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プロローグ

 ガキイィンッ!


 激しい攻撃が俺の腕から剣を弾き飛ばす。


「くっ……!?」


「無駄な抵抗は辞めろ! メイル・ファーム! これまでの行いを反省して罪を償えば……」


「黙れ! 誰が貴様なんぞに!」


 俺は諦めずに剣を拾い上げ、相手に向かって斬りかかる。


「……警告はしたぞ!」


「ぐああぁぁぁぁぁっ!?」


 俺の胸を貫く刃。


 そうだ、これでいい。


「が……は。うぅぅ……」


 意識が遠くなっていく。


 だがもう少し、もう少しだけ見届けたい。


「こんな腕で、最後まで戦うこともなかったのに。結果が見えなかったのか」


 苦虫を噛み潰したような声。


「それすら分からない間抜けだったのよ。あなたが気に病むことじゃないわ」


「ああ……うっ!?」


「全身が輝いて……!? これは!? レベルアップの!?」


「す、凄い! 光が天にまで昇る位に大きくなって!」


「たかがメイルを倒しただけなのに、どれだけレベルが上がるんだ!? まだ収まらない!」


「な、なんでこんな雑魚がこんな桁外れの経験値を…!?」


 失礼な。お前のために雑魚のままレベルだけ上げたんだぞ。


 俺の超高レベル超低ステという謎ビルドに震えるがいい。


 美味いだろ? この経験値は。


 後は主人公のお前が役割を果たせよ。最速でな。それがRTAだ。


「よく分からないが、これなら奴に届くかも知れない……!」


「えぇ!? 急ぎ過ぎじゃ……? もっと各国を回って仲間を……」


 そこにつかつかと近づいてくる足音。


 少し紫がかった銀色のロングヘア。


 両サイドに高級そうな装飾のリボン。


 勝気と知的が混ざった眼差し。



「いいえ。さっさと元凶を潰しに行くのよ、こうしている間にも災厄は確実に世界と人々を殺していくんだから」


「ホロウ公爵家の……アネット嬢!」


「ええ。ほら行くわよ、あたしと公爵家も全面的に力を貸すわ」


「幻の『星』魔法の使い手が協力を……!? あ、ありがとう!」


「心強いわ! じゃあ、行きましょう」


 立ち去るパーティの中で、アネットだけがこちらを少し振り返る。


「バカ……あんたはこれで良かったかも知れないけど、あたしは嫌なんだけど?」


 小さく呟く言葉、見る見る涙が溢れそうになる瞳。


 そしてそれを堪えるために、さっと背を翻した後ろ姿。




 そのどれもが、既に俺には届かないのだった。

 

 

 

 うん、これこれ。これが俺がイメージするゴールだ。


 最後のアネットの所は気の毒だから無くていいけど、概ねこれを目指している。



 それは俺、メイル・ファームが前世の記憶を取り戻した日からの事だ。


 ――もう数年前になるか。


ここまで読んで下さりありがとうございます!


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