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Dr.翔子の愛  作者: 高杉翔子


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3/3

Dr.翔子の愛 新しい命編

修一と翔子ふたり揃って教授になり、マスコミの寵児となります。広い家に引っ越すことも決まり、目まぐるしい毎日を過ごしている時、翔子に新しい命が芽生えます。赤ちゃんは無事誕生してくれるのか?

朝を迎え、昨夜は修ちゃんより早くベッドに横になると疲れていたのか、すぐに眠りにつきました。

「翔子起きたの?」

「起こしてしまいましたわね。ごめんなさい、修ちゃん」

ふたり揃ってダイニングに行きましたら多分ソーセージと目玉焼きを焼く匂いが致しました。

「うっ、修ちゃんごめんなさい。」

わたくしはパウダールームへ駆け込みました。

すごい吐き気が襲って参りましたが食べていないので何も出ません。

「うっ、はぁ、はぁ。」修ちゃんが後ろへ立ってわたくしの背中をさすって下さいます。

わたくしはその場へしゃがみ込んでしまいました。

修ちゃんがわたくしを抱いてベッドに寝かせて下さいました。

「はぁ、はぁ。」

わたくしは苦しくて目が霞んでおりました。

修ちゃんが点滴をして下さいました。

「栄養剤と吐き気止めだから楽になると思うよ。何より今日のオペを乗り切らなくちゃね。」

修ちゃんはベッドに座り、わたくしの髪の毛を優しく撫でてくださいました。

「ありがと…………修ちゃん。」

しばらくしましたら吐き気が治まり、気分も良くなりました。

病気ではないので吐き気さえ治まれば元気が戻って参ります。

点滴を終えて、ヘアスタイルを作って頂いて今日はディオールの白のレースのワンピースで可愛く決めました。

「翔子ちゃん良かった。良くなって。」

「修ちゃんのおかげですわ。」

修ちゃんは車を門のところに停めてマスコミの方々の前に立ち、

「皆様おはようございます、今日はお知らせがございます。翔子の妊娠が判明致しました。現在少々体調を崩しておりますのでどうか皆様お手柔らかにお願い致します。」

助手席に座っておりますわたくしに一斉にフラッシュが焚かれます。

それでもわたくしはにっこり微笑んで会釈致しました。

修ちゃんが運転を始めました。

「修ちゃんありがと。」

「嬉しいニュースは共有しないとね。それよりも今日は一緒に帰ろうね。メイフェアの家に翔子を連れて行きたいと思ってるんだ。」

「うれしい!そのお家に3人で暮らすのね!」

「ほんとだね。そんなこと思ってなかったからなおさらうれしいよね。」

信じられないほどわたくしたち夫婦の人生は順調でございました。

どうぞこのまま幸せが続きますように。


心配していた吐き気もなく2例のオペは無事終了致しました。

そして続けて医学部の講義が1時間ございます。

わたくしと修ちゃんの講義は人気がございまして講義室は医学生でいっぱい、立ち見の医学生もおられます。

わたくしは得意のテーマで講義致しました。

皆熱心に聞いて下さってたいへん嬉しく思いました。

お昼からはまたコマーシャル撮りでございます。

フレグランスのコマーシャルでこちらも鮮やかなガーベラのお振り袖をご用意して下さいました。

とても素敵なデザインでたいへん気に入りました。

ところがお振り袖を着ようとしていましたら吐き気がしそうでございます。

わたくしはヘアドレッサーさんに

「また具合悪くなりそうなの。皆様にお話ししてちょうだい。」

「分かりました、翔子様大丈夫でございますか?」

「ちょっと席を外します。」

わたくしは洗面所へ駆け込みました。

何も出ないのに吐き気ばかりがするのでまた胃液だけが出ます。これは良くないのでなんとかしなければなりません。とにかく今はお仕事優先でございます。

お振り袖を着て、ヘアスタイルを作ってガーベラを頭に挿しました。

愛らしく仕上がりました。

スタジオに入ると皆さんクラッカーで

「翔子、コングラッチュレーション!!」

お祝いしてくださいました。

温かい方たちに囲まれてわたくしは本当に嬉しく思いました。

「皆様ありがとうございます。」

コマーシャル撮りはわたくしがピアノを弾いていて、終わってアクセサリーを付けてフレグランスをつけ、ハンドバッグを持って外出する、というシチュエーションでテイク2でokが出ました。

帰りはたくさんのフレグランスのお土産と、お祝いの花束とお振り袖はこのまま着て帰って下さいというものでした。

このあと修ちゃんと待ち合わせ致しましてお家を見に行く予定でございます。

ヘアドレッサーさんは修ちゃんとのお約束通りわたくしを守って下さいました。

「ありがとう!わたくしのこと守ってくださって。」

「まぁ、翔子様をお守りするのは当然のことですわ。」

わたくしはたくさんの方に守られて幸せ者でございます。

カレッジの駐車場で修ちゃんがお待ちでした。

わたくしは修ちゃんの車に乗り換え

「今のお仕事でもクラッカーで皆様方がお祝いしてくださったの。」

「翔子はみんなに愛されて人気者だからね。」

「まぁ、そうですの?」

言ってる間にメイフェアの家に着きました。

家ではありません、宮殿でございます。

「修ちゃん、ここですの?」

「うん、広いだろう。」

わたくしは驚いて言葉が見つかりません。

修ちゃんは門を開けて入り、車寄せまで進みます。

門から車寄せまでけっこうな距離がございます。

車寄せもとても広くてホテルのようでございます。

玄関のドアを開けて中に入ります。

真っ先に螺旋階段が目に飛び込んで参ります。

お客様の為の控えの間もあり、さすが貴族のお家でございます。リビングもダイニングもとても広くて各従業員のお部屋も十分ございます。ダンスの出来るパーティールームも驚くほど広くてグランドピアノも置けます。主寝室と書斎も十分な広さでバスルーム、サウナとトイレ、パウダールームも完備されています。

これだけのお家だと今のハウスキーパーさん、1人増やさなければいけないと思いました。

屋上とお庭でバーベキューができますし、室内でゴルフとテニスの練習室がございます。そして一番はプールでございます。

「修ちゃんとても素敵ですわ。ベビールームもございますね。」

わたくしの肩を抱いて

「翔子気に入ってくれたんだね。良かった。」

わたくしたちはリビングルームの真ん中でkissして抱き合いました。

このお家で赤ちゃんと3人暮らしていく…………

なんて素敵なんでしょう!

つわりの苦しいくらいなんてことはございません。

「早く引っ越したいですわ!」

「うん、そうしよう。」

わたくしのお父様の先見の明は確かで今住んでいるお父様の作って下さったお家は施工料よりも高く売れたそうで、さすがだなと思いました。


帰りましたら門のところには記者さん、カメラマンさんがいっぱいでございます。

「レディ翔子、ご懐妊おめでとうございます!お仕事は続けられるのでしょうか?今視聴者の方からお仕事続けてほしいという声が上がっておりますが!」

修ちゃんが車を停められたのでわたくしは車を降りました。

「皆様方お疲れ様でございます。今体調を崩しておりますが点滴をしながらお仕事は続けて参ります。どうぞ引き続きよろしくお願い致します。」

修ちゃんも

「皆様方いつもありがとうございます。翔子の身体は僕が守ります。仕事も穴をあけるわけには参りませんので続けていきたいと思っておりますので引き続きどうぞよろしくお願い致します。」

バトラーさんが2人で記者さんたちにミネラルウォーターをお配りします。


帰りまして従業員の方を集めて修ちゃんが

「翔子の妊娠で何かと騒がしくなりますが皆様方適切な対応して下さいまして本当にありがとうございます。今新しい家を翔子と見に行って参りました。引っ越しは明日、引っ越し業者さんにお願いしようと思っていますので皆様方いつも通りの業務をお願いします。皆様方の荷造りもお願い致しましたので皆様方は身体ひとつで移動してくださればよいかと存じます。それと新しい家はとても広くてハウスキーパーさんはたいへんなので今1人募集しています。カレン、ハウスキーパーのリーダーになってくれないか?あなたが一番年上で適任かと思います。」

「は、はい、喜んで。ありがとうございます。」

「翔子の体調が悪いのにも関わらず、教授の仕事も多くて、マスコミも騒いでいます。僕は放っておいてくれても大丈夫です。どうぞ皆様方翔子の体調を慮って翔子を守って下さいますようくれぐれもよろしくお願いします。翔子ファーストでお願いします。」

「はい、よく分かっております。翔子様のことはお任せくださいませ。」

「翔子様一番でございます!必ず翔子様をお守り致します!」

わたくしは修ちゃんの一生懸命な言葉を聞いて涙致しました。こんなにわたくしを思ってくださる、親以上にわたくし第一に考えて下さって感激致しました。


シャワーを使って修ちゃんと食卓につきます。

「修ちゃん、このお家でディナーを頂くのも今夜で終わりですわね。不安だらけで日本から2人でやって来て、とうとう教授になって、新しいお家ではどんなことがあるのかしらね。」

「本当だね。きっといいことしか起こらないと思うよ。」

わたくしはさっぱりしたドレッシングがかかったサラダを頂きました。

と、吐き気がします。

「ごめんなさい。」

パウダールームで全部戻してしまいました。

気分が悪くて動けません。

修ちゃんが来て下さって背中をさすって下さいます。

「修ちゃんごめんなさい。」

「何謝ることがあるの。食べるのは無理なのかな。今夜も点滴しておこう。」

抱き上げてベッドの上に寝かせて下さって、点滴をして下さいました。

身体が疲れやすいのか点滴をしてもらうとうとうと眠ってしまいます。

ふっと気づくと、寝てたのね、と思い、終わった点滴の針を抜きます。

窓からちらっとプールで誰か泳いでいるのが見えます。もちろん修ちゃんです。このプールで泳ぐことも最後なので泳いでらっしゃるのでしょう。

点滴をしてとても気分がよくなったのでわたくしも水着に着替えまして、プールへ。

まだ温水プールでございます。

わたくしが泳いで修ちゃんの元へ

「あっ、翔子ちゃん来てくれたの?大丈夫?」

「えぇ、点滴してとても気分がいいの。」

「妊婦に水泳はいいんだよ。ほら、僕の手をとってお腹を動かさないでバタ足で進んで。」

わたくしは先生の手をとるように修ちゃんに導かれて泳ぎました。

ストイックな修ちゃんは何度も往復して続けます。

わたくしは次第に疲れて参りました。

「先生、疲れました。」

「おっ、そうか、じゃあジャグジーに入ろう。」

手をつないでプールサイドにあるジャグジーバスに浸かりました。

温かいお湯がとても気持ちよく、

「翔子ちゃん僕の膝の上においで。」

わたくしは修ちゃんの膝の上に乗っかり、ジャグジーの水流に揺れておりました。

ひまわり色の水着がゆらゆら揺れます。

「可愛い翔子ちゃん」

修ちゃんが言いながらわたくしの乳房を握ります。

すると今度はお腹を触って

「お腹大きくなってないな。」

「まだ粒みたいにちっちゃいんですのよ。ご覧になったでしょう。」

「待ちきれないよ。ベイビー、早く大きくなあれ。」

お腹に向かってお話しされます。

前回もそうでしたが赤ちゃんには仕事中の修ちゃんとはかけ離れた甘々の親バカぶりでございます。

ジャグジーから上がってお互いの身体を拭きます。

わたくしは修ちゃんの水着を脱がし、修ちゃんはわたくしの水着を脱がされました。

「修ちゃんわたくしをベッドの上に連れてって。」

「翔子ちゃんいいの?」

「早く連れてって。」

修ちゃんはお姫様抱っこなさってベッドの上に横たわされました。修ちゃんはわたくしを跨いで乳房にkissして下さいます。

そしてわたくしの一番大切なところは熱いkissを。

その後は愛撫を丹念にして下さいます。

優しくて上手な愛撫、わたくしは天国にいるような甘い気持ちになります。

今度はお返しでございます。わたくしは起き上がり、修ちゃんの上になりました。足先から舌と指で大切に愛撫して行きます。大切なところは抜かしてわたくしの大好きな胸を愛撫致します。

そして次は一番大切なところは丹念に愛撫致します。両手で包み込むように持って頬ずり致しました。

わたくしは高揚して参りました。口に含み舌で愛撫を続けます。わたくしの大切な修ちゃん、何より大切な。

「あぁ、翔子ちゃん受け止めて❢」

わたくしは口に含んだまま修ちゃんの最高点を受け入れました。

わたくしの愛撫で修ちゃんはいって下さいました。

妊娠していても殿方の最高点は常に受け止めていなければいけません。

わたくしは修ちゃんを受け入れた喜びでいっぱいになりました。

「翔子ちゃん、最高だよ。」

そう言って抱きしめて下さいます。

誰も知らない修ちゃんの素顔でございます。

うれしい…………

世界の高杉教授がわたくしだけには素のままの自分を見せてくださる、反対にして言えばわたくしも飾らない自分を修ちゃんに見せているわけでございます。

これほどまでに人を好きになることがあるでしょうか。

修ちゃんが産まれて来て下さって、東大へ合格なさって、巡りあって、愛し合って結ばれてこんなに好きになって、わたくしは嬉しくて泣けてきました。

「翔子ちゃん、泣いてるの?どうしたの?」

「修ちゃんが好き過ぎて泣いてるの」

「僕も翔子ちゃんのこと好き過ぎて、きっと幾つになってもこの愛は変わらないと思う。」

「ありがと…………修ちゃん。」

頬をつたう涙を修ちゃんが指でそっと拭ってくださいます。

この素晴らしい修ちゃんの血統をわたくしは絶対産んでみせる!そう決意致しました。


朝になりまして多分吐き気が来るだろうと思いながらダイニングに入りましたら食事の用意をしている匂いがして参ります。

やはりその匂いで吐き気が致します。

パウダールームで苦しんでおりましたら、やはり胃液だけが出ます。

うつむくと汗が滴り落ちます。

ドアが開いて修ちゃんが入って来られてわたくしの背中をさすって下さいます。

「翔子ちゃん、いつも胃液だけが出るの?」

「…………はい。」

わたくしも良くないと思っておりましたので、やはり修ちゃんも同じことをお考えなのだと推察されます。

修ちゃんがわたくしを抱いてリビングの一番大きなソファに寝かせて下さいまして、点滴をして下さいました。従業員の皆様方を呼ばれまして、

「明日から僕たちの朝食は中止にします。翔子がどうも朝一番に吐き気がするようなので僕はカレッジの学食にでも行こうかと思います。皆様方の朝食は僕たちが出勤しましたら存分にお召し上がり下さい。ご馳走を作ってお召し上がりになってもかまいませんよ。(笑)皆様方どうぞ翔子の為に御協力よろしくお願いします。」

「分かりました。翔子様の為ならば。早くお楽になればと思います。」

わたくしは修ちゃんの早い決断に感激致しました。

本当に素敵な方…………。

朝だと言いますのにやはりわたくしは点滴をしますとうとうと眠ってしまいます。

栄養が入って来て気持ちよくなって赤ちゃんが眠っているのかも知れません。

「翔子、翔子、点滴が終わったよ。もう出かけなくちゃ遅くなる。」

「あっ、修ちゃん、ごめんなさい。急いで着替えますわ」

今日はHERMESの白のブラウスにグレーのプリーツスカートで女子大学生みたいな出で立ちでございます。スカートをはいて、驚くほど痩せたことに気づきました。スカートが回ります。大丈夫、つわりが終われば食べられるようになるわ。

合わせてHERMESの白のハンドバッグを持ちました。

ヘアスタイルは時間がないので編み込みにしていただいてグレーのリボンを付けました。

20歳の女の子の出で立ちでございます。

まだこれが似合うので我ながら若返ったと思いました。

きっといつも修ちゃんに恋してるからに違いありません。

修ちゃんのなにがしかの振る舞いを見ただけで胸がときめくのでございます。これが女性が若くいられることの秘訣だと思うのです。

小走りに車寄せに行きましたら修ちゃんが車でスタンバイしております。

「ここから出勤するのもこれで最後だね。」

「新しいお家で3人の新しい生活が始まるのですね。」

「本当だね!」

カレッジに到着致しました。

わたくしは今日はオペが1例と2時間の講義がございまして午後からベビーカーのコマーシャル撮りがございます。

早速とベビーカー、紙おむつ、粉ミルクのコマーシャル撮りが入っているとバトラーさんが教えてくださいました。

何処のメーカーも凄いと驚いております。

オペは滞りなく終わり、ほっと致しました。

講義はわたくし好きな分野ですので楽勝と思っておりましたのに1時間過ぎた頃から少しずつではありますが気分が悪くなって参りました。

あと1時間なのにどうしようかしら。

もちそうにないような気がします。

ふと立ち見の生徒さんの一番後ろに修ちゃんの顔が見えます。ファンなのか周りの生徒さんたちに握手を求められて応じていらっしゃいます。

わたくしを心配なさって講義を聞きにいらしたのかしら。助けて欲しいような気持ちが致します。

どうしよう、吐きそうになって参りました。

わたくしは思い切りました。

「わたくしの講義を聞きに来て下さった皆様方、ありがとうございます。かねてより報じられております通りわたくしは今妊娠3ヶ月でつわりの最中でございます。只今具合が悪くなって参りました。少しの間お時間ください。席を外します。」

そこまで言うとどうしたことか目眩がしましてわたくしはその場でしゃがみ込んでしまいました。

教室中がどよめきました。

と、その時わたくしが出入りします前の扉が勢いよく開いて修ちゃんが駆け寄って参りました。

わたくしをさっと抱き上げます。

教室中にわあっと歓声があがります。

修ちゃんはわたくしを抱き上げたまま、トイレまで走りました。

洗面所でわたくしをおろし背中をさすって下さいます。

また胃液だけが出たのですが最後に出血致しました。

吐いてばかりするので何処か切れたのでしょう。

少し落ち着くとヘアドレッサーさんが入って来て、わたくしのメイクをなおして下さいます。

心配なさって教室の外でスタンバイされていたようでございます。

修ちゃんはまたわたくしを抱き上げて教室まで運んで下さいました。

わたくしを見て1人の医学生が椅子を持って来て下さいました。修ちゃんはその椅子にわたくしを座らせて下さいました。

「ありがとう、君の椅子はあるの?」

「大丈夫です。それよりも翔子教授の方が。」

「ありがとう、諸君、迷惑をかけました。翔子はちょっと無理そうなので残り1時間僕が講義したいと思っていますがどうだろう?」

その途端教室中がどっと沸いたと思いました。そして拍手喝采でございます。修ちゃんの講義は人気がありまして立ち見してもなお入れない生徒さんたちが外で講義を聞くという状態だそうでございます。

「みんな、ありがとう、じゃ早速続きからいきます。」

爽やかでユーモアに溢れた知的な修ちゃんの講義は素晴らしいものでございました。

修ちゃんの人格が人を惹きつけるもので、理路整然とした講義なのですが聞いていて楽しいのでございます。人気があるのもよく分かります。

あっという間に1時間が経ちました。

「じゃ今日はこれまで。質問等あればいつでも僕の部屋へ来てくれたまえ。医学生らしく翔子の体調に理解を示してくれてたいへん感謝しています。諸君、ありがとう!」

修ちゃんが右手を大きくあげました。

教室中がスタンディングオベーション、拍手喝采で終了致しました。

「修ちゃん、ありがと…………」

「無事終わって良かったね。体調はどう?」

「おかげさまで良くなりましたわ。素晴らしい講義でわたくし感激致しました。良いタイミングで来て下さいましたのね。」

「そうなんだよ。僕の講義が終わったので翔子ちゃんどんな講義してるのか見に来たらちょうど具合が悪くなってバッチリのタイミングだったよね。それにしても状態悪くなってるよね。大丈夫?」

「えぇ、ご心配なく、赤ちゃんと2人で頑張りますわ。」

「母は強しか、無理しないようにね。」

「ありがと…………いつも。」

おでこにkissを下さいました。

心がほっこり致します。修ちゃんマジックでございます。


わたくしは午後からベビーカーのコマーシャル撮りでございます。

最新のベビーカーでとても軽いのが特徴でございます。

なんと本物の赤ちゃんを使ってロケ撮影でございます。

男の子で1歳だそうでお母様に抱かれて登場、可愛くてわたくしも抱かせて頂きました。

泣いたりせずにとてもよい子、柔らかでポチャポチャで赤ちゃんってこんなに可愛いのねって気持ちが癒されました。

わたくしは清楚な白のワンピースで公園をベビーカーを押して歩く。立ち止まって赤ちゃんを抱いて、片手でワンタッチでベビーカーを畳んでにっこり微笑むというシチュエーションでなんとテイク1でOKでございました。

何より赤ちゃんが泣かなかったことと、わたくしが太陽の光が反射してとても綺麗に撮れたそうでございます。

撮影しておりますと通りがかりの方が

「翔子教授ですか?握手して下さい。できればお写真もよろしいですか?」

言われまして握手してお写真撮っておりますと、次々と人が集まって来られまして対応しておりましたら撮影できなくなり、スタッフの方が整理して下さいました。それでも集まった方には握手とお写真撮ってなんとか終了致しました。

撮影で使ったベビーカーともう一つ違うタイプのベビーカーを頂きました。

いつものように撮影で使ったお衣装も頂きました。

カレッジに戻りまして今日は新居に帰りますので修ちゃんと待ち合わせ致しまして帰る予定でございます。


修ちゃんの部屋へお邪魔致しました。

相変わらず本に埋もれたお部屋でございます。

「修ちゃん、帰れますの?」

「あぁ、翔子ちゃん、今日はこれくらいにして帰ろうかな。」

「わたくし行きたいところがございますの。ハロッズへ行ってゆりかごを買いたいんですの。」

「えっ、ゆりかご?メルヘンだね(笑)」

「ねぇ、行きましょうよ。」

「うん、そうだね。久しぶりに行こうか。」


忙しくて2人でハロッズへ来るのは久しぶりでございます。

わたくしたちはまずベビー用品売り場へ参りました。

ベビーベッドが目に入りました。

「修ちゃん修ちゃん、このベッド可愛いですわ。一目見て気に入りました!」

「うん、他のより広くて丈夫そうだね。装飾も可愛らしいな。」

その時でございます!

「修一様と翔子様ですよね。やはり。握手して下さい。いつも頑張ってらして応援してます!」

3歳くらいの女の子を連れた女性が声をかけて来られました。

「あ、応援ありがとうございます、では握手を。」

「この子と一緒にお写真お願いします。」

わたくしはしゃがんで女の子の肩に手をかけてにっこり微笑んでスマホのカメラでお写真撮りました。

そうしていますとあっという間にたくさんの人に囲まれてしまいまして、1人の赤ちゃんを抱いたお母様がわたくしに

「翔子先生、産まれて半年になるのですがこの子のアトピーなおりますでしょうか?」

みますと腕も足も首も顔も発疹が見られます。

が、いいステロイド薬があれば治る程度のものだと診ました。

「修ちゃん、この子のアトピー診て。」

「あぁ、お母様良いステロイド薬があれば治ります。僕か翔子の診察にいらして下さい。皮膚科ではありませんので受付で僕と翔子が診察すると言ってたとおっしゃってください。僕が必ず治してみせます。」

わたくしの診立てと修ちゃんが同じことをおっしゃったのでやはり修ちゃんとわたくしは一緒なのだと嬉しく思いました。

そうしていますと益々人が増えてしまいまして握手とお写真で大変なことになってしまいました。

そこへハロッズの店長さんが出て来られて、人の整理と整理券をお配りになったので整然と握手出来るようになりました。

1時間30分くらいはかかったでしょうか。終わったと思った途端、わたくしは気分が悪くなって参りました。修ちゃんの肩に手をかけておでこを背中につけて

「修ちゃん、気分が悪いの。」

修ちゃんは抱き込むようにわたくしの腰に手を回して

「店長さん、何処か休めるところはありませんか?」

「どうぞわたくしの部屋へおこしください」

「ありがとうございます。助かります。」

店長さんのご厚意で店長室のソファに横にならして頂きました。

「店長さん、僕たちが来たことで大変ご迷惑おかけしました。人員の整理までして下さいましてありがとうございます。」

「迷惑だなんてとんでもございません。修一様と翔子様がハロッズへ来店されただけで売り上げが跳ね上がります、それにご購入されたものの売り上げも大人気で売り切れてしまいます。翔子様がお買い上げになったハロッズベアは売り切れてしまいました。」

