中編-①
10/21誤字訂正
「なんでこうなるかな」
「だから言ったじゃないですか、首突っ込んだらいけませんと」
「へっへっ、さっきはよくも邪魔してくれたなぁ?代わりに遊んでくれよ」
すっかり日も暮れ、さぁ帰ろうかと城に向かうため中道に入ったところで、昼間花屋にいたゴロツキが仲間を引き連れて現れた。
他に目撃者もおらず顔を見られないだろうと判断したシャナンは溜息をついてフードを下す。
「よぉく見たらフードの下は綺麗な顔してんじゃねぇか。代わりにイイコトするってんなら許してやるぜ?」
「そうね……いいわよ」
くすくす、と笑いながらゴロツキ達に近寄るシャナンに、やれやれという感じで脱いで寄越された外套を受け取り肩をすくめるケイト。
「イイコト、しましょ?」
数分後、そこに立っている男はいなかった。
「手応えなさすぎて鍛錬にもならない…」
レイピアを腰に戻し外套を羽織ると、パチパチと拍手が路地裏に響く。
「…あなたは昼間の…」
「見事な腕前ですね。」
昼間と変わらず柔らかな笑みだが、その瞳はどこか探るようにシャナンを見ている。
「正当防衛よ?」
「わかっていますよ、絡まれる所から見てましたから。必要であれば助太刀をと思ったのですが必要ありませんでしたね」
「そうね、要らないわ」
素っ気なく言って見返すと、フワリと目を細めてくしゃっと顔を崩し笑う青年。
「ーーあなた、会うのは初めてよね?」
「なんですかナンパですか?」
ケイトの冷静なツッコミに思わず慌てる。
「ちがっ、違うわよもちろん、ただ」
遠い昔に、そのくしゃりと笑んだ顔を見た気がしたのだ。
「覚えていてくれて、嬉しいです。」
「えっホントに会ってたんですか⁉︎」
彼が話すには、幼い頃、城下町の外れの森で彼が野犬に襲われていたところをシャナンが助けてくれたのだという。
「あーそんなこともあったかしら……」
あの森は城下町に来ていた際ケイトと隠れんぼをしようと遊びに入り迷子になった嫌な思い出があるので記憶に蓋をしていたのだが、錆びついた記憶を掘り起こしてみれば、その時に男の子が町まで連れ帰ってくれたような気がする。
具体的には覚えていない。
「まさか再会するなんてね。とりあえず、お互い元気でなりよりね。此処にすんでるの?」
「此処には時折来る程度ですね、貴方は?」
「まぁ、似たようなものかしら」
「しかし……本当に、また貴方に会えるとは…」
じぃっと見つめられてなんだか気恥ずかしくなり「それじゃ、行くわ」と手を振る。
もう会うこともないだろう。
「ーー待って下さい!あの、また、会えますか?」
驚き振り返ると、捨てられた子犬のような瞳とかち合い、言葉に詰まる。
「え、いや」
「迷惑はかけませんから、少しだけでも。お願いします」
痛いほどの力で手を取り懇願してくる青年があまりにも真剣で、否と言えず、頷く。
心から幸せそうにくしゃりと笑んだその顔が夕日に照らされ、シャナンはまぶしさに目を細めた。
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