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悪役刑事  作者: 如月いさみ


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11/13

解除コード 2

相田光一は二人を見て

「時間はない」

お願いする

「人質を助けるためにも」

と告げた。


リーダーが立ち上がると

「わかりました」

設計図を持ってきます

と踵を返すと部屋を飛び出した。


彼は戻ってくると当初の設計図を広げて説明した。

「もともと解除コードは個人が持つための初期値を作成するためのもので」

そのあとは個人で再設定する形になっていました

「なので初期値作成のコード自体はそれほど複雑なアルゴリズムにはしていないです」

殆どが乱数利用です


それを見ながら静は

「なるほど」

と答えた。

「それで同じソースを使って作成した解除コードはもう試されていますか?」


彼は頷いて

「はい」

もともと乱数変数はそれほど高度なものを使っていないので手続きが一緒ならほぼ同じ数値を出してきますから

「今かなりの数値を入力としてループさせて与えながら作ったものを走らせましたが」

と首を振った。

「通常はヒットしてくるんですけど」


静は目を細めて

「ですね」

そこに何か加えたのかもしれませんね

と答えた。


横で聞きながら光一と坂巻俊也は同時に

「「宇宙語だ」」

と心で突っ込んだ。


静は腕を組み

「浅井光則はバルブの調整部分でしたね」

と告げた。


リーダーは頷いて

「ええ」

設定した時間にバルブ開閉の機械に信号を送るという部分です

と告げた。


静はハッと目を見開くと

「あの、俺はチームでプログラムを組むというのはぼんやりとしかわからないんですが」

と言い

「その担当部署の変数なども全員が掌握できるものなんでしょうか?」

と聞いた。

「彼も把握できる位置にいたんでしょうか?」


リーダーは首を振ると

「いえ、全容は我々リーダークラスの人間だけです」

と告げた。


静は息を吐きだすと

「でしたら」

可能性としてはプラスアルファが高いと思います

と言い

「解除コード作成部分はそのまま残してプラスした」

と告げた。


光一は腕を組み

「そのプラスだな」

と呟いた。


静はリーダーを見ると

「あの、彼についてよく知っている人は?」

恐らくプログラマーは癖があると聞きますのでそこにもヒントがあるかもしれないので

と聞いた。


それにリーダーは

「彼はトーワン派遣会社から三か月契約で来ていたので

トーワンの人の方が

と告げた。


相田光一は手帳を開いて

「教えてください」

と告げた。


三人はそれを聞き、トーワン派遣会社へと出向いて彼の担当だった男性を訪ねた。

担当者は慌てて出てくると応接室で

「浅井さんですね」

凄くまじめだったので正直驚いています

と言い

「東京で一人暮らしをしていて」

今回で3回目の紹介案件だったんです

と告げた。


坂巻俊也は彼に

「住所と仲の良い人を」

と告げた。

が、担当者は困ったように

「うちの派遣会社は一緒に集うことはないので」

技能職の人ばかりなので

と告げた。

「彼は簡単な自作プログラム程度なら組めるくらいのレベルでした」

ああサンプルならありますよ


そういって応接室を出て直ぐに紙束をもって戻ってきた。

「これが彼のポートフォリオです」

自分で組んだプログラムなどです


静はそれを受け取り見た。

「内容的には基礎的なものが多いな」


それに担当者は頷き

「ええ、なのでプログラマーとして先ずはチームで作る経験をしてもらう形で案件を紹介していました」

と答えた。


静は目を細めて

「だとすれば」

と呟いた。


時計の針はその間にも進んでいる。

時間は既に16時を過ぎ、東京駅ヒルズビルでオープンセレモニーに参加している高峰慎之介と三村莉佐も何も知らず挨拶を聞いて乾杯をしていた。


40階でパーティーに参加している多くの人々は何も知らないのだ。

空は東から宵闇が追いかけ、西の紅蓮を闇に染めようとしていた。


光一は時計を見ると

「もう17時か」

そろそろパーティーが終わって気づくころだな

と目を細めた。


それに静は立ち上がると

「とりあえず、試してもらう」

と告げた。


光一と坂巻俊也は同時に彼を見て

「「まさか」」

と告げた。


静は二人に

「もっとも、本人じゃないので」

あくまで彼の立場でできる範囲を考慮してとなるけど

と告げた。


光一は立ち上がり担当の男性に

「ご協力ありがとうございました」

と言い、頭を下げて部屋を出た。


静と坂巻俊也も頭を下げて立ち去った。


時は止まらず時刻は進んでいく。

静はサイバー対策課へ戻るとトーワンからもらった浅井光則のポートフォリオを見せて

「可能性として彼は解除コードを時間で変更していっているのではないかと思っています」

複雑なプログラムを組めるレベルまで行っていないと思います

と告げた。


それに課長とリーダーは顔を見合わせた。


光一と坂巻俊也も彼を見た。

光一は腕を組むと

「なるほど、話によれば浅井光則の担当は時間でバルブの開閉信号を送るプログラム」

時間の取得方法と変数はわかっていることを考えて

「それを最大限生かした形か」

と告げた。

「それなら時間で変更されていくからヒットがないのも理解できる」