「まぁ、そうでしたの!わたくし今日はベビーベッドとゆりかごを買いに来たんですの。」

「それでしたら売り場にあるものと同じカタログがこちらにございます。どうぞお選び下さい。」

わたくしは横になったままカタログのページをめくりました。

先ほど見ていたベビーベッドとゆりかごがありました。

「店長さんこれとこれをお家まで送って下さるかしら?」

「かしこまりました。送料はいただきません。」

「店長さんお願いがあるんですが、日本には外商さんといってお客様にコンシェルジュ的な方が付くんですが僕たちにそれをお願い出来ないでしょうか?」

「承知致しました。王室などは王室付きの営業マンがおります。高杉様にも早速付けさせていただきます。」

「本当ですか?助かります。よろしくお願いします。」

そこへ事務の女性が冷たいミネラルウォーターを持って来て下さいました。

それを飲むと本当に生き返ったようにスッキリ致しました。

お暇することを告げると、店長さんが

「裏口がございますのでそちらまでご案内致します。」

他のお客様とあわずに車まで行けました。

「店長さんお世話になりました。ハロッズのコンシェルジュさん楽しみにお待ちしていますね。」

「はい、お任せください。お気をつけてお帰り下さい。」


車に乗ってから急に修ちゃんが

「翔子にボディガードをつけようと思う。」

「えっ、そんな、大げさですわ」

「翔子ちゃん集団心理って知ってる?」

「ええ、お祭りですとか渋谷の交差点でも問題になってましたわね。」

「そう、あまりにたくさんの人が集まったらすごいパワーになる。今日の僕たち以上のことになったら将棋倒しになった場合翔子ちゃんは間違いなく巻き込まれる。ボディガードは必要だよ。今赤ちゃんがいるからでもない、翔子ちゃん1人でも危険だよ。」

「ありがと…………実は何回も心当たりがあるんですの。」

「明日から頼もう。さ、着いたよ。」

わたくしたちは有名なセキュリティ会社のビルに入って行きました。

受付の女性が

「あっ、修一様と翔子様…………失礼しました。ご用件は。」

「家のセキュリティは今お願いしているんだが今日は翔子のボディガードをお願いに来たんだ。」

わたくしたちは応接室へ通されました。

受付の女性が

「あの…………どうしても翔子様と握手したくて…………お願いできますか?」

「よろしくてよ。」

わたくしは女性と握手致しました。

女性が出ていかれてから

「セキュリティ会社でさえ握手だからたいへんだね(笑)」

「本当に(笑)」

なんと社長さんが出て来られて2人のボディガードを明日からお願いすることになりました。

実際のところはわたくし何回か恐い目に遭ったことがございまして安心致しました。

修ちゃんは何でもお見通しで本当に頼もしいパートナーでございます。


さぁ、いよいよ新しいお家へ帰宅でございます。

門から車寄せまでかなり距離がございます。

バトラーさんお二方がお出迎えに出て来られました。

「やぁ、新しいお家はいかがかな?」

「快適でございます。とても住みやすいお家かと存じます。」

玄関ひとつにしてもチェアーを置いて空間に余裕のある作りでございます。修ちゃんがバトラーさんに

「明日から翔子にボディガードをお願いすることになりました。食事ですとか他の方々に連絡の周知お願いできますか?」

「作用でございますか。わたくしも翔子様にはボディガードが必要かと思っておりました。」

そうなのね。かなり最近危険なことが起こるのでわたくし心細く思っておりました。


新しいお家のダイニングはとても広くて、どなたかお客様が来られましても十分な広さがございます。

ディナーが終わりますと早速修ちゃんはプールでございます。わたくしは修ちゃんのおそばに行きたくなりました。

黒地に白の水玉のキュートなデザインの水着に着替えましてプールへ入って行きました。

「修ちゃん!」

「あっ、なんだまた来たの?」

「今日は泳げません。」

「うん、僕の手をとってごらん、ゆっくり歩くんだ。そうそう、赤ちゃんも水の中にいるからお母さんも水の中でリラックスしたらとてもいいんだよ。」

修ちゃんに導かれて水の中を歩くのはとても気持ちがいいのでございます。

それにしても何でもご存知でございます。

しばらく歩いておりましたが、

「先生、疲れて参りました。」

「うん、ジャグジーに入ろう。」

このお家でもプールサイドにジャグジーバスがございます。

わたくしたちは重なり合って浸かりました。

「なかなかお腹大きくならないね。」

「昨日もおっしゃっていましたわ。そんなに早く大きくなりませんわ。」

「明日辺り、またエコーで見たいな。」

「どうぞお好きになさって。」

お昼の講義とは打って変わって子供みたいな修ちゃんが可愛くてたまりません。

幸せなひと時でございます。

このお家ではバスがたくさんございますがわたくしたちのバスとお客様用のバスにはサウナと

水風呂が完備されています。

修ちゃんはサウナも水風呂もお好きなのでご機嫌でございます。

妊娠していると疲れやすいのでしょうか?

わたくしはプールから上がってシャワーを使い、そのまま眠りにつきました。

明日の講義の準備は朝にしましょう。


朝目が覚めますと、修ちゃんはもう起きていらっしゃいました。

シャワーを使い、ヘアスタイルを作って頂いて、今日の髪飾りはダイヤモンドのものに致しました。

綺麗なTiffanyBlueのワンピースをコーディネート致しました。 

なんと新聞を見てびっくりでございます。

「つわりの翔子教授を助け修一教授が講義」

と書かれ、昨日のわたくしが倒れて颯爽と修ちゃんが助け、代わりに講義をした。と、事細かに書かれております。

そしてお写真は修ちゃんがわたくしを抱き上げたところでございます。

「修ちゃん昨日の講義のことが書かれていますわ。」

「生徒さんがスマホで撮影したんだろうな。それを新聞社に売ったってところかな。」

「まぁ、すごいですわね。」

朝食中止になりましたので食べ物の匂いはいたしません。

修ちゃんが2人の男性を連れて参りました。

「翔子ちゃん、昨日お願いしたボディガードの方たちだよ。」

「よろしくお願い致しますわ。わたくしカレッジと病院以外にも色んなところに外出致しますけれどそれでもよろしいのかしら?」

「それはお仕事でございますのでどうぞご自由にお出かけ下さい。」

「翔子ちゃん、良かったね。僕もこれで安心して仕事ができるよ。」

「修ちゃんのおかげよ。ありがと。早速ですがわたくし今日もハロッズに寄って帰りたいのでそれぞれのお車で出勤してもよいかしら?」

「うん、わかった。気を付けてね。」

ボディガードさんがいらっしゃるだけでとても安心感があり、何処へでも出かけられると思うととても嬉しく思いました。


カレッジに着いてお部屋で講義の準備をしていますと、修ちゃんが入って来られて

「翔子ちゃん、この時間しか空いてないからエコー見に行こう。」

「まぁ、修ちゃん、先日見たばかりですのに。」

「早く、早く。」

エコーの検査室はどなたもおられません。

ベッドに横になってお腹を出し、ゼリーを塗ります。

「ほら、翔子ちゃん見てごらん。このあいだより大きくなってるよ。」

わたくしもモニターを見てみますと本当に先日より大きくなっております。

「あら、本当に。かわいいですわね。」

「男女の区別はまだ無理だな。医者になって良かったなあ。こんなに小まめに見れるんだもん。」

「まぁ、修ちゃんたら」

2人で顔を見合わせて笑います。


わたくしは今日は比較的簡単なオペを2例と講義が2時間ございます。

正直に言いますと講義は立ったままなので体力的に少し辛いのです。

教授となりましたら講義は大切ですのでなんとか安定期まで頑張りたいと思っております。

心配していました講義をつわりの発作もなく終えました。

時間を見ましたら修ちゃんの講義はまだ終わってはいません。わたくしは昨日の修ちゃんの講義を聞いて、また聞いてみたくなりました。

修ちゃんの教室へ行ってみましたら人でぎゅうぎゅうですがわたくし1人くらいの隙間はありそうでございます。後ろにはボディガードさんが控えておられます。

修ちゃんの講義はポイントを押さえていながらもユーモアあふれていて、大事なことはしっかりあたまの中に入って参ります。人気があるのもよく分かります。

そうしましたら隣に立ってらした生徒さんがわたくしに気づかれまして

「翔子教授ですよね。握手して下さい。お身体気を付けて頑張って下さい。」

「あ、翔子教授、ファンなんです。握手お願いします。」

いつもの状態になって参りました。

ボディガードさんが生徒さんたちの整理を始めました。

大ごとになって参りましたところで、

「これで今日の僕の講義は終わります。質問等あればいつでも僕の部屋へ来てくれたまえ。質問、疑問いつでもお待ちしていますよ。それからそこの一番後ろさっきから固まってなにやってんだ。」

あら、わたくしのことでございます。

人だかりの中でわたくしはひょこっと顔をあげ、大きく手を振りました。

「あっ、翔子ちゃん」

修ちゃんはよほどびっくりなさったのかマイクをオンにしたままお話しされたので全員にわたくしがいることがわかってしまいました。

修ちゃんの「翔子」というお言葉で教室中からわあっと歓声が上がり、立ち上がる方も多く見られます。

ますます大ごとになってしまいました。

どうしようかしらと思っておりましたら修ちゃんがマイクで

「翔子に握手したい方は後方の席の方から順に一列になって握手して退室してください。一列にね。前の席の方は後ろになってしまって申し訳ないが、順番を守って下さい。ああ押さないでね。」

修ちゃんはそう案内されながらわたくしの近くに歩いて来られました。

修ちゃんの案内とボディガードさんのおかげでパニックにならずに全員と握手することができました。

「なんで来るんだよ。」

「修ちゃんの講義があまり素敵だったのでどうしてもお聞きしたくて。」

「ほんとに翔子お嬢様だな。火の中に飛び込んだようなもんだよ。講義が聞きたかったら今度動画に撮ってもらうからそれを見なさい。」

「まぁ、動画がありましたわね。ありがとうございます。楽しみにしておりますわ。」

「もうお昼だな。翔子ちゃん何か食べなきゃ駄目だよ。」

「えぇ、ハウスキーパーさんが卵のサンドイッチを持たせて下さいましたの。おいしそうでしたわ。」

「うん、食べれるといいんだが。長い間食べてないからね。」

「努力してみます。それじゃ失礼致します。ご迷惑おかけしました。」

「ほんとにわかってんの?」


わたくしはカッコよく講義なさる修ちゃんを見られただけで大満足でございました。

お昼からは赤ちゃん用紙おむつのコマーシャル撮りでございます。

テーブルにたまごサンドを広げて食べようとしましたら、駄目でございます!

ナイロン袋を用意して吐くのですが胃液が出るばかりです。ひとしきり苦しんだあとは気分が悪くてそのままソファに横たわりました。

この頃は吐き気がする時は目眩も致します。

もうそろそろ出かけなくちゃ遅くなるのですが、困りました。

コンコン、ボディガードさんが入って来られました。

「翔子様お時間です。あっどうなさいました?」

「ごめんなさい。気分が悪くて動けないの。」

そうしましたらお電話とられて内線で修ちゃんに連絡をとられたようでございます。

「翔子様が今気分が悪くて動けない状態です。サンドイッチも召し上がっておられません。」

驚くほど早く修ちゃんが来て下さいました。

「翔子、どんな具合?」

「修ちゃん、目眩がして吐き気がするの。」

「バトラーさんに連絡して撮影は30分ほど遅らせてもらおう。今から点滴するよ。そうしたら目眩も吐き気も治まるよ。」

「また食べられなくてごめんなさい。」

「何言ってるんだ、全然大丈夫だよ。僕がフォローするから」

持って来られた点滴を見ますと栄養剤ですのでこれに吐き気止めをプラスされたのだと思います。

いつも通り点滴して気分良くなると眠ってしまいます。

「翔子ちゃん、翔子ちゃん、点滴終わったよ。」

「修ちゃん、ついてて下さいましたの?ありがとうございます。」

わたくしは気分良く起き上がりました。

「うれしい…………良くなりましたわ。」

「それは良かった。気を付けて行ってらっしゃい。」


紙おむつのコマーシャルはスタジオで行われました。

皆様方わたくし待ちで申し訳なかったのですがちっとも責めることなく迎えて下さいました。

ウェディングドレスにもなりそうな純白のドレスに髪にはお花のティアラを付けて、背中には白の羽を付けました。エンジェルでございます。

床には一面のバルーンが敷きつめられております。

その床の中央に座りまして、紙おむつを広げたあと、その紙おむつに頬ずりして微笑みます。

テイク1でOKが出ました。

モニターで確認致しますと、わたくしがふんわりとメルヘンに撮られております。

ふんわり肌ざわりの良い紙おむつの感じがよく出ております。

お土産として紙おむつ半年分と今日の衣装でございます!

