オープニング
何か欲しいものはないか?
この言葉を聞いたことが、今までの人生で何度あっただろうか?
それを言ったのが身内だったなら、幼い頃はおもちゃを、だんだんに成長していくとお金を要求したりするのだろう。見知らぬおじさんが言ったのなら、それは聞いてはいけないことなのだろうし、友達が訊いてきたときには、頭に浮かべた途方も無い空想を口にして、互いに笑いを誘うこともあっただろう。
そうではなくて。
キミは、本当に欲しいものについて考えたことがあるだろうか?
単なる『物』ではなく、『見えない何か』を欲しいと、思ったことはないだろうか? 才能や能力、信頼、好意、もしくはそれらに類似したモノを……。
それらはお金で買えるものではなく、かといって、必ずしも努力で手に入れられるものではない。そして、本当に自分が手にしているのかも分からない。
人はそれら『見えない何か』を『夢』と呼んだ。
必ず手に入れられるものでなく、しかし人が耐えず求め続ける『夢』。
もしもそれらが、もっと単純な方法でどうにでもすることが出来るのであれば、人はどうするのだろうか。どこまでやれるのだろうか。
そして、それを手に入れることが出来たとき、彼らはどんな風になっているのだろうか? 彼らはそれを受け入れられるのか?
それを調べることが、ボクの課題である。
ボクの課題。
『人間は欲望のためにどこまでできるのか?』
何のことはない。誰もが考えそうなことで、興味深い課題だろう?
たとえば、法も秩序も、常識もない世界に、彼ら欲望の塊が行って、そこで突拍子も無いことをすることで確実に願いを叶えられるのであったら、彼らはどうするのだろう?
それを調べたくて、『自分』という存在は此処にいる。
だって、面白そうだろう?
『幻想は魅せられるもの、現実は見せられるもの』
これは詰まるところ、世界の常識だ。
少なくとも、ボクという存在は、そう思っている。
そこで、最初の質問に戻ろう。
「キミは今、何か欲しいものはないか?」




