色々と詰みそう
読んでいただいてありがとうございます!
中に入るとカウンターのような場所があり、その奥側に女性が一人で座っていた。
「あの、先ほどグラガ先生に寮を案内されたのですが…」
「ああ、あなたですか。そういえばあなたも寮での生活に決まっていたんでしたね。」
商法部門からの寮住まいというのはそれほど珍しい事なのだろうか、どの先生も頭の片隅にある程度の事しか覚えていないようだ。
「寮での生活は寝るスペースが1人1つ、それ以外は他の子と共同で使うことになっているわ。もちろん男と女は別々にね。」
コルク先生より部屋を案内され移動し始めた。
「私は普段より武術部門の補助を担当しつつ、夜はこちらで寮長として生活しているわ。何か困り事があったら、先ほどの場所に来てもらえれば話せるわよ。ただ、昼の間は学校の方にいるから会えないけど。」
コルク先生はそう言って、部屋の扉を開けてくれた。
「ここがあなたの部屋になるわ。それでは私はもう行くから。」
「はい、どうもありがとうございました。」
僕の案内が終わったコルク先生は、自分の部屋に戻って言った。
扉の向こう側には一畳くらいの広さに小さいベッドがあるだけだった。
こ、これはRPGなんかに出てくる牢屋よりも狭いんじゃないか?
僕は廊下にヒョコっと顔を出して隣を見たが、ずらっとたくさんの扉が並んでいた。
話をしていて気がつかなかったが、まあそうなるよな…
一人一人の部屋を用意ったって限界ががある。個人スペースを用意してくれただけでも有り難く思わなくちゃ…あれ?そういえば、もしかして。
僕はもう一度コルク先生のところに行った。
「あら、まだ何かあるの?」
「商法部門から来たのが僕だけみたいですけど、他の部屋には他の部門の子がいるんですか?」
「もちろんよ。」
「何階かに分かれていて、上の階には、既に学校に入学済みの者が入っているわ。1年ごとに部屋は移動するのが決まりよ。」
それ以外にも、将来が有望と判断された者が上の階へ住むとのことだ。
「では、今年から武術部門に入った子供もここにいるんですか?」
「ええそうよ。ただ住む者が例年で武術部門と魔術部門には多いから他の寮へ入っている可能性もあるけど…」
うん、接点が無くなるとか思ってたけど、これは無理だな…
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
〜テンドの視点〜
「ただいま戻りました。」
僕は家に帰り家政婦にあいさつすると、すぐ父上の書斎へと向かった。
コンコンッ
「誰だ?後にしなさい。」
「テンドです。父上にとびきりの話を持ってまいりました。」
「フム、わかった。入りなさい。」
父上の許可を頂き、部屋に入る。
「おかえり、我が息子よ。そんなに慌ててどうしたんだ?」
「はい。父上にとても大事なお話がいります。」
僕は、今日の出来事をまとめて話した。
「なに!?それは本当か?」
「はい!そのルークという子供は両親ともに居らず、生死問わず遂行して良いと、むしろ学校で邪魔になる存在だとも言っておりました!」
「そうか…よし!私も協力してやろう。」
「ありがとうございます!」
「いやなに、これを成功させれば私は…よくぞこの話を持ってきた!さすがは私の息子だ!」
僕は父上にとても大喜びされた。
「では、今日は前祝いと行こうではないか。母さんにも何が欲しいか聞いておきなさい。」
「はい!」
僕や父上は成功させた暁には、町の料理人や商法クラスのBよりももっと良い待遇が頭に浮かべ、胸を膨らませるのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
〜ルーク視点〜
〜翌朝〜
ふあぁ〜慣れないベッドは寝起きが悪いな〜。
僕は目を擦りながら、学校へ行く準備をして寮を出ようとする。
「あら、朝早いのね。こんな時間に学校に行っても意味ないわよ?」
「あれ?朝はどこで食事をすればいいんでしょうか?」
「え?朝の食事?そんなもの寮でも学校でも出ないわよ?」
「え?そうなんですか?」
「当たり前でしょ?朝は誰も学校にいないし、ここは寝るところなのよ?」
そんなぁ〜…
ここでは、学校の食事は昼にならないと出ないらしい。
そして、夕方になると当然人が居なくなり、作る者はいないようだ。
今まで院での生活では、朝はがっつり、昼はオヤツ程度、夜はスープのみ食べていたのに…
僕がとても残念な顔をしていると、コルク先生が助言してきた。
「…どうしても食べたいのであれば、自分で調達することね。あ、でもお金はあるの?」
当然無い…
「…無いなら、そうね…冒険者ギルドに登録して何か仕事を引き受けるか、町のどこかでお手伝いをしてお金か食事を貰うかのどちらかかしら?」
ああ、そういえば冒険者ギルドには他にも用事があった。テンドが言うには、マナーやルールを知っておく必要があるんだよね。
「ただ、冒険者ギルドの仕事はどれも過酷だし、商法クラスのあなたには…町のお手伝いも、何かあるかな…まあ実際に見てみたほうが良いわね。」
うん、なんか詰みそうな気がしてきた。
「ありがとうございます。今日の空いた時間に町の方を行って、見て決めたいと思います。」
「そう、まあ無理はしないこと!いいわね?」
今日のところは何も食べずに寮を出ることにした。
今の時間だと学校も開いていなんだよなー。
僕は学校周辺の町を少しだけ歩いて時間を潰すことにした。
町を歩いて見たが、コルク先生の言う通り、開いているお店は無く、人もほとんど見ない。
町の雰囲気は静まり返りすぎて、逆に怖くもあった。
次は昼間に来たほうがいいな。
僕は探索を終えて、少し早いが学校へ向かった。