ウェディングドレスのようなドレス頂けてとても嬉しく思いました。


一旦カレッジに戻りまして明日の講義の準備や調べ物を致します。

そろそろ退勤致しましょう。

今日の一番のお楽しみです、ハロッズに直行でございます。

ハロッズに入って行きましてインフォメーションの女性に

「高杉ですが昨日店長さんにコンシェルジュさんお願いしていたのですが。」

「あ、翔子様、お待ち下さいませ。」

内線電話で呼び出して下さいます。

待っておりますと、40代くらいの優しそうな方が現れました。

「本日から高杉様ご夫妻のコンシェルジュを仰せつかりました。よろしくお願い致します。」

「こちらこそ、頼りにしておりますのでどうぞよろしくお願い致します。まず今日はベビー服を見たいのです。」

「かしこまりました。どうぞこちらへ。」

ベビー服売り場は買いたいものだらけでございます。

男女の区別がまだなので無難な白ですとかクリーム色などを選んでいますとベビーバスが置かれておりました。

これを忘れていたわ、即購入でございます。

今買えば黄色のあひるちゃんがついているそうでございます。

細かなおもちゃ類も買い求めました。

ベビー布団もふわふわで可愛らしくて気に入りました。赤ちゃん用のバスタオルなども可愛らしいものに統一致しました。

そうしているうちにわたくしはやはりTiffanyに行きたくなり、直行でございます。

ハンドバッグが可愛らしくて、一目で購入、ちょうどというか、TiffanyBlueのワンピースがAラインでウエストのないデザインなのです。これは買わなければいけません。セリーヌに寄ってみましたらここでもウエストのないスラっとしたワンピースが売られています。これも購入でございます。

思わぬわたくしにぴったりのお買い物が出来て体調の悪いことも忘れておりました。

HERMESでアクセサリーを見ていましたら

「翔子様ですよね。ファンで応援しています。握手お願いします。」

声をかけられました。そうしましたらあっという間に人だかりが出来てしまいました。

ボディガードさんが取り囲んで下さる中でわたくしは握手をしたりお写真を撮って応えておりました。

人だかりになりましてもボディガードさんがいらっしゃるので安心感が全然違います。

コンシェルジュさんも人の整理して下さいまして御協力下さいました。

HERMESで何点かアクセサリーとハンドバッグを買ってわたくしはようやく納得致しました。

コンシェルジュさんにお礼を言って車に乗ります。

帰宅致しましたらそこでボディガードさんのお仕事は終わりでございます。

本当に心強く、嬉しかったです。


修ちゃんは書斎にいらっしゃるようでございます。

「修ちゃん」ノック致しました。

「ああ、翔子ちゃん」

わたくしに背を向けて机に向かってらっしゃる修ちゃんの首にわたくしは両腕を回して首の後ろにkissしました。そして修ちゃんの耳元で

「赤ちゃんのベビーバスやお洋服やおもちゃなどいっぱい買っちゃいました。」

修ちゃんはわたくしの腕を握って

「それは良かった。届くのが楽しみだね。コンシェルジュさん良くしてくれた?」

「えぇ、とても」

修ちゃんはわたくしの腕を離すとこちらへ向き直り、しっかり抱きしめて下さいました。

「翔子がコマーシャルで放送されると翔子のファンが増えてしまうじゃないか。」

「あら、修ちゃんこそ毎日あんなに素晴らしい講義してらしたら女子大学生のファンでいっぱいになってしまうわ。」

「こいつ。」

修ちゃんはわたくしを抱き上げると書斎に置いてあるうちの一番大きなソファにわたくしを寝かせられました。

ワンピースのファスナーをおろし、ブラジャーを外し、ショーツをおろします。

「翔子一番なんだ、君だけなんだ!」

「わたくしもよ、修ちゃんだけが!」

修ちゃんはご自分で着衣をとり、生まれたままの姿になりました。

近頃急に大きくなってきたわたくしの乳房を揉みます。そして乳房の真ん中に顔を埋もれました。

そこから徐々に下に向かって愛撫をされていきます。

わたくしの大切なところは特に念入りに愛撫されます。わたくしは我慢できなくなりました。

修ちゃんとは上下逆になりまして、舌で優しく修ちゃんの乳首を愛撫致します。

そこから下に向かって愛撫致します。

修ちゃんのところへ来ました。口に含み舌で優しく転ばせます。相当長い間愛撫致しました。

「翔子ちゃん、もう駄目だよ!受け止めて!」

わたくしはそのままの状態で修ちゃんを受け入れました。

今日も愛する修ちゃんはわたくしのものになりました。満足感でいっぱいでございます!

「修ちゃんはわたくしだけのものよ!」

「翔子ちゃんは僕のもの!」

わたくしたちはそのままの姿で書斎のソファに抱きしめあって横になっておりました。

暫くして修ちゃんが

「隣のバスルームへいきたいけど、万が一どなたかと会ったらまずいよな。一か八か行こうかどうしようか?」

「少しの距離ですけれどね。そうだわ、ドアを少し開けて廊下の様子を見てどなたもいらっしゃらなかったらさっとバスルームまで走りましょうよ。」

「それはいい、ちょっと見てみるよ。」

修ちゃんはドアを少し開けて左右の確認をなさいました。

「翔子ちゃん、今だよ!ダッシュ!」

「わかりましたわ!」

わたくしたちは手をつないだままバスルームまで走りました。

バスルームのドアを閉めて、これでわたくしたちの姿はどなたにも見つからなかったわけでございます。

「自分の家でこんなにコソコソしなくちゃいけないのもおかしな話だよな。」

「でもこの姿ですから。見られてはなりませんよね。書斎で服を着れば良かったんですよね。」

「ほんとだね(笑)」

わたくしたちは従業員の方たちと共存しておりますのでたまに不自由を感じることがありますが今や従業員の方たち無くしてはたちゆかなくなっております。


わたくしたちはお風呂に入り、食卓につきました。

食べてていちばん美味しいのは卵粥でございます。

わたくしは卵粥をお茶碗に一杯頂きました。

「翔子ちゃん食べられたね。」

ハウスキーパーさんに向かって

「明日の朝卵粥を作ってやって下さい。おいしそうだから僕も頂こうかな。翔子ちゃんのおかずはお豆腐が良いかと思います。よろしくお願いします。」

わたくしたちはパーティールームへ行きました。パーティールームにはいつでもお着替えできますようにドレスが置いてございます。

今日は白のトレーンの長いドレスをチョイス致しました。

モーツァルトを3曲弾きました。

修ちゃんはシャンパンをお飲みになりながら聞いて下さっています。

久しぶりにゆったりした時間を過ごすことが出来ました。

赤ちゃんにはピアノかヴァイオリンを修得して欲しいと思っています。

とにかく一番は日本語と英語がしゃべれなくてはなりません。

修ちゃんの血をひいた赤ちゃんならなんでもすぐに覚えてくれそうでございます。

途中から修ちゃんがヴァイオリンを弾いて二重奏になりました。

本当にヴァイオリンがお上手!

そういえば明日の夜は社交界の方たちとのディナーの会がバッキンガム宮殿で開かれます。


行く前には吐き気止めの点滴をして万全の体制で臨まなければなりません。

ちゃんと頂けるかしら?

でございます。を召し上が「ねぇ、修ちゃん、明日のディナーの会のことですけど、点滴しただけで大丈夫かしら?」

「そう思うけど、仮に具合が悪くなっても自然なことだから失礼にはあたらないよ。翔子ちゃん、パーフェクトでなくていいんだよ。」

修ちゃんのそのお言葉を聞いてわたくしは気持ちが軽くなりました。

そう、せっかくのディナーを楽しみましょう。

具合が悪くなっても少し席をはずさせていただいたら

いいだけでございます。


朝はおかゆが頂けるようになりました。修ちゃんも「あっさりしてこれ美味しいよね。」

おかゆを召し上がっていらっしゃいます。

吐き気がしないので派手めのヘアスタイルに生花のかすみ草を飾ります。

白のサマーセーターと黒のフレアースカートで先生らしくコーディネート致しました。

今日も修ちゃんの車で2人で出勤でございます。

わたくしは今日は忙しくてオペが3例ございましてその後2時間の講義がございます。

修ちゃんは今日は研究室の生徒さんの指導やご自分の研究などなさるようでございます。


病院に着くなりオペの準備でございます。

今日のオペは3例ともわたくしの得意の分野ですのでやる気満々でございます。

3例とも予定時間より早く終了致しました。

それでというのではございませんが、ハウスキーパーさんが持たして下さったスープポットにある卵粥を頂くことが出来ました。

有難いです。

ほとんど休憩なしで講義に突入でございます。

今日はのってるのかとてもスムーズに講義することができました。あと1時間でございます。

質問の手が上がりました。 

「翔子教授、お伺いしたいことがあるのですが。」

「はい、何かしら?」

わたくしは壇上におりますのでその生徒さんの傍に行くのには一段おりなければいけません。

一段降りた時、バランスを崩してわたくしは転倒してしまいました。

教室中わぁっというどよめきが起きました。

ボディガードさんが跳んで来られます。

すぐ傍にいた生徒さんが椅子を譲って下さいました。

ボディガードさんがわたくしを抱いて椅子に座らせて下さいました。

お腹が痛い…………

わたくしの脳裏には流産の二文字がよぎります!

「お腹が痛いの…………修一を呼んでください。」

教室中はざわざわと混乱しております。

どうしたらいいかしら?こんなことになって………

ボディガードさんが修ちゃんを探してお電話をかけて下さっているようでございます。

ようやく見つかったようでございます。

5分もしないうちに修ちゃんが来て下さいました。

「諸君、心配かけてすまない。とりあえず今は小休止とします。翔子を診察してそれから残りの講義をどうするか発表します。みんなの期待を裏切らないように取り計らうつもりですのでしばらくお待ち下さい。」

修ちゃんはそう言うとわたくしを抱き上げて婦人科へ向かいました。

婦人科のベッドへ寝かして下さいます。修ちゃんが内診するのは恥ずかしいのですが、今はそんなこと言ってる場合じゃございません。

「翔子ちゃん、大丈夫だよ。翔子ちゃんが転んだので赤ちゃんも中で一回転してたみたい。それで腹痛が起きたんだよ。ちょっとエコーでも診てみよう。」

「ほら翔子ちゃん見てごらん。元気にしてるだろ。」

「ほんと!良かったですわ。」

「あれ?男の子だよ、ほら」

「えっ!あらほんとに。」

思わぬことが分かってわたくしは元気づきました。

「翔子ちゃんはショックを受けてるから残りの講義は僕がしよう。いいね。」

「いつもすみません。」

「さ、教室へ行こう」

わたくしを抱き上げて教室へ向かわれます。

わたくしを抱き上げた修ちゃんが教室へ入るとわぁっと歓声が上がります。わたくしを椅子に座らせて

「諸君、お待たせして申し訳ない。翔子の胎児は無事でした。エコーで確認しましたがその時に男の子だということが先ほど判明致しました。翔子が転倒したことで赤ちゃんもびっくりしてお腹の中で一回転してたようでそれが腹痛となって表れたわけです。臨床ではこんなふうに教科書にないことが起こります。諸君も臨床に携わってたくさんの体験をして欲しいと思います。」

教室中拍手喝采でございます。

こんなプライベートなことでも命に関わることならオープンになさるところが修ちゃんの人気の秘訣だと思いました。

「翔子は以前流産して神経質になっているところへ転倒したことでショックを受けています。そんな精神状態で講義することは彼女にとっても諸君にとっても良くないので後半の講義は僕がしてもいいかな?」

教室中割れんばかりの拍手喝采と歓声が上がりました。

修ちゃんの講義は退屈させないお話しのテクニックがございまして、聞き入るうちに1時間あっという間に終わってしまいました。

「今日は諸君に迷惑をかけてしまってすまない。医学生らしく翔子の身体に配慮した態度でいてくれたことに心より感謝しています。ありがとう!また僕の講義にも来てくれたまえ。」

「皆様方今日はわたくしの不注意でご迷惑をおかけしました。これからも講義は続けて参りますのでどうぞよろしくお願い致します。」

今度は前の席の方から握手をして退室されていきます。ボディガードさんが人の整理を始めました。

生徒さんたちの温かいお言葉もいただき、感激致しました。

「翔子教授、お身体気を付けて、応援しています!」

修ちゃんの方は

「修一教授、やっと講義が聞けて良かったです!」

思わぬアクシデントでしたが終わりよければ全て良しでございます!

