2−12“逃亡成功、最終戦闘”
「……?」
—何だ? 今の変な感じは…。
何かが腹らへんに刺さるような…
—伊戸は無論気づいていない。
現在伊戸には『ファルカ』が発動した『陰陽回廊』による死が与えられている。
だが、其れは発動しない。
理由は単純、『魔力密度』である。
#魔力密度#
自身の質量と魔力量に応じた数値の事。
通常の人間は魔力量が少ないため魔力密度も必然的に下がる。
通常の人間は魔力があっても50、多くて100以上程度なのだ。
魔力量50の質量30kgの人間だと仮定すると魔力密度は
『600kg/m』となる。
だが、伊戸の場合それは異なる。
伊戸の体重は46kg、魔力量は1億なので…
『4,600,000,000kg/m』となるのだ。
其の為、魔力密度は化け物級になる。
『陰陽回廊』は侵入する事さえ儘ならない。
結果、伊戸の腹に刺さったのだ。
—其の様子を見ている『ファルカ』は…無論混乱していた。
[何故だ!? 何故死なない!? 何をしたんだぁ!!]
「さぁ…? 何ででしょうねぇ…」
気づいているのか、『概念ノ主』はニヤけながら答える。
〜ッ! もうどうしようも無い! 『肉体』の崩壊が90%を超えた!
今目の前に居る女さえ居なければ俺が勝っていたのに……ッ
[凛嶋……伊戸め…ッ。]
そう言いながら、『ファルカ』の体は完全に崩れ去った。
≠≠≠
「伊戸〜? 勝ったよー。」
そう言葉を漏らしながら伊戸の方に駆け寄る『概念ノ主』。
伊戸は上手く言葉を紡げず、曖昧な返事になってしまった。
—『概念ノ主』……強過ぎる。
今後は切り札としての使用…だな。
「てか、レルは!?」
伊戸はレルが居た、という場所に走った。
そして丁度着いた時、視認できる様になっていたレルの体が起き上がった。
「んぇ…? 私此処で何して…?」
レルが起き上がるとほぼ同時、ルトが声を上げた。
俺に状況説明をしていた時も相当焦っているように見えたし…
助かって嬉しかったのであろう。
「体調、大丈夫か?」
俺はレルと目を合わせるとそう言った。
レルは静かに頷き、其の儘言葉を紡いだ。
「『魔境ノ主』…『ヴィラ』の居場所がわかったよ。」
≠≠≠
……ダンジョンには必ずしも攻略法がある。
1つ、ダンジョン内全ての妖魔を討伐する
『完全巣窟破壊』タイプ。
1つ、ダンジョン内の特定の宝を取得する
『特定報酬取得』タイプ。
1つ、其のダンジョンに設定された特殊条件を達成する
『特殊条件達成』タイプ。
幻影都市『メタノアス』は『特殊条件達成』タイプのダンジョンだ。
その特殊条件こそ、
#3大眷属の全員討伐、其れを以てダンジョンボスの討伐#
である。
要するに、『ヴィラ』の3大眷属である
『エードルト』、『メロルカ』、『ファルカ』
の全員討伐後『ヴィラ』本人を討伐せよ
ということである。
3大眷属は各々が1級相当の力を持っており、『ヴィラ』は完全討伐は不可能。
と考えていた。
だが此度、魔力の特殊能力がリーダーであるパーティーが其れを覆した。
≠≠≠
『ヴィラ』は今、最大の窮地に立っている。
理由は単純、自分は3大眷属より弱いからであった。
—『ヴィラ』の能力は『洗脳操人形』。
自身の眷属を洗脳させる事の出来る能力だ。
『ヴィラ』は眷属を増やすため禁術、『甦リノ儀』を悪用していた。
そうして甦らせた3人を“3大眷属”とし、自身のダンジョンの攻略方法に加えた。
そうする事で自身は何もせず、ただ見る事に専念できるのであった。
此れが長年幻影都市『メタノアス』に伝えられていた
“ダンジョンボスの姿を見た者は居ない”の正体であった。
≠≠≠
さて、再び言おう。
『ヴィラ』は今、最大の窮地に立っている———と。
『エードルト』、『メロルカ』はまだしも剰え存在自体が見えない
『ファルカ』、も討伐されてしまったのだ。
……3度言おう。
『ヴィラ』は今、最大の窮地に立っている。
其の『ヴィラ』張本人は、とあることを考えていた。
「逃げるほか無いんじゃないか…?」———と。
勝てるはずが無い、ということを悟っているからこその判断。
此れが正解なのかどうかはまだしも、『ヴィラ』は其の言葉が脳内を巡っていた。
≠≠≠
そして最終戦闘。
レルが突き止めた『ヴィラ』の居場所に其の張本人は…
居なかった。
3−1に続く
secret
1.ダンジョン表記をカタカナにしました
2.ダンジョンボス表記をカタカナにしました
後書き
長々としていた第2章が此れにて完結しました!
逃亡した『ヴィラ』は一体如何なったんでしょうね…?




