46、アンちゃんのおかげ
まだ壮真も英子ちゃんも眠っている。
「起きたんか?桃ちゃん大丈夫か?」
「アンちゃん!おかえりお母さん大丈夫だった?」
「ああ、ごめんなあれ嘘やねん。ずっと英子ちゃんとデレクを探しててん。探られてるってなって仕方なく。ホンマにごめんな。」
「そうだったの。ありがとう、いつも。」
「ええねんで。でもそろそろお別れや。もう大丈夫やからな。デレクはもうおらへんしな。じゃあ行くわ。しっかり幸せになりーや。」
「えっアンちゃん!そんな急に!」
アンちゃんはそれだけ言うと消えてしまった。私の声で起きた2人が泣いている私を慰めてくれる。それでも私は泣きやめなかった。
「桃ちゃん、アンソニーは世界の番人なんだ。だから1人の人間に執着する事はありえないはずだったなのに。何故か桃ちゃんを助けたいと願ってしまった。だから急に消えてしまうのは許してあげて欲しい。私も詳しくは知らないけどとにかく桃ちゃんを助けようとしてたから。」
「英子ちゃん。ありがとう。」
「うん、じゃあ帰るね。私の家族もいい人だから心配させちゃうからさ!」
「うん、ありがとう。本当にありがとう。また明日ね!」
「じゃあな気をつけて帰れよ。浅田。」
「はい、じゃあまたあした!」
バタンと扉が閉まり私と壮真2人だけになった。その途端色んな感情を抑えきれなくなってまた涙が溢れてきた。
「怖かったもう戻れないかと思った。それにマリアの中に居場所がなかったの朱里さんが全てを良くしてくれてて私なんて。それに瀬良君もあんなに苦しんでいたなんてわからなかった。英子ちゃんもいつも助けてくれてたのに、エイクが好きで追いかけてきたなんて私、最低だよ。」
「おい!しっかりしろ!何も考えるな!もう終わったことだ全部!やっと終わったんだよ!」
私を強く抱きしめてくれるこの世界が私の現実。
「はあ戻ってこれた。」
「ああ、戻ってこれた。お前は強い何か起こってもまたなんとかできる。それにまだまだ楽しい事もある。文化祭も行くんだろう?」
「文化祭。クレープ、たこ焼き、焼きそば、りんご飴、チョコバナナ、メイド喫茶。」
「そうだ、今日はお前が食べたいものを食いに行こう!」
「あの中華がいい初めて一緒に食べに行った。」
「よし行こう!」
中華をたらふく食べて私は落ち着きを取り戻した。
大学の前の席は瀬良君ではなくて、そもそも存在しない人になっているようだ。発表は成績が優秀だから1人でやれと言われたそうだ。英子ちゃんは佐藤さんと本当に付き合っている証としてお揃いの指輪をしていた。
それから4年後。
私と壮真はというと変わらず、一緒に住んでいる状態のままだ。後1年で私は大学卒業なのに壮真が待ちきれず壮真の卒業と共に結婚した。壮真は看護師として働いている。壮真は日に日に柔らかくなっていき、私に対して激甘の旦那様になっている。何をしても許してくれる。壮真の買ってきたゼリーを食べても許してくれる。
英子ちゃんは卒業後佐藤さんと探偵事務所を開くようだ。英子ちゃんのお腹には佐藤さんの子供がいて今6ヶ月で一緒に卒業できるかどうか怪しい所だけど英子ちゃんは、絶対に一緒に卒業する!とぎりぎりまで休学しないつもりらしい。
マコちゃんはアランの佐藤信夫と仲良く付き合っているようだ。それ以上は分からない。
アンちゃんありがとう、アンちゃんのおかげで皆が幸せだよ。