「修ちゃんいつもありがと…………わたくし精神的に弱くてご迷惑をおかけします。」

「何言ってるんだよ!そんなことないよ。とにかく無事で良かった。おまけに男の子だって分かってうれしいよね!」

「本当に。」


わたくしは午後から粉ミルクのCM撮影でございます。

Blueのワンピースに白いエプロンをして、キッチンでミルクを作ります。

リビングのゆりかごで寝ている赤ちゃんを抱き上げてミルクを飲ませます。

うまく赤ちゃんが泣かずにミルクを飲んでくれないと撮影は終了致しませんが、それまでミルクをあげてなかったのか、ごくごく飲んでくれまして、わたくしも驚きました。最後は粉ミルクのパッケージを持って微笑みます。早い撮影でしたがとてもスムーズに終了致しました。

粉ミルク半年分とお衣装と、なんとゆりかごもいただきました。

これが終了致しましたら急いで帰宅致しまして

シャワーを使い、ヘアスタイルはふんわりとしたアップに致しまして修ちゃんのお母様に頂いたサファイアの髪飾りを付けました。

今日はポップなチューリップのお振り袖をチョイス致しました。

シャキッとしたスーツに身を包んだ修ちゃんとお車に乗ります。

運転はバトラーさんでございます。


バッキンガム宮殿に参りましたら、車寄せには高級車がひしめきあっております。

バッキンガム宮殿のバトラーさんが手を差し出して下さいますのでお手を借りて車からおります。

案内されるままに席につきました。何名くらいいらっしゃるのかすごい人でございます。

この人数が入るのですから大広間でございます。

国王と王妃が入室されました。

ウイリアム皇太子とキャサリン妃のお姿も見えます。ディナーが開始されましたら皆様方それぞれ会話を交わします。

わたくしはお隣の紳士の方とおしゃべりしておりました。

ディナーが終わりましてお隣の大広間でシャンパンを飲みながら談笑するひと時がございました。

キャサリン妃が来られまして

「レディ翔子、おめでとう。良い赤ちゃんを産んでね。」

「ありがとうございます。キャサリン妃、お体の方はいかがでございますか?」

「ありがとう、体調はとてもいいのよ。翔子のおかげだと思っているの。」

「とんでもございません。それは良うございました。」

国王と王妃も揃って来られまして

「修一、翔子、おめでとう」

「ありがとうございます!」

イギリスの王室の方から祝福受けるなんて本当にわたくしは幸せ者でございます。

楽しいディナーのひと時でございました。

多くの女性の方からお振り袖が綺麗だとお褒めいただき、お袖の部分がどうなっているのか質問される方もいらして日本のお振り袖は自分でも素敵だと思って嬉しくなりました。


帰りはいつもより遅くなりましたが楽しかったので疲れておりません。

「翔子、疲れてないかい?」

「えぇ、楽しかったのでちっとも。」

「翔子シャワーに行くなら帯をほどかして。」

帯あげと帯締めをとり、帯をほどきます。

お振り袖を脱がされました。

「翔子の長襦袢姿大好きだよ。かわいい。長襦袢も脱がさせて。」

とうとう全部脱がされました。

修ちゃんもスーツを脱いでわたくしを抱き上げてジャグジーに浸かります。2人で重なり合ってジャグジーにいる時が最高に幸せな気持ちが致します。

修んちゃちゃんがわたくしを抱き上げて洗い場に横たえます。乳房にkissをして優しく揉みます。このところまた乳房が大きくなって参りました。

わたくしの大切なところも丁寧に愛撫して下さいます。

わたくしはたまらなくなって起き上がりました。修ちゃんの上にかぶさるようになって指で修ちゃんを可愛がりました。今度は口に含み舌で愛撫致します。

今夜はより丁寧に愛撫致しました。

「翔子ちゃん、もう駄目だよ!受け止めて!」

わたくしは今日はわたくしの大切なところで受け入れました。

久しぶりでございます。

「翔子ちゃん、最高にいい!」

「修ちゃん、大好き!」

もう修ちゃんはわたくしのものでございます。


愛に溢れた朝がやって参りました。

相変わらず卵粥ばかり頂いておりますが、そのうち色んなものが頂けるようになるでしょう。

今日のわたくしの講義は大きなテーマを打ち出してじっくり講義致します。その為教室ではなく講堂で行います。

準備は万端、バッチリできております。

わたくしはやはり白とBlueが好きなのでしょう。

今日も白のウエストにリボンのついたサンローランのワンピースを選びました。髪飾りはダイヤモンドがコーディネートとしたら最高でございます。ハンドバッグだけTiffanyBlueに致しました。

車のなかで修ちゃんが

「昨夜の翔子ちゃん最高だよ。」

「あら、そんなことおっしゃらないで、恥ずかしい。」

朝からそんな会話をしてカレッジに向かいます。


3時間に及ぶ講義をほぼ終えて、

「本日の講義はこれくらいにしておこうかと思っております。質問等ございましたらいつでもわたくしの部屋までお越しください。まだまだお伝えしたいお話しがたくさんございます。わたくしと修一が培って参りました医療体験だけでも豊富にございます。またの機会講義で是非ともお話しさせてください。」

そこまでお話しした時に長い通路の一番後方から歩いて来る中年の男性を認めました。

年齢からいって学生ではない。誰?そして一層早足でわたくしの方に向かって参ります。直前になりますとむしろ走って手にしていた金属バットを振りかぶってわたくしのいる壇上に上がって参りました。わたくしは反射的に両手で頭を覆いましたが片手にはマイクを持っていた為空振りしてしまった金属バットがマイクに当たりましたので「カキーン」とすごい音が響きました。次の瞬間2人のボディガードさんがその男性に覆いかぶさるように立ち向かって行きました。

その勢いに跳ね除けられたわたくしは後ろに後退した時に転倒致しました。

男性とボディガードさんの闘いは続いておりました。そこに身体に自信のある男子学生さん10人ほどが加わりましてがやがて男性を下にしてボディガードさんが確保したようでございます。全員ピクリとも動きません。金属バットは1メートルほど先に転がっています。ボディガードさんが叫びます。

「どなたか999番(日本でいうところの110番)お願いします!」

最前列の男子学生さんが手を挙げて「僕電話します。」

「インペリアルカレッジ医学部の第2講堂で暴漢犯を取り押さえております。至急出動お願いします!」

その頃にはわたくしの周りには20人ほどの男女の学生さんが来られてわたくしの周りを囲んで下さっていました。

傍にいた男子学生さんが事務局に電話して学長と事務長と修一教授を第2講堂へ来るようお願いしてくれています。

「翔子教授、お怪我ございませんか?」

「えぇ、転んだ時に手をついて、手首が少し痛いのです。大したことございませんわ。」

手首がみるみる腫れ上がって参りました。

男子学生が

「これはいけませんね。翔子教授に失礼ですが手首は動かせますか?」

わたくしは外側と内側に動かして外側が痛いと感じました。

「外側が痛いと思います。」

「捻挫ですね。お~い、誰か湿布と包帯をもらって来て下さい!」

それよりもショックなのか、わたくしは吐き気と特に目眩がして立ち上がれないほど気分が悪くなっておりました。

学長と事務長は直ぐにお出でになりました。

学長が真っ先にわたくしのところへ来て下さいました。

「翔子教授、怪我はないかね。」

「はい、学長おかげさまで。」

事務長も

「翔子教授、痛いところはないの?」

,「はい、お腹も大丈夫でございます。」

わたくしは最後に見ました金属バットが脳裏に焼きついておりまして、あれでお腹を叩かれたらと思うとあまりの恐怖で手も足もうさぎの赤ちゃんのように震えておりました。

それに気がついた女子大学生がわたくしの手を握って下さって

「翔子教授、もう大丈夫でございますよ。」

声をかけて下さいました。

そこへ修ちゃんが来て下さいました。

「翔子、無事なの?!!」

「修ちゃん!…………」

「暴漢に襲われたとしか聞いていなかったから、どんな大怪我かと心配して来たんだ。」

「間一髪でボディガードさんが助けてくださいましたの。その時に転倒致しまして手首を捻挫しただけで他はなんともございませんわ。」

これだけの人の前でお構いなく修ちゃんは床に座り込んでいたわたくしを抱き上げてkissして下さいました。

講堂にほっとした空気が流れます。

そして修一翔子ファンなら見たくてたまらない2人の抱擁シーンを皆様方スマホのカメラに収めておいででございます。

「震えてるじゃないか…………可哀想に…」

「修ちゃん、先ほどから目眩がして吐き気もして、もう立っていられませんの。」

「うん、そうか、わかった。」

修ちゃんはわたくしを抱きしめながらボディガードさんに捕らえられている犯人を一瞥なさいました。

やっと警察が到着されて無事犯人を受渡すことができました。すごい警察官の数で20人はいらっしゃると思われます。

「翔子教授、お怪我ございませんか?」

「はい、転倒致しました時に手首を捻挫しただけでございます。」

事務長が

「翔子教授、とりあえず教授室へ参りましょう。」

「はい、では少しお待ちを。」

わたくしはマイクをとり、学生さんたちに向けて

「皆様方今日は講義の最後にこんなことになってしまい申し訳なかったのですが皆様方の的確な判断と優しい御心遣いに感嘆致しました。また参考になる講義を予定しておりますのでお出でくださいませ。本日はありがとうございました。」

そうしましたら1人の女子大学生が包帯と湿布を差し出されて

「翔子教授、これもらって参りました。」

「まぁ、なんてお優しい。ありがとう、使わせて頂くわ。あなたはいいドクターになれてよ。」

修ちゃんがわたくしをお姫様抱っこなさってそこでまたスマホのカメラの嵐でございます。

そのままでわたくしの教授室へ参りまして修ちゃんがソファに休ませて下さいました。

学長が

「カレッジとはオープンなところでそれが良さだと思って来ましたが怪しい輩が自由に闊歩するのではセキュリティを考えなければなりませんね。」

事務長も

「そうですね、門扉もカードキーを差し込まないと開けられないですとか、取り締まりを強化しないといけませんね。」

「なんにしても翔子教授にお怪我がなくて何よりです。よくボディガードをお付けになられましたなあ。」

と学長がおっしゃいます。

修ちゃんが

「外出しました時によく集団に囲まれますのでその対策にボディガードをお願いしたのです。」

ノックがあり、事務の女性が

「学長、事務長、警察の方がお呼びです。」

「お、そうか、翔子教授もあとから事情聴取があるかと思いますよ。」

そうおっしゃって学長と事務長は出て行かれました。

修ちゃんが先ほど講堂でお持ち頂いた湿布をわたくしの手首に当てて包帯を巻いて下さいました。

「翔子ちゃん昼から何のお仕事があるの?」

「mikihouseのアンバサダーになる契約と撮影がございます。」

「うーん、どうする?いけそう?」

「……………………」

「どうしたの?」

「気分が悪くて…………」

「吐きそう?」

「はい…………」

しばらく苦しんでおりましたら少し落ち着いて参りました。

「修ちゃん、本当のこと言っていいかしら?」

「もちろんむしろそのほうがいいよ。」

「今日はもう外に出かけたり、どなたかとお会いするのは出来ません。」

「おっ、そうか、分かった。僕はこのあと仕事があるからこれから翔子を家に送っていくよ。」

修ちゃんは事務局にお電話かけられて、

「警察の事情聴取ですが翔子はショックの為に今日は無理なので明日以降にして下さいとお伝え下さい。」

そうしますと修ちゃんはわたくしを抱き上げて駐車場へ向かいました。ボディガードさんとヘアドレッサーさんは事情聴取中ですのでわたくしと修ちゃんだけでございます。

今日はわたくしを助手席に座らせて下さいました。

運転を始めて修ちゃんは、

「一時的に心の病気になってるだけだから癒されることがあったりしたら直ぐに良くなるからね。それとボディガードはあと1人増やすことにした。とにかくこんな軽傷で済んでほんとにほっとしたよ。」