リーダーは考えて

「わかりました」

と言うと

「パーティーが終わってしまって状況が分かると参加者がパニックになるかもしれないので」

試せるものは全て

と立ち上がって

「彼が作成したプログラムをチェックして利用している時間変数を解除コード作成の入力にして作ってみます」

と告げた。


その時、静は慌てて

「あ、その時」

実行時間によるズレ

「つまり数舜前の解除コードを入れるようにしてみてください」

と言い

「もちろん、一つの案なので…正しいかはわかりませんが」

と告げた。


リーダーは笑顔で

「もともと我々も行き詰っていたので」

何でも試せるだけ試すしか

と立ち去った。


早速プログラムを作成して走らせるということである。


時間は刻々と進んでいく。

光一はリーダーが立ち去ると静に

「俺たちは浅井光則の行方だな」

悪いがあんたには解除が無事に終わるまで付き合ってもらいたい

「先の案がダメなら…他の方法も考えてくれ」

と告げた。


静は頷いた。


坂巻俊也も立ち上がり

「じゃあ、荒神さんにはここで待機してもらって」

我々は走りますか

と告げた。

それに光一も頷いた。


静は残り、課長に連れられてサイバー対策課の作業の管理を手伝った。

光一と坂巻俊也は車で浅井光則を探しに建物を後にした。


光一は坂巻俊也に

「どこか、だな」

と呟いた。


坂巻俊也は考えながら

「今住んでいるアパートか、両親が経営している店か実家か」

しかし

「そこへ向かった面々から連絡はまだ」

と告げた。


光一は笑むと

「もう一つある」

と告げた。


坂巻俊也は「え」と首を傾げた。

光一は夜の様相を見せ始めた流れる光景を見ながら

「自分の復讐が成功したかどうか…見たいだろ」

と告げた。


坂巻俊也は驚いて

「まさか」

と呟いた。


光一は携帯を手に

「ビルの近隣を調べる」

と告げた。

「混乱ぶりが見える場所だ」

これはもう人海戦術しかない


警視庁捜査一課の面々が相田光一の連絡を受けて東京駅ヒルズビルの周辺で慌ただしく動き出したのである。


その東京駅ヒルズビルの40階では三村莉佐が腕時計を見て

「そろそろ終わるわね」

と呟いた。


慎之介も頷いて

「そうだね」

と答えた。


朝からスタッフの案内を受けてビルを見て回って流石疲れていたのである。


その時、壇上に司会者が上った。

誰もが司会者を見つめた。


ビルの真下では静寂が広がっている。

その少し騒がしくなったビルの近くのビルの一角のレストランから一人の男が東京駅ヒルズビルを見つめていた。


浅井光則であった。


彼は目を細めて時計を見ると

「…そろそろオープンセレモニーが終わって騒ぎになる」

ハハハと笑った。

「時間で変わっていく解除コードを入れることなどできるわけがない」

ざまあみろ

「はした金で店を奪った奴が」

東京を追われる羽目になった家族の苦しみを知れ


そろそろ。

そろそろ。

セレモニーに出ている人々が騒ぎ出す。


浅井光則は喉元で笑いをこぼした。

が、ビルの自動ドアが開きバラバラと人々が出てくる姿を見ると席を思わず立ちあがった。


40階に閉じ込められているはずである。

なのに。

なのに。


浅井光則は慌てて踵を返しかけて目の前に現れた二人の男に目を見開いた。

相田光一と坂巻俊也であった。


光一は手帳を見せて

「今、ギリギリパニックになる前に解除が間に合った」

浅井光則

「威力業務妨害と40人の監禁罪で逮捕する」

と告げた。

「君が利用できた時間変数を入力にして解除コード作成した」

解除ができたということは考え方が間違ってなかったってことだな


浅井光則は椅子に座り

「奴らが悪いんだ」

と吐き捨てて告げた。


それに光一は手帳を出して

「立退料はきっちり払っていると聞いている」

ご両親に関しては

「最初に東京の土地を紹介するといったが断わったって今のところに店を構えたんだ」

と告げた。

「ご両親の意志だったんだ」

ご両親の元へ駆けつけて事情を話した刑事から

「ご両親がどうして東京を離れたか言わなかったことを後悔しているといっていた」

もともと外で食べることが減り経営が傾きつつあったんだ


浅井光則はそれに

「嘘だ!」

と顔を伏せた。


光一は息を吐きだして

「ならば、ちゃんと両親と向き合って話をしろ」

と告げた。

「こんなことをしてもご両親も君も失うものは多くあっても得るものは何もない」


浅井光則はがっくりと肩を落とした。

光一と坂巻俊也は彼を連れてレストランを出ると警察へと連行した。


そして、サイバー対策課へ静を迎えに行ったが解除が終わると

「娘が待っているので」

相田さんと坂巻さんにはお伝えください

と言い残して立ち去ったと聞いたのである。


相田光一は息を吐きだし

「今度、礼を言ってシュークリームを買わないとだな」

とぼやいた。


坂巻俊也は苦笑して

「しかし、本当に…切れ者ですね」

と言い

「我々も署に戻りましょうか」

と告げた。


高峰慎之介も三村莉佐もあのオープニングセレモニーに出ていた誰もが気づかない間の大騒ぎであったが…このことが切欠で一つの事実が相田光一の手に落ちることになったのである。


騒ぎが落ち着きを見せた頃、相田光一と坂巻俊也の元に一人の男性が一冊の調書を手に姿を見せたのである。


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