3-5“操りの主、見つけ出せ”
敵の吹き出しは[]です。
後初めて挿絵使いました。
レルとルトは互いに同じ問題に直面していた。
伊戸があの『ヴィラ=シー・レテスメント』と同じ能力にて操られているのだ。
伊戸を操っているのは此処、翡翠湖の主『ゲムス』である。
「伊戸は未だ翡翠湖の中を索敵してる。早く『ゲムス』を見つけ出さないと…!」
レルは湖辺の探索をし、ルトは湖付近の捜索。
各々役割を分担し先程から捜索している。
≠≠≠
レル、ルトが捜索を始めてから数十分…。
『ゲムス』は面影がそもとして無かった。伊戸は湖中の索敵を行っていた為、
セトラにも事情を話し手伝ってもらったが、結局その日は見つからなかった。
「一体全体何処に居るんでしょうねぇ…『ゲムス』。」
翡翠湖の湖辺に建てたテントの中でルトが紡いだ言葉が今のである。
ちなみに、使っているテントはレルのアイテムボックスから出した物である。
「伊戸は操り状態だから、喋らないのかな?」
レルがセトラに問う。伊戸はテントに入るなり即無口となった。
その理由を操りによるものだとレルが推理したのだ。
そしてその質問へのセトラの返答はYes。伊戸は常時操り状態だと言う。
「早急的に見つけないとですねぇ…」
そんな話をしながら、その日は全員眠りに落ちた。
伊戸を除いて…
≠≠≠
「あれ!? 伊戸が…居ない!?」
目が覚めるなりレルが発した事。伊戸がテントの中に居ないのだ。
テントの入り口は少しだけ開いており、外へ出た事が明らかであった。
【伊戸、何処へ…?】
セトラは伊戸と一心同体状態だが、互いの位置情報は分からないらしく、
ただ棒立ちしか出来ない状態だった。
その日は『ゲムス』の捜索ではなく伊戸の捜索に目的を変更し、翡翠湖を中心に
捜索を行った。
「伊戸、何処に居るんですかぁ?」
翡翠湖の湖辺に申し訳程度に生えている草を掻き分けてはルトが声をかける。
だが、反応は無い。
その時、レルも同じく岩陰などを探していたが発見はできず。
ただ、翡翠湖周辺に伊戸は居ない。と、物語っているだけであった。
≠≠≠
「…? 此処は?」
俺は見知らぬ場所で目を覚ました。
周囲は石造り。暗く、灯りのない部屋だった。
「昨日から記憶が無い。俺は一体何を…?」
昨日、つまり俺が操られた時。その時以降の記憶が無いのだ。
すると、石造の部屋に突如とし眩い光が差し込んできた。
「うわっ! 何だ?」
俺が眩しがりながら光が差してきた方向を向いた。
其処には、腕に謎の紋様がある人らしきモノが立っていた。
「腕の紋様…あれ、多分『魔術陣』だな。」
#魔術陣#
魔術を発動するための詠唱を短縮し発動する為に作られた紋様である。
魔術毎に形は異なり、強い魔術ほど魔術陣の複雑さも異なる。
伊戸が『魔術陣』の存在を知っているのは異世界への知識が故。
腕にあるモノは極限まで簡略された『腐敗』の『魔術陣』であった。
「お前が…『ゲムス』だな。」
俺は立っているモノにそう言った。
すると、そのモノは腕を前に突き出し、伊戸にこう言い放った。
[如何にも。我は翡翠湖の腐敗魔『ゲムス』である。]
…普通に喋れるんだな。となると3級…いやそれ以上か?
どちらにせよ俺は今超ピンチ状態だな。
「その腕にある『魔術陣』…恐らく『腐敗』だろうけど。
それで俺を殺る気か?」
『魔術陣』が『腐敗』の物であるという確証はない。でもそんな気がする。
だから問いた。『腐敗』の『魔術陣』が事実なら『魔法陣』に気をつければ良い。
数秒の沈黙。後に『ゲムス』が紡いだ言葉は…
[異世界人でも…『魔術陣』は知っておるのだな。]
と。俺が異世界転移者だという事を見破っている言葉だった。