帰宅致しました。

修ちゃんはわたくしを抱き上げてリビングのソファに寝かせて、集まった従業員の皆様方に今日の出来事をお話しされました。

「危険な目にあって翔子も赤ちゃんも無事で何よりですが翔子はたいへんショックを受けています。皆様方翔子には温かく接して下さいますようよろしくお願いします!」

「翔子様、なんてひどい目に合われて…………」

「修一様、どうぞわたくしたちにお任せくださいませ。」

「ありがとう、みんな、僕はあと少し仕事に行って来るのでよろしくお願いします。」

修ちゃんはわたくしに向かって

「じゃね、翔子ちゃん、好きなように過ごしていていいんだよ。」

「修ちゃんありがと…………早く帰って来てね。」

わたくしは今迄常に修ちゃんのお仕事を最優先に考えて参りましたので早く帰って来てねとは言ったことはございませんでした。

でも今日は修ちゃんにずっと傍にいてほしい気持ちでいっぱいでございました。

「うん、翔子ちゃんなるべく早く帰って来るね。」

そう言っておでこにkissを下さいました。

なんの涙なのか涙が頬をつたいます。

修ちゃんは優しく指で涙を拭って下さいました。


しばらくそのままでソファで横になっておりましたらヘアドレッサーさんが来られて

「翔子様、シャワーを使われてはいかがでございますか?そのお召し物をいつまでもお召しになってらっしゃるのはいかがかと思いますので。」

「本当ね。このワンピースは処分してちょうだい。」

わたくしは思い切ってシャワーを使いました。

お湯に打たれておりましたら恐怖心が少し薄れていくように思います。

シャワーをおわりましたらお着替えにmikihouseのマタニティワンピースが置かれていました。

わたくしへの応援の気持ちが汲み取れてとても有り難くて元気が出ました。

バトラーさんに皆様方にパーティールームへ集まってくださるようにお願い致しました。

「皆様方本日は温かな思いやりありがとうございました。お礼の気持ちを込めてわたくしのピアノをお贈りさせて頂きます。」

わたくしはモーツァルトをはじめ何曲かピアノを弾きました。皆様方熱心に聞いて下さっています。

ドアが開いて修ちゃんが入って来られました。

「みんなこんなところに固まって、僕のお出迎えは誰も来てくれないの(笑)」

「修ちゃん、ごめんなさい。ちょうど良かったわ。これからラストのアイネクライネなの。ヴァイオリンをお願いします。」

「おっ、翔子お嬢様のアンコールなら仕方ないね。」

わたくしと修ちゃんの二重奏、大好きなアイネクライネナハトムジークでございます。

終わりますと拍手喝采、

「イギリス中の憧れ修一様と翔子様のところで働かせていただいてるだけでも嬉しいことですのに、おふたりのピアノとヴァイオリンを聴けるなんて本当に幸せでございます!」

「皆様方熱心に聞いて下さってわたくしとても嬉しく思いました。ありがとう!」

「プールでひと泳ぎしてディナーにしよう。翔子プールへ行くよ。」

「あ、はい。」

今日はブルーのビキニに致しましたが、心なしかお腹が出てきたように思います。プールへ入って行きますと修ちゃんが待ってらしてわたくしの手をとって下さいます。

ゆっくりと修ちゃんのリズムに合わせて水の中を歩きます。

とってもリラックス致します。

「修ちゃんお腹が出てきたように思います。」

「えっ、本当なの?どれどれ。」

片手を離してわたくしのお腹に手を当てます。

「ほんとだね。ちょっとふっくらしてる。」

にっこり微笑んだ修ちゃんのその笑顔が今迄見たこともないほど嬉しそうだったことわたくし驚きました。

良かったわ。今日のこと無事で、何かあったらわたくしも修ちゃんも今頃どうなっていたか。 

「明日もちょっと早く出てエコー見に行こうよ。」

「まぁ、修ちゃんこのあいだ見たところですわよ。」

「いいから、いいから。翔子お嬢様はプールから上がって、待ってて。僕はサウナに入ってからディナーに行くよ。」

わたくしはシャワーを使い、ピンクのドレスに着替えましてダイニングに入りました。

ダイニングテーブルにお花がたくさんございます。

「バトラーさん、このお花は?」

「翔子様宛にお見舞いのお花でございます。」

わたくしは驚きました。今回のことでお花を下さる方がいらっしゃるなんて。

心がくじけて講義に立てなくなるなんてあってはいけないことだと強く思いました。


修ちゃんが席につきました。バトラーさんに向かって

「当分の間お花や贈り物はボディガードさんと刃物なんかが入っていないか調べて下さい。」

「翔子ちゃん、先ほど帰りに警察に寄って被害届けを出して来たよ。刑事事件にもなるけどこれは殺人未遂だからね。罪は重いと思うよ。まして妊娠してることを承知していたとしたらもっと重い刑になるだろうね。」

「まぁ、そんなことに…………」

「だいたい今日の一発目の報告は、翔子教授が暴漢に襲われました、だからね。どんな大怪我したのかと講堂に行くまでの間すごい色んなことを考えたよ。頭だったらとにかくCT撮ってとか悪いことしか考えられなかったよ。それにしてもよくかわせたね。」

「えぇ、すごい早さで近づいて来られて本能的に怖かったので後ろに下がったのだと思います。」

「全く金属バットだよ。殺人だよ。ハロッズで握手してもらえなかったから腹がたったって言ってるらしい。」

「まぁ、ハロッズで…………。ハロッズでは混雑しておりましたものね。」

「逆恨みもいいとこだよ。間一髪で翔子ちゃんが後ろに下がってなければ死んでたさ。」

「修ちゃんがボディガードさん付けて下さって本当に良かったわ。でも男子の医学生さんたちも参戦して下さって頼もしかったですわ。」

「僕がいたら一発でねじ伏せてたよ。」

「まぁ、修ちゃんたら…………」

怒りに燃えてる修ちゃんをみるのは初めてかもしれません。それだけ今回の事件は卑怯な振る舞いだったということになります。わたくしは赤ちゃんが無事でいてくれただけでもう満足でございます。


食後はお振り袖に着替えましてお茶を淹れて差し上げることになりました。

ほんとに日本らしい白と赤の菊のお柄のお振り袖でございます!ヘアドレッサーさんも

「少しですけどお腹が出てきたように思いますわ。」

おっしゃって下さって嬉しく思いました。

お茶を召し上がって修ちゃんも

「落ち着くなぁ。」

やはり日本人でございます。

修ちゃんはわたくしのお振り袖とお茶のお味を楽しんでらっしゃるようなのです。

お茶瓶の中のお水をとりにキッチンまで参りました。

そうしますと今日1日のストレスが一度に来たような吐き気と目眩に襲われました。わたくしはしゃがみ込んでしまいました。

目眩がするので1歩も動けません。

わたくしはキッチンの狭いところで倒れ込んでおりました。

お茶室では修ちゃんが帰りの遅いわたくしを心配なさってリビングやダイニングを探してらっしゃいました。

救いの神でございます。ハウスキーパーさんがゴミをとりにキッチンへ入って来て下さいました。

「まあ、翔子様どうなさいました?」

「目眩がして、吐き気もするの、動けないの。」

「直ぐに修一様をお呼び致しますわ。」

間もなく修ちゃんが来て下さいました。

「翔子ちゃん、どうした?」

「……………………。」

「目眩と吐き気がするとおっしゃっていましたわ。」

「そうか。」修ちゃんはわたくしを軽々と抱き上げてベッドルームへ寝かせて下さいました。

吐きそうで汗が滲んで参ります。

いつもとは違って救命の患者様の着衣を脱がすように

帯とお振り袖を脱がして下さいました。

帯がとれて締め付けられていたものがとれて少し楽にたなりました。

「ふぅ、修ちゃんありがと。」

「なるべく自力で治っていったらいいと思ってきたけど点滴した方がいいかもしれないね。これじゃからだが持たないよ。」

「わたくし明日も講義に立とうと思っていますのよ。ですのでお願い致します。」

「うん、恐くない?」

「少し。でも明日を乗り越えたらあとは大丈夫だと思いますの。赤ちゃんと2人なので怖くないの。」

「…………そうか。…………」

修ちゃんに点滴していただいていつものように気持ちよくなってわたくしはそのまま眠ってしまいました。


起きてびっくり、昨夜の長襦袢姿のまま寝ておりました。疲れていたのかとてもよく眠れて気分は良いようです。修ちゃんはまだ眠っておられます。

寝顔を見て、この方に何回助けていただいたのかしら。本当に頼りになるパパーでございます! 

イギリスの上流階級ではパパ、ママをパパー、ママーと呼ぶのだそうです。

朝から愛しくなってしまい、頬にkissしてしまいました。

「ん?あ、翔子ちゃん気分はどう?」

「修ちゃんの点滴のおかげで爽やかな気分ですわ。わたくしこんな格好で寝ておりましたのね。」

「翔子ちゃんこれからシャワーに行くんだったら長襦袢脱がさせて。」

「修ちゃんたら…………はい、どうぞ。」

修ちゃんは腰紐をほどいて長襦袢を脱がします。

「はい、シャワーへどうぞ。」 

わたくしシャワーへ直行致します。

こんなことが楽しいなんて、可愛いといつも思います。

オペをすれば鋭い切れ味、いつも的確な診断と判断、講義をすれば豊富な内容と人を退屈させないジョークを織り交ぜた話術、医学生の憧れの的高杉修一の素顔を知っているのはわたくしだけでございます。


わたくしの人生で新聞の一面を飾るとは夢にも思いませんでした。

「翔子教授、暴漢に襲われる!」

どの新聞もこの見出しでお写真は山のように人が重なり合った犯人が取り押さえられた写真と修ちゃんとわたくしが抱擁しているものと、修ちゃんに抱き上げられているわたくしのものとが載っております。

「すごいな。新聞の一面だよ、翔子ちゃん。」

「わたくし恥ずかしいですわ。」

「こうしてみるとほんとに無事で良かったね。」

「えぇ、そう思っただけで講義に立てる勇気が出ます!」

今日は昨日行けなかったmikihouseの契約とポスター撮りがございます。

わたくしが妊娠したことで契約したスポンサーさんが15、修ちゃんも腕時計やスーツ、車など10メーカーさんございます。

イギリスの俳優さんがスポンサーさんひとつにつき1億、売れっ子で3億だそうですがわたくしたちはひとつにつき5億ほどもらっております。

こんなことでいいのでしょうか?

その代わり従業員の方が増えたので人件費もいりますがそれ以上に入ってくるお金が大きいのでございます。


修ちゃんの早る気持ちはエコーでございます。

「翔子ちゃん、成長しているよ。ほら見てごらん。」

わたくしもモニターをみましたら本当に人の形になって丸まっております。

「きゃ、修ちゃん、可愛いですわ!」

わたくしも嬉しくなりました。

確実に成長してくれていることに感激致しました。

「じゃあ翔子ちゃん、今日の講義は大丈夫だね?」

「えぇ、赤ちゃんの姿を見て勇気が出ました。」

「本当だね。僕も未来をみたようでやる気が出たよ。」

わたくしは2例オペをこなし、いよいよ講義でございます。

教室の一番後方まで満員でございます!

