19、本当の初デート
夏休みになって初めてのデートは美容院に行く事になった。私も壮真もパーマをかける予約を前日にしてから翌朝お店に歩いて出かけた。
「おはようございます。10時に予約の竹中様と柴田様ですね。お2人共パーマとカットですね。ではこちらへどうぞ。」
連れて行かれたのは1番奥の2席だった。壮真には男性の私には女性の美容師さんがついてくれた。私も壮真もふわふわパーマで頼んだので女性の美容師さんがお揃いですねと笑顔で言ってくれたのが嬉しくて恥ずかしかった。
出来上がりは壮真は少し目にかかったふわふわパーマで後ろは短い今風な感じでかっこいい。私はふわふわパーマで優しい感じに見える。美容師さんにお礼を言いお金を払って美容院を出たところで壮真がこちらに振り向いた。
「桃、可愛い。とても似合ってる可愛い。」
そんなに褒められると恥ずかしいけど嬉しくて笑ってしまう。
「ありがとう壮真もかっこいいよ。」
美容院の後はお昼を食べに行くラーメンリベンジだ。
「こってり系だろ。」
「うん。美味しい。」
私は無我夢中でラーメンを啜っていた。こってり系なのだけどスープはどろっとし過ぎずとても美味しい。
「すみません。替え玉お願いします。」
「食え食え。今日は俺の奢りだ。」
「ありがとう。とっても美味しい。」
替え玉をしてチャーハン食べて店を出た。
「壮真ありがとう。ごちそうさまでした。」
「気にするな。そんな高くないし。」
「美味しかった本当にありがとう。まだ13時だし歩いて帰ろうか。」
「ああそうしよう。」
ここから家まで多分30分程だろうゆっくり歩いて帰ろう。
「あの雑貨屋さん可愛いね。」
「見に行くか?」
「ううんいい。大丈夫。」
「なんだよ。いいのか?」
「うん。あのおしゃれなお店に、にんにくまみれの私達が入る権利はない。」
「ああ、まあそうか。また行こう。」
「うん。そうしよう。」
家に着くと自然に私の部屋に戻ろうとするので、どうしたもんかと思いながら、仕方なく招き入れる。ちょっとずつだな。壮真は変わらず勉強し始めた。アンちゃんはずっと隠れているもう慣れたものだろう。
「壮真ごめん。マコちゃんからメールがきてるからちょっと確認するね。」
「ああ。」
桃ちゃん、お願いどうしても人が足りなくて合コンに来てくれませんか?壮真さんがいるのは分かっているんだけど人が足りないの。お願いします。3日後のランチで合コンだから帰り危なくないし。一生のお願い。ここで彼氏ができないとまた壮真さんに……。
「あのー壮真さん、ちょっといいですか。これ見て貰えます?」
「ん、ああ。」
ああ、とんでもなく無表情になっている。という事は物凄く怒っているかも。でもべったりされるのは嫌だ。
「桃はどうしたい?」
「いやできれば行きたくないけど。また壮真にべったりされる位なら行くよ。あの時本当に悲しかった。」
「ああ、ごめんな。一応桃の友達だしあまり無下にして桃が何か言われるのも嫌だったんだ。」
「うん。分かってる。だから行こうかな。」
「ああ、俺もべったりされるのは嫌だ。じゃあ頑張ってきてくれ。」
「うん。」
マコちゃんに返事をする。分かった、協力する。すぐに返事が返ってきてじゃあ12時に〇〇駅前に。
壮真は変わらず無表情のまま勉強している。合コンに行くのは大丈夫だろうか。行くな!って言ってもいいのに。