表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/168

「絶望再来」

空間が崩れた瞬間、レグルスの意識は引き戻された。

長い沈黙の果てに、視界が再び現実へと繋がる。

しかしそこには“変化した自分”だけが残っていた。

世界は何も知らない顔で続いている。

そしてレグルスだけが、すべてを知っていた。


目の前の空気は重い。

だがそれは以前の重さではない。

繋がりの密度が見える重さだった。

世界は薄く、脆く、そして膨大だった。

レグルスは静かに息を吐く。


塔から出た瞬間、時間が流れ始めた。

そして気付く。

現実ではほとんど時間が経っていない。

あの八年は、ここでは一瞬に等しい。

身体は変わらないままだった。


レグルスはすぐに動いた。

伝えなければならないことがあった。

ゼルクロノスが復活する。

そしてそれはもう止められない段階に入っている。

残された時間はわずかだった。


だが誰も信じなかった。

会議の場でも、都市の上層でも、反応は同じだった。

「根拠がない」

「現実味がない」

「混乱させるだけだ」

言葉は届かなかった。


レグルスは何度も説明した。

塔のこと、隔絶世界のこと、見た未来のこと。

それでも視線は冷たかった。

“理解できないものは存在しない”という顔だった。

世界はまだ、壊れる準備ができていなかった。


その間も時間は進む。

7日という期限だけが静かに迫る。

レグルスは諦めなかった。

説得を続けながら、同時に準備を続けた。

繋ぐ力の応用を何度も試す。


だが結果は変わらない。

人々の意識は繋がらない。

恐怖と疑念が壁になっている。

レグルスの力はまだ完全ではなかった。

“理解されない世界”では繋がりは成立しない。


そして7日目が来る。

空が割れるような音がした。

都市の中心が揺れる。

建物が崩れ始める。

それは前触れではなく、開始だった。


空間が裂ける。

黒い裂け目から、何かが落ちてくる。

ゆっくりと、しかし圧倒的に。

それは姿ではない。

“存在の重さ”そのものだった。


都市国家は一瞬で崩壊した。

構造が意味を失い、順番に壊れていく。

人々の声も届かない。

抵抗も成立しない。

ただ崩れていく世界だけがあった。


そして静かに、降り立つ。

ゼルクロノス。


その姿は完全ではない。

だが“完成を待つもの”としての確かさがあった。

世界の中心に立つだけで、周囲の現実が歪む。

空間が彼を基準に再構築されていく。


レグルスはその場に立っていた。

恐怖はない。

代わりにあったのは静かな理解だった。

これは戦いではない。

“世界の更新”だと。


ゼルクロノスは周囲を見渡す。

壊れた都市、崩れた構造、逃げる人々。

そして最後に、レグルスを見る。

視線が交わる。

空気が止まる。


自然が広がる場所へと、空間が移動する。

都市の残骸は背後に消えていく。

そこには森と大地だけが残る。

人工の痕跡が消えた場所。

ゼルクロノスの降臨地点だった。


静寂の中で、二つの存在が向かい合う。

レグルスとゼルクロノス。

長い時間の果てに、ようやく同じ空間に立った。

言葉はまだない。

だが終わりはすでに始まっていた。

面白ければブックマーク、評価お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