ボディガードさんもすぐ傍に1人とドアのところに2名いてくれています。

「もう皆様方昨日の事件はご存知だと思います。カレッジのセキュリティも強化されることと思いますがあのような事件でわたくしの医学への思いはくじけたりは致しません。むしろわたくしの知り得た知識を必ずや皆様方に届けたい思いが強まっております。これからもどうぞよろしくお願い致します。」

皆様方拍手喝采、スタンディングオベーションで応えて下さいました。

講義が終わり、mikihouseへ参りました。

先んじていただいていましたmikihouseさんのマタニティワンピースを着ての訪問でございます。

契約を結びましてポスター撮りはなんと裾にmikihouseと書かれたお振り袖でございます。

帯締めと帯揚げも赤でとてもキュートなデザインでこのポスターなら人気が出るだろうというものでございました。

髪飾りもルビーのお花をあしらったもので豪華でございます。

1歳の赤ちゃんを抱っこしての撮影はスムーズであやすとよく笑う可愛い赤ちゃんでございました。

わたくしの赤ちゃんとイメージが重なります。

会社内に飾られたベビー服が可愛くて無理をお願い致しまして購入させていただきました!

今日のお振り袖一式はプレゼントでございます。

数々のマタニティワンピースとベビー服もプレゼントしていただきました。


帰りましてやっぱりという出来事が起こりました。

修ちゃんがエコーを購入してらしたのです。

時々病院に行ってみるだけでは絶対満足されないとわたくしは密かに思っておりました。

あとは時間の問題だと。

わたくしが玄関に入りますと、奥から小走りに走って来られて、わたくしの手を取り、

「翔子ちゃん、翔子ちゃん、今日は素敵な買い物があるんだよ、びっくりするなよ!」

そこまで聞いた時、わたくしはエコーですのね!とピンと来ました。寝室に入りますとワゴンに乗ったエコーが置かれておりました。

「これで毎日ベビーが見れるよ。異常があっても即検知だよ。さ、ここに横になって。」

「わたくし今帰って来たばかりでお着替えもしておりませんのよ。」

「そんなことはいいから早く!」

わたくしは横になり、お腹を出しました。

「向きも位置も悪くないな。翔子ちゃん、これ最新式でバックライトが明るいのでより鮮明に見える優れものなんだよ。見て。」

「あら、本当に綺麗に見えます。ますます可愛らしくなって参りましたわね。」

「そうだろう。僕これからプールだから翔子ちゃんもおいでよ。一往復だけ歩こう。」

何故かプール歩行だけはわたくしの先生と化した修ちゃんでございます。

最後はわたくしの

「先生疲れました。」

というお決まりのセリフで終わりを迎えるのです。

5ヶ月に入りますと次第につわりもなくなり、いくらかお食事も頂けるようになりました。

カレッジには産休も育休もございますが、わたくしは命というものを教える為に陣痛が来るまで教壇に立つことを宣言致しました。

フォローするために講義のときでも修ちゃんはスマホを持つことに致しました。

お腹の大きさに関係なく安定期に入りますと身体もよく動けるようになって参りました。

エレベーターに乗っていましても女子大学生さんが

「翔子教授お腹に触らせてください」

などと嬉しいことおっしゃってわたくしのお腹をさわられます。

「お腹大きいと苦しいですか?」

「ううんそれほどでもないのよ。」

あの暴漢事件もいつしか記憶に薄れて参りました。

オペも同じように1日2例くらいずつこなしております。

スポンサーさんの数も多いですし、雑誌の取材などもございましてどうしても研究室に行くことが遠ざかってしまいがちですが今日は久しぶりに顔を出すことが出来ました。

もう少しいたかったのですがお腹がはった感じが致しまして、早めに切り上げて帰って参りました。

帰って参りました修ちゃんに

「修ちゃん夕方からお腹がはった感じがするの。」 

「おぅ、そうか。エコーで診てみよう。」

なるほどやはり家にエコーがあると便利でございます。

「うーん、赤ちゃんが少し下に下がってるな。今9カ月だろ。赤ちゃん産まれてきたいのかな?」

「身のまわりの準備しておいたほうが良い?」

「どっちみち1ヶ月以内には来ることだし、初産だから早まる可能性はあるな。」

こんな時でもプールにいるのはとても気持ちよくて、浮き輪で遊んだり、ビーチボールで遊んだりと今日はとても楽しく過ごせました。

「先生疲れました。」

「うん、今日はこれで終わり。上がって食卓で待ってなさい。」

「は~い」

これで浮き輪にベビーが入ってくれてるともっと幸せでございます。

ディナーが終わり、わたくし白のドレスに着替えましてヘアスタイルは三つ編みに薔薇の生花を挿してピアノを弾いておりました。

アイネクライネナハトムジークが終わり、ミニコンサートをしまおうとした時に

「赤ちゃんは類まれなる才能がある男子、類としたいんだけど、どうですか?」

「えっ、もう考えて下さったの?とても素敵ですわ。類ちゃん…………類まれなる才能は修ちゃん譲りですわね。」

「翔子お嬢様もすごい類まれなる才能だと思いますよ。」

わたくしは本当に気に入りました。

類ちゃん、元気で生まれて来てね!


朝になるとお腹のはりも少し良くなり、わたくしたちは一緒に出勤致しました。

車を降りる時、修ちゃんが

「じゃあね、類ちゃん今日も元気でいてね。」

お腹をさすりながらおっしゃいます。

ほんとに親バカぶりでございます。

わたくしは今日はオペが1例、2時間の講義が2講義ございます。

お昼からは研究室で今日はみっちり研究して学生さんたちにも指導したいことがたくさんございます。


我ながら無駄のない動きで終始したオペで見学していた医学生さんたちもずいぶん参考になったことと思います。

私服に着替えまして講義を2講義致しまして、やっと教授室に戻って参りました。

あら、お腹が痛い…………

わたくしは持っていたテキストを置いてソファに座りました。

今までに経験したことのない痛みでございます。

しばらくその痛みに耐えておりましたら、凄い勢いで液体が排出されました。

破水したのだと思います。

わたくしは直ぐに時計を見ました。

修ちゃんはまだ講義をされているはず。

破水しましたら細菌感染症にかかりやすくなるので安静にして適切な処置をしなければなりません。

動いてはいけないのですが書棚に置いてある吸水パッドを取りに行って処置致しました。

修ちゃんにお電話します。

「翔子、どうした?」

「修ちゃん、破水致しましたの。」

「うん、わかった。動かずに待っててね。直ぐに行くから。」

修ちゃんの講義室では

「諸君、今翔子から連絡が入り、現在妊娠9カ月で破水したとのことだ。破水すると細菌感染症のリスクが高まり、早期の処置が必要だ。僕は自分の子は自分で取り上げたいと思い、知識を身に着けて実習にも何度も参加して準備してきた。急を要する今、僕はこの講義を一旦中止してまたの機会にこのメンバーで講義をすることを約束します。なのでこれから翔子の元へ行くことを許してもらえるだろうか?」

わぁっと歓声が上がり、教室中大拍手です。

「みんなありがとう!じゃあ僕は走るね!」

修ちゃんはわたくしのお部屋まで走って来て下さいました。

「翔子、大丈夫か?!」

「修ちゃん、破水と出血もあったようですわ」

「痛みはどう?」

「さっきまで痛かったの」

「よし、分娩室へ行こう。」 

そう言ってわたくしを抱っこされました。

「修ちゃん抱っこなさったら濡れてしまうわ。」

「そんなこと気にしなくていいよ」

わたくしも清潔衣に着替え、分娩台へ乗りました。

修ちゃんが診察なさいます。

「子宮口が5センチ開いているからもう赤ちゃんは出てくる準備しているよ。陣痛の感覚も十分だし、このまま通常分娩で行こう。早産ではない、安心して。翔子ちゃん次の痛くなったとき力入れてね。」

修ちゃんが赤ちゃんを取り上げるとおっしゃったときわたくしは大和撫子として痛いとか、きゃーとかは絶対言わない、ただひたすら耐えると心に決めました。

ただでさえ恥ずかしい格好をしておりますのにこれ以上悲鳴を上げるなど許されないと思っております。

こんなことを考えておりますうちにかなり痛くなって参りました。

黙って耐えます。修ちゃんは赤ちゃんの傍にいらっしゃいます。

「いいよ、いいよ翔子ちゃんそのまま力入れて、長く長く、赤ちゃんも頑張ってるよ。そのままうんと力入れて!上手だよ!」

そうしましたら今度はわたくしの方に来て痛い腰をさすって下さいます。さすって欲しいところをお勉強されたのでしょう。ちょうど痛いところをさすって下さいます。

「少し休憩しようね。深呼吸して赤ちゃんに酸素をあげてね。翔子ちゃんも今は身体の力を抜いてリラックスして。」

わたくしの髪を撫でてくださいます。

こんなことでヘアスタイルが乱れて顕な姿になってはなりません。

でも実際のところはヘアスタイルにかまっていられないほど痛くて辛いのです。 

「痛くなって参りました。」

修ちゃんは腰の痛いところをさすって下さいます。

修ちゃんは医師と助産婦さん、夫と父の4役をこなしてるわけでまさにマルチでございます。

「翔子ちゃん頑張って、もう少しだよ!」

また赤ちゃんの傍へ行かれます。

「もう準備は出来てるよ。あとは翔子ちゃんが頑張るだけだ。」

痛くなって参りました。精一杯の力を入れます。

「…………………………………………!」

「翔子ちゃんいいよ、頑張って思い切って力を入れて!上手だよ!」

もう息をするのも苦しいほど痛くて自分がどうなっているか分からないほどでございます。

修ちゃんが枕元に来て下さいました。

「翔子ちゃん頑張ってるよ。えらいね。」

「修ちゃん手を握って。」

修ちゃんがわたくしの手を握ってくださいます。

わたくしはその手に頬ずり致しました。

これだけで元気が出ます。

「痛くなって来ました。」

修ちゃんは赤ちゃんの方に回りながら

「翔子ちゃん、赤ちゃんの頭が出てるよ。頑張れ!もう少しだよ!」

「翔子ちゃん赤ちゃんの頭が触れるよ。いいから触ってごらん」

わたくしは足の間にある丸い形状のものに触れました。赤ちゃんの頭が触れました。

あと少しで赤ちゃんに会える!

