誘いと皮肉
久しぶりに更新。
膨れ上がる殺気と今にも殺そうと身を潜める気配に笑みを深める。
その程度か、と。
「ヤークトハントアペルピスィア」
クーアとは、反対側に腰くらいの高さがある犬が現れる。
彼は、残酷な猟犬と言われる中型の召喚獣では、一番狂暴で危険だと言われている。
「カルマ....来たら殺していいよ。」
頭を撫でて言えば小さく唸った。
クスクスと笑いながらファクルを見るとそちらも笑っていた。
「なるほど、ね。大狼の獣人が従うわけだ。
君は何者だい?クルスちゃん」
マイスの身体は、グニャリと崩れて青銀の髪と金色の瞳を持つ青年が現れる。
「調べたんでしょう?」
カルマを撫でながら目を細める。
私の願いと似た願いを持つファクル。
でも、彼と共闘するのはまだ早い気がする。
彼の仲間は、私より弱い。
それは、共闘とは言えないほどに。
「....強化獣人計画の事は王国の上層部では有名だ。
ハーフや血筋など関係なく手当たり次第らしいな。」
「それだけ?」
それくらい、いや、それ以上知っているはずだ。
彼は、あの国の王子だったのだから。
「最近施設を爆破したらしいね。
それに巻き込まれた王国の貴族も研究者も全員死亡。
研究の失敗による爆発事故と言われているけど、実際は被献体による反乱という説が濃厚だ。俺もそうだと思ったから彼らを探したんだ。
そしてあの馬車で彼らを見つけた。
もっと殺伐としているかと思ったが彼らはあの実験の被害者とは、思えないほど穏やかだった。
その中心には君がいた。
まるで、君を守るように彼らは動いていた。
君は、人間か?それともクォーターかい?
だが、それでも分からない。君はなぜ彼らといることが出来るのか。」
金色の瞳は、私を真っ直ぐにみている。
全てが知りたいといっている。
でも、教えない。
「無料で情報を開けたんだが....君は教えてくれないのかい?」
「悪いけどそんなこと知ってるし私は、もっと深い場所まで知ってる。」
「君は....あの実験の中にいたのか。」
驚いたように私をみてすぐに顔を引き締めた。
研究者という線もあると思ったのかな?
「君が答えないなら君の仲間に聞こうか?」
「無理だったから私に直接来たんでしょ?」
そこで黙ればそれまでだ。
さぁ、どうくる?
「答えなければ、君と離れた場所にいる彼らに聞くまでだ。どんな方法を使おうとも」
思わず苦笑してしまった。
実力の差が開きがわからない人では無いだろうに。
「短慮だね。もう少し賢いかと思ったけど。」
ファクルは、眉間にしわをよせた。
「ハイガたちを引き込みたいのは分かるよ。
大義名分は必要だしね。出来るだけ不要なものは、取り除いておきたいのもわかる。
でも、貴方は率いる側なのだからそんな分かりやすくいたらすぐに殺されるよ?
貴方の望みは知らないけれどきっと立派なんだろうね。その望みの為なら死んでくれる人もいるだろう。
でも、本質を知らない貴方じゃ自分の望みを叶える前に死んじゃうよ?」
ハイガ達に話しかけたのなら分かったはずだ。
彼らにも叶えたいものがあると。
誰かに仕える気なんて更々無いってことも。
今更助けようと思っていたなんていったら殺されていただろう。
「....君は....なんなんだ?」
その問いにも笑みを浮かべた。
「貴方が反逆者のリーダーとして知りたいことを探せば自ずと道は開くよ。
私は、そうした君を見てこれからを決めよう。
みんなにも意見を聞くよ。
貴方の道が私たちに重なるのなら、ね」
ハクワ草を手にとってすたすたと歩き出す。
周りの視線は相変わらず強いけどカルマより強いのはいない。
クーアでも勝てるだろう。
「....クルスちゃん。ヒントはあるかな?」
後ろから聞こえた彼の声は少し震えていた。
「....私の髪は元は黒髪だったよ」
へらっと笑って森を出る。
この情報をどう使うかは、彼次第だ。
ギルドに戻ってハクワ草を買い取りの人に渡す。
ヴィスじゃない方の人は、無口で仕事が早かった。
銅貨四枚の収入だった。
とりあえずターラさんに、お土産を買っていこう。
メラン達ようのドライフルーツも買わないとなあ。
市場らしきところにいくと結構人がいた。
夕方には閉まるらしいから今がちょうど夕飯の買い出しなのだろう。
野菜を売っている所でハカウという桃のような果物を買って乾物屋でドライフルーツを数種類買った。
宿に戻ったらハイガ達に話してみよう。
....道を踏み外した私と踏み外しそうな彼。
少しだけ言い過ぎたかなあと反省する。
ありがとうございました。




