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そこは秘密の入口









学校の教室で

1人の男子生徒が

忽然と消えた



授業開始数分前

その時は

彼も

確かに教室にいた


だって


私はずっと

彼を見ていたから









「ねぇ?」


元気良く

幼馴染みのアイが

話かけてきた


「…ん?」


ユミは

窓際の席に座る

彼から

名残惜しくも

眼を離した


「またイイザワ君ばかり見てるね」

「や…ちょっとやめてよ〜」

ユミは耳まで赤くなってしまい

アイは

ニヒヒと笑った

「想ってることは

言ったほうが楽になるよ」

アイはユミの

手を握り

「友情は愛には

勝てないのね」

大袈裟に振る舞った

「もう…

何言ってんのよ

そんなことないよ」と言いながらも

ユミは彼の方を見た




その瞬間

ユミは

眼を疑った


さっきまで

そこにいたはずの

彼が

消えてしまっていた


開いていた

窓からの風に

カーテンが

ひらひらと躍る


まるで

手招いている様に


「あれ…?」


「どうしたの?」

アイは

ユミと同じ方向に

目線を重ねた


「ねぇ…

イイザワ君が

消えちゃった」


アイは

そんな彼女を見て

困った顔をしながら


「トイレなんじゃないの?」


「でも…

さっきまで」


辺りを見渡しても

彼の姿が無い


ユミは

不思議な感覚に

訳が解らなくなった


ほんの少し

眼を離した隙に

彼は姿を

消してしまったのだ


「どこに

行ったんだろ?

イイザワ君…」


ユミの口から

彼の名が

出てくる度に

アイは

少し

胸が痛むのを感じた


「そのうち

戻ってくるって

…ほら、もう

チャイムなるし」


そう言って

アイは

席に戻って行った

ユミは

納得出来ない顔で

ずっと彼の席を

眺めていた



ずっと







その日

イイザワ君は

その席に

帰ってくる事は

なかった



クラスの皆は

騒然となったが

ただの

エスケープだろうと

誰かが言ったのを

きっかけに

いつもの状態に戻り

教師さえ

仕方ない…と

苦笑いして

残りの生徒に

今度このような事がないように…などと

帰りのホームルームを30分引き伸ばした




ユミはまだ

窓際の席を

見つめていた


「帰んないの?」


いつの間にか

ホームルームは

終わり


アイは

帰り支度を済ませて

ユミを待っていた


「…うん……帰る」


ユミはアイに

向かって

ごめんね…

と微笑んだ


「大丈夫だよ

明日は来るって」

アイは彼女の肩を

ポンッっ叩いた


「そうだよね」


ユミは笑って

アイの肩をポンッと

叩いた



そして2人は

笑い合って

教室を後にした



窓際のカーテンが

窓も開いていないのにも関わらず


ひらひらと

躍っていた


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