わたくしは最後の力を出しました。

「修ちゃん…………………………………………!!」

修ちゃんが赤ちゃんを高々と持ち上げました。

「翔子!赤ちゃんだよ!おめでとう!」

修ちゃん自らへその緒をお切りになりました。

付き添って下さってたバトラーさんが写真を撮って下さいます。

修ちゃんは赤ちゃんとのツーショットを撮ってもらっております。

赤ちゃんは綺麗に清拭されてわたくしの元へ連れて来られました。

わたくしとのツーショットでございます。

2900グラム、少し小振りではありますが元気な赤ちゃんで良かった。

修ちゃんは胎盤の処置と会陰の縫合に忙しいようでございます。

仕事の合間に産婦人科の勉強と出産の実習をしてやはり修ちゃんはGodHandでございます。

「翔子、ありがとう、ほんとによく頑張ってくれた。一言も痛いとも辛いとも言わずにほんと驚いたよ。」

「修ちゃんがいてくれたから。何もかもして下さいましてありがと。」

感激のあまり涙が溢れます。

どうしてもご自分の手で赤ちゃんを取り上げたいとの修ちゃんの一途な思いに脱帽致しました。

わたくしの方はというとすごい脱力感で大変でございます。

一通りの処置が終わり、一般病棟に移されました。

赤ちゃんは少し小さいので念のため保育器に入れられました。

出産の疲れと赤ちゃん誕生の歓びで複雑な気持ちでございます。

そんなわたくしのことを熟知されてるヘアデザイナーさんは寝ていても美しいヘアスタイルを作って下さって家から可愛いナイトウェアを持って来て下さいました。

暫くして修ちゃんが来られました。

「翔子ちゃん、お疲れ様、体調はどうだい?」

「修ちゃんこそありがと。修ちゃんがいてくれたからわたくし頑張れました。修ちゃんに医師と助産婦さんと夫と父の役割をしてもらったわたくしは世界に一人しかいませんわ。」

「誕生の歓びを自分の手で味わえたことは何よりだったね。これをまた講義で活かせたらいいなと思う。」

「わたくしも医師として出産をしたことは命というものを教える為にいい経験だと思いますわ。」

「ありがとう、翔子。」

「修ちゃん……………………」

わたくしたちは熱いkissを交わしました。


3日後わたくしたちは退院致しました。

マスコミの方たちで混乱して万一のことがあってはいけないとの学長のご配慮から講堂で記者会見を執り行うことになりました。

修ちゃんのお気遣いでベビーシッターさん2人、類ちゃんのボディガードさん2人を新たに雇うことが決まっております。

わたくしは髪はアップに致しまして絞りの藤の花のお振り袖と藤の花の髪かんざしを挿しました。

わたくしの持っているお振り袖の中で最も高価なものでございます。

類ちゃんは真っ白のおくるみでくるまれております。

いつも通りの質疑応答を終え、修ちゃん、類ちゃんと3人揃っての撮影で終了致しました。


少し家を留守にしただけですのに久しぶりな気が致します。

類ちゃんも初めてのベビーベッドでございます。

まず初めに類ちゃんを誰がお風呂に入れるかでございます。

「類は僕がお風呂にいれるから。」

「まぁ、まずは母親のわたくしでございましょう。」

「赤ちゃんのお風呂の入れ方は完全マスターしてるんだ。」

「わたくしもお勉強してマスターしておりますわ。」

「父親だとバカにしてるだろう。そんなレベルじゃないぞ。」

「まぁ、バカになどしておりませんわ。わたくし母親としてお風呂に入れたいだけですのに。」

これを聞いてらしたベビーシッターさんが

「まあまあ、おふたりとも、それでしたらおふたりでお風呂にお入れになったらいかがでしょう。」

「あぁ、うん、僕はそれでもいいけど。」

「えぇ、わたくしもそれでけっこうでございます。」

類ちゃんのことになりますとふたりとも譲らないのでけっこうな争いになるのでございます。

そんなわけでまず初めに修ちゃんが類ちゃんをお湯につけます。ガーゼで覆われた類ちゃんの手足がパタパタ動きます。

「まぁ、なんて可愛いんでしょ。」

初めて気づいたのですが男の方は手が大きいので修ちゃんの手のひらに類ちゃんはすっぽり乗っております。

わたくしはスポンジにベビーソープをつけて泡立てました。それを修ちゃんに渡しますと頭から身体、足の先まで綺麗に洗っていきます。

わたくしはシャワーの弱で泡をすすいでいきます。

修ちゃんはしっかり親指と中指で類ちゃんのお耳を塞いでおります。修ちゃんの手のひらで類ちゃんは背中向けにされてシャワーに当たっています。

最後にもう一度バスに浸かって終了でございます。わたくしがバスタオルを持って類ちゃんを受け取ります。丹念に水分をふき取ります。

わたくしは修ちゃんの上手さに驚いておりました。

わたくしよりお上手かもしれません。

オペがお上手な方は赤ちゃんの扱いもお上手なのでしょうか?

あの大きい手で小さな類ちゃんを細かなところまで綺麗に洗っていらっしゃいました。

あんなにおっしゃっているのですからお仕事が遅くなる以外はお風呂のかかりは修ちゃんにしてもよいかしら。

そんなことを考えておりましたら修ちゃんがミルクを持って来て下さいました。

服を着た類ちゃんをわたくしから受け取ってミルクを飲ませます。

修ちゃん曰く、母乳にするとわたくしの乳房の形が崩れるとおっしゃって粉ミルクにするとおっしゃるのです。

そういうところがわたくしを大切に思って下さっていると思いとても嬉しいのです。

それにしても修ちゃんがこんなに育児パパーになるとは驚きでございます。

そしてお帰りが早い。多分今まで翌日の講義の準備などをカレッジでなさっておられたのをお家でされているようなのです。

積極的というかベビーシッターさんのお仕事がなくなってしまいます。

「翔子ちゃん、類ちゃんミルクをほとんど飲んだよ。小さく生まれてきても頼もしいよね。」

「修ちゃんがお飲ませになったので嬉しくてたくさん飲んだのではないかしら?」

そう申しましたらまさかの答えが返って参りました。

「そうだろ!やっぱそうだよね!」

すごい親バカぶりで甘甘でございます。

わたくしは可笑しくなって参りました。

わたくしが笑っておりますのを類ちゃんが修ちゃん一番と思っていると捉えて喜んで笑っていると修ちゃんはお思いになっているのですから本当に幸せとしか言いようがございません。

小さく生まれたのにも関わらずすくすく育ってくれて親として嬉しい他ございません。


1日中類ちゃんといたいくらいなのですが教授職はそう甘いものではございません。

長時間のオペに難しいテーマの講義と診察、わたくしたちには雑誌の取材、コマーシャル撮りなどもございまして早く帰ることはなかなか難しくなって参りました。

そんな中で久しぶりにハロッズに参りまして、類ちゃんの服やおもちゃなどとわたくしのジュエリーや洋服、ハンドバッグ、お化粧品など買い求めました。修ちゃんの洋服はコンシェルジュさんに家の方に持って来てくださるようにお願い致しました。

「翔子先生ですよね。赤ちゃんお誕生おめでとうございます。握手お願い致します!」

またたく間に人だかりになりまして、コンシェルジュさんとボディガードさんに守られながら何故かサインをするということになりました。

そんなことに1時間ほど費やしましてやっと帰宅致しました。

類ちゃんはもうミルクも沐浴もベビーシッターさんが済まして下さって助かります。

修ちゃんも今日はまだご帰宅ではございません。

わたくしはリビングに座り、横にゆりかごを置いて類ちゃんをあやしておりました。

修ちゃんはお食事どうされたのかしら。

わたくしはどうしようか迷っておりましたが先に頂くことに致しました。

食事を終えてしばらくしますと修ちゃんがお帰りになりました。

玄関まで類ちゃんを抱いてお出迎え致します。

「おぅ、翔子、類只今」

わたくしにkiss下さいます。

「お食事はどうされましたの?」

「うん、学生たちとハンバーガー食べたんだよ。人気のお店でっていうことでおいしかったね。」

そのままシャワーを使われます。なかなか帰って来られないので探しましたらプールで泳いでらっしゃるようでストイックな方でございます。

類ちゃんはいつもなら機嫌よく手足をバタバタさせたりと元気なのですが、ちょっと元気ないのかなぁと思いました。ほっぺが赤いのは赤ちゃんだから?

抱き上げてみましたらぐったりとしております。

え?まさか具合悪いの?体温を測ります。38℃!

類ちゃんを抱いたままプールの修ちゃんの元へ参ります。

「修ちゃん、類ちゃん熱があるの!38℃!」

「え?わかった、すぐ上がる。」

わたくしは類ちゃんを抱いたままリビングで待っておりました。修ちゃんが来られて類ちゃんのおでこに手を当てます。

「熱いな。いつからなんだろう。」

「わたくしが帰って来ました時はベビーシッターさんはミルクも飲んで沐浴もご機嫌だったそうなの。わたくしが帰ってきてゆりかごに寝かせた時、おもちゃでおしゃぶりしておりましたわ。」

「新生児の高熱はとっても危険だ。今から病院に行こう。」

「わかりましたわ。お着替え致します。」

わたくしは簡単にセリーヌの白のワンピースを着ました。お洋服を選ぶ心の余裕などございません。

わたくしはどうしてもっと早く気づいてあげられなかったのかしら。ごめんね類ちゃん。

そんな気持ちでいっぱいでございます。

バトラーさんに

「類ちゃん熱があるの。病院に行って来ます。」

とだけ知らせました。

わたくしはゆりかごにねている類ちゃんを抱き上げました。車に乗り込みます。可哀想にぐったりしております。

「修ちゃんごめんなさい。わたくしが気づくのが遅かったと思いますの」

「翔子ちゃんそれは違うよ。そんなに自分を責めないで。」

「修ちゃん、類ちゃんを助けて!!」

「もちろん、僕がついているんだよ。僕のこと信じられない?」

「そんなことありませんわ。ただ類ちゃんを助けてほしいだけ。」

「大丈夫、安心しなさい。」

こんなことを言ってるうちに病院に着きました。

修ちゃんは救急から入って行かれます。

直ぐにCTを撮り、画像診断しながら点滴をされます。

わたくしが見る限り肺炎ではなさそうでございます。

熱は39℃、

「翔子ちゃん熱は一旦上がるところまで上がると今度は下がって行くから心配いらないよ。」

ぐったりした類ちゃんに酸素吸入や点滴の管がついているのが痛々しくてわたくしの胸は張り裂けそうでございます。

「類ちゃん。類ちゃん。」

「翔子ちゃんあとは僕がついているから翔子ちゃんは家に帰って休みなさい。朝にシャワーを使ってお着替えして出勤しなさい。」

「類ちゃんはどうなるの?」

「僕が治して明日の朝会わせてあげるよ。」

わたくしはバトラーさんに連絡してお迎えに来てくださるようお願い致しました。

家ではソファに横になり、いつの間にか眠っていたようでございます。

修ちゃんに言われたようにシャワーを使ってヘアスタイルを作って頂いてセリーヌのグレーのワンピースをチョイス致しました。

わたくしの車で出勤致しました。

真っすぐ類ちゃんの元へ参ります。

と、どうでしょう。

持たせて下さいましたおもちゃをおしゃぶりしながらご機嫌よく遊んでおります。

「類ちゃん」

人差し指を差し出すと握ってくれます。

こんなに良くなるなんて!

修ちゃんが入って来られました。

「ママー翔子、いかがですか?」

「修ちゃん、こんなによくなるなんて!」

「あ、お鼻が出てるね。」

修ちゃんはそう言うと流れ出た類ちゃんのお鼻を修ちゃんの口ですすってあげました。

わたくしは本当に修ちゃんという人の愛の深さを知りました。

こんなに妻子に愛情を注げる人がいるでしょうか。

「今日は1日ここで預かってもらって夕方僕たちが帰るとき一緒に帰ろうか。」

「えぇ、そうして頂けるとわたくしも安心ですわ。」

修ちゃんもわたくしも仕事に戻り、安心して過ごせました。

研究の学生さんたちの指導を終えて、明日の講義の準備もできたので類ちゃんを引き取りに参りました。

元気になった類ちゃんを抱いた時の喜びは例えようもなく嬉しいものでした。

類ちゃんを抱いて修ちゃんのお部屋にお迎えに参ります。

修ちゃんも明日の講義の準備をされているところでした。

「翔子ちゃん、類、迎えに来てくれたの?」

「えぇ、元気になって、とてもご機嫌ですわ!」

修ちゃんは類ちゃんの手を握って

「類、元気になって良かったね。」

3人で駐車場へ向かい、車に乗ります。

「修ちゃん、類ちゃんを助けて下さってありがと。」

「類に治っていく力があったからさ。生命力があったんだよ。」

「修ちゃんのような聡明で仕事ができる、オペの技術も完璧で医学知識も豊富でそれなのにわたくしと類ちゃんをこよなく愛して下さって修ちゃんはわたくしにはもったいない夫でございます。」

「何言ってんの。僕からしたらミス東大で仕事も出来て優しくて、いつも何があっても美しくて僕に尽くしてくれる翔子お嬢様が我が妻だなんて宝くじが当たったようなもんだよ。」

「まぁ、修ちゃんがそんなことおっしゃってくださるなんて…………」

わたくしは幸せと感激でいっぱいになりました。

世界中探してもわたくしたちのような愛し合っている夫婦はいないように思われます。

20年も経てば類ちゃんは独立してわたくしたちはまた2人になるでしょう。

その時でも今と同じように愛し合っていることは待ちがいないと思われます。

その時までは親として、夫婦として責任を全うするつもりでおります。

永遠の愛を確かに感じて。







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