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そして

誰もいなくなった

教室の窓辺に


彼は立っていた



唐突に現れた彼に

その場にある

すべてが

固唾を呑む


しかし

彼は

微笑んでいた


校門をくぐる

2人を見送りながら



さよなら



…と静かに告げた




少しだけ

その場の空気が

和んだ気がした



彼は

ゆっくりと

自分の席に座り

教室を見渡し


そして


密かに好意を

寄せている人を

想った



ゆっくり

眼を閉じる


これからする事と

僅かな願望を思った


彼の中に少しだけ

後悔と罪悪感が

横切った

しかし

それを打ち消す様に

机に突伏して

頭の中を否定した




しばらくしてから

彼は


ふぅ…と

溜息を吐いたかと

思えば

嗚咽を出して

泣き始めた







「イイザワ君!?」



突然

大きな声で呼ばれ

彼の体がビクッと

跳ね上がった


「うわっ

びっくりした」


思わず声に

出てしまった

それでも

彼は急いで

涙を拭いた


「イイザワ君

泣いてるの?」


「あ…いや

何でもないよ」


「何でもない

じゃないよっ

突然消えちゃうから

心配したんだからね」


彼は少し

赤くなりながら

「ごめん

…ありがと」

と呟いた


「わ…私は別に…」


戸惑いながら

大袈裟な振りをした


「でも…どこに

行ってたの?」

私の恥ずかし紛れの

その質問に

彼は少しだけ

表情を曇らせた




「あの…

信じられないかも

しれないけど…

カーテンの裏側は…」


そこまで言うと彼は


自分の中にある

答えを言うことを

拒んだ


「…やっぱり

何でもない」


「ちょっと…

気になるじゃない」


私のその言葉に

しばらく頷きながら

意を決した様に

口を開いた


「実は…僕はもう

人間じゃないんだ」


訳の解らない事を

言い始めたと思った


それを察したのか

彼は

左手を差出してきた


「僕の半身は

もうないんだ…」


私はその手を触ると

恐ろしいほどに

冷たくなっていた


「え…何?

どういう事?」


彼の右目だけが

瞬きを繰り返す


悲しそうな眼だ…



「…どうして

ここに?」

彼は聞いた

校門をくぐる姿を

見たからだ


「あ…それは

帰る時に偶然

この窓に

イイザワ君が

見えたから…つい」


私は

赤くなりながら

彼の顔を

見れなくなった


私はイイザワ君が

好きだったから…


それに

気付いたのか

彼は

「そうか…

これは運命の様に

繋がっていたんだね」

と言って

私を抱き寄せた


「あ…あの…」

私は突然の出来事に

戸惑った


彼の右側だけが

温もりを持っていた



「ありがとう…



…ごめんね」




彼はそう言うと

私の頬に軽く

くちづけた


何もかも

唇も左側は

冷たかった



私はそう思うと

同時に

意識を失った






「え…?」



彼は

自分の左半身に

温もりが戻るのに

気付いた




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