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僕の黒歴史を団欒の肴に


 食後。

 お母さんが洗い物をしている間、僕とナズナはリビングのソファーに座りテレビを見ていた。


 なんともまぁ、非日常な感じがしないでもないがナズナの様子を見ると何故か僕以上に落ち着いている様子だ。

 僕なんかまだ違和感たっぷりなのに……。



「美味しかったよ。ありがとう」



 隣からそうお礼を言われる。

 僕はテレビから視線をナズナに移すと、笑みを浮かべているナズナ。どうやら既にお母さんに胃袋を掴まれてしまった後のようだった。



「それはお母さんに言ってあげて。あの様子から見てナズナのこと気に入ったみたいだし」



「そうかな? そうだったら嬉しいな」



「間違いなく気に入ってるよ。ほら」



 僕は洗い物をしているお母さんのことを見て、とそういうメッセージを込めて顔をキッチンの方へと向ける。

 


 チラチラと僕達を見ては、優しい微笑みを浮かべているお母さんがそこにいた。



「あ。こっち見てる……?」



 さりげなくお母さんの方を見たナズナはお母さんの奇行に気付いたと同時に目を逸らす。

 流石にあれでは引かれてしまうだろう。

 自分の母親の行いを恥じながら、顔を逸らしたままのナズナに状況を伝えた。



「そう。さっきからあんな感じ」



「少し恥ずかしいね」



 頬を掻くナズナ。


 

「まぁ、あんだけ見られればね。それにあれはご機嫌な時のお母さんの顔だ」



「そっか。嬉しいね」



「洗い物終わり!」



 僕とナズナ。テレビを見ながらあのあぜ道と同じように会話をしていると、先程までチラチラとコチラを見ていたお母さんはエプロンを脱ぎながらコチラに向かってくる。



「ナズナちゃんは時間大丈夫?」



 お母さんは部屋に置いてある時計を見ながらそう聞く。

 いくら車で送って行くにしても、あまり遅いとナズナの家族が心配してしまう。


 

「私は大丈夫です。家にも連絡を入れましたし」



「そっか。それじゃ、少しだけお話ししましょう。ほら、お父さんも端っこで何してるの。そうだ。蓮の昔の写真でも見る?」



 怒涛の勢いで言葉を口から出すお母さん。

 どうやら本当の本当に機嫌が良いらしい。



「え! いいんですか? 見たいです!」



 そして何故か乗り気なナズナ。



「ちょ! お母さん!?」



 昔の写真なんてただ恥ずかしいだけじゃないか。

 それに昔の僕を見た所で何も面白いことなんてない。



「はいはい。蓮は黙っててね。ねぇ、お父さん。アルバム取ってきて」


 

 なんともまぁ独裁的な母親だ。



「う、うん」



 そして弱い父親。

 お父さんはお母さんに言われた通り、部屋の奥へとアルバムを取りに行ってしまった。



 

 そこからは地獄だった……。

 次々にナズナに見られる僕の恥ずかしい写真。そしてそのエピソードの数々。



 僕がまだ赤ん坊の時に撮った裸の写真。

 犬にビビり散らしている写真。

 好きだった女の子を見ている写真。

 中学の卒業式に撮った、ダサい髪型に変に作った笑顔の写真。

 

 黒歴史と言っても良いものをノリノリで見るお母さんとナズナ。

 この二人は組ませてはダメだった……。



「ねぇ、お父さん。女性って怖いね」



「ああ。そうだな」



 僕とお父さんはワイワイと話しながらアルバムをめくる悪魔二人の後ろ姿を見ながらそう、共感しあったのだった。




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