聖なるタクトを探せ!」
「聖なるタクト?!」
「そうだ!その聖なるタクトを見つける鍵はドワーフの里にある!」
「なんですと?!ドワーフの里?!」
「そうだ!プレクトラムがその啓示を受けた時にドワーフだけがその聖なるタクトを作ることができると聞いたそうだ」
「その証明の一つがあのマルシュ大橋ですか?」
「そうだ。かつてプレクトラム王がドワーフの王と交流を持ち、啓示の内容を別ったのだ。未来永劫代々受け継がれるその啓示を互いの王家だけで受け継いでいくことの約束として、架け橋という意味であの大橋を作ったのだ。つまりあの橋がこの伝承の何よりの証拠というわけだ」
「・・・・」
「どうしたゴーザ?」
「いや・・なんでもねぇ」
「友人達よ!どうか我の願いを聞いていただきたい!ドワーフの里へ赴き、聖なるタクトを手に入れこの世界を救う手助けをしてくれ!」
断れる状況では無かった。
スノウは頭では納得できていなかったが心が信じろと訴えている感覚があり困惑したが、ドワーフの里へとにかく行ってみるしかないとそう思っていた。
一行は王家より借り受けたEVで早速ドワーフの里のある地、豪雪地帯を目指した。
1/8修正




