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【連載版】妖魔転記—転移者の冒険記録—  作者: 華邨りい
【弍】“新天地と新能力”
19/25

2−12“逃亡成功、最終戦闘”

「……?」


—何だ? 今の変な感じは…。

何かが腹らへんに刺さるような…


—伊戸は無論気づいていない。

現在伊戸には『ファルカ』が発動した『陰陽回廊』による死が与えられている。

だが、其れは発動しない(・・・・・)

理由は単純、『魔力密度』である。


#魔力密度#

自身の質量と魔力量に応じた数値の事。

通常の人間は魔力量が少ないため魔力密度も必然的に下がる。


通常の人間は魔力があっても50、多くて100以上程度なのだ。

魔力量50の質量30kgの人間だと仮定すると魔力密度は

『600kg/m(キログラム毎マナ)』となる。

だが、伊戸の場合それは異なる。

伊戸の体重は46kg、魔力量は1億なので…

『4,600,000,000kg/m』となるのだ。

其の為、魔力密度は化け物級になる。

『陰陽回廊』は侵入する事さえ儘ならない。

結果、伊戸の腹に刺さったのだ。


—其の様子を見ている『ファルカ』は…無論混乱していた。


[何故だ!? 何故死なない!? 何をしたんだぁ!!]


「さぁ…? 何ででしょうねぇ…」


気づいているのか、『概念ノ主(コンセイトロード)』はニヤけながら答える。


〜ッ! もうどうしようも無い! 『肉体』の崩壊が90%を超えた!

今目の前に居る女さえ居なければ俺が勝っていたのに……ッ


[凛嶋……伊戸め…ッ。]


そう言いながら、『ファルカ』の体は完全に崩れ去った。

     ≠≠≠


「伊戸〜? 勝ったよー。」


そう言葉を漏らしながら伊戸の方に駆け寄る『概念ノ主(コンセイトロード)』。

伊戸は上手く言葉を紡げず、曖昧な返事になってしまった。


—『概念ノ主(コンセイトロード)』……強過ぎる。

今後は切り札としての使用…だな。


「てか、レルは!?」


伊戸はレルが居た、という場所に走った。

そして丁度着いた時、視認できる様になっていたレルの体が起き上がった(・・・・・・)


「んぇ…? 私此処で何して…?」


レルが起き上がるとほぼ同時、ルトが声を上げた。

俺に状況説明をしていた時も相当焦っているように見えたし…

助かって嬉しかったのであろう。


「体調、大丈夫か?」


俺はレルと目を合わせるとそう言った。

レルは静かに頷き、其の儘言葉を紡いだ。


「『魔境ノ主(ダンジョンボス)』…『ヴィラ』の居場所がわかったよ。」


     ≠≠≠

……ダンジョンには必ずしも攻略法がある。


1つ、ダンジョン内全ての妖魔を討伐する

  『完全巣窟破壊(ブロッカール)』タイプ。

1つ、ダンジョン内の特定の宝を取得する

  『特定報酬取得(トレジャーズ)』タイプ。

1つ、其のダンジョンに設定された特殊条件を達成する

  『特殊条件達成(ミッショント)』タイプ。


幻影都市『メタノアス』は『特殊条件達成(ミッショント)』タイプのダンジョンだ。

その特殊条件こそ、


#3大眷属の全員討伐(フルバースト)、其れを以てダンジョンボスの討伐#


である。

要するに、『ヴィラ』の3大眷属である

『エードルト』、『メロルカ』、『ファルカ』

全員討伐(フルバースト)後『ヴィラ』本人を討伐せよ

ということである。


3大眷属は各々が1級相当の力を持っており、『ヴィラ』は完全討伐(フルバースト)は不可能。

と考えていた。

だが此度、魔力の特殊能力(クロウス)がリーダーであるパーティーが其れを覆した。

     ≠≠≠

『ヴィラ』は今、最大の窮地に立っている。

理由は単純、自分は3大眷属より弱い(・・)からであった。


—『ヴィラ』の能力(ウスト)は『洗脳操人形(ブレットマイシング)』。

自身の眷属を洗脳させる事の出来る能力(ウスト)だ。

『ヴィラ』は眷属を増やすため禁術、『甦リノ儀(リリノス)』を悪用していた。

そうして甦らせた3人を“3大眷属”とし、自身のダンジョンの攻略方法に加えた。

そうする事で自身は何もせず、ただ見る事に専念できるのであった。

此れが長年幻影都市『メタノアス』に伝えられていた

“ダンジョンボスの姿を見た者は居ない”の正体であった。

     ≠≠≠

さて、再び言おう。

『ヴィラ』は今、最大の窮地に立っている———と。

『エードルト』、『メロルカ』はまだしも剰え(あまつさえ)存在自体が見えない

『ファルカ』、も討伐されてしまったのだ。


……3度(みたび)言おう。

『ヴィラ』は今、最大の窮地に立っている。

其の『ヴィラ』張本人は、とあることを考えていた。


「逃げるほか無いんじゃないか…?」———と。

勝てるはずが無い、ということを悟っているからこその判断。

此れが正解なのかどうかはまだしも、『ヴィラ』は其の言葉が脳内を巡っていた。

     ≠≠≠

そして最終戦闘。

レルが突き止めた『ヴィラ』の居場所に其の張本人は…


居なかった・・・・・





3()()1()に続く

secret

1.ダンジョン表記をカタカナにしました

2.ダンジョンボス表記をカタカナにしました


後書き


長々としていた第2章が此れにて完結しました!

逃亡した『ヴィラ』は一体如何なったんでしょうね…?

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