表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の子~魔王城下の人間魔術師~  作者: ノベル・スタッカート


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/15

【プロローグ】転んだリスの紅茶亭

ある日ある所

とある小さな島には、魔王が治める小さな国がありました。


通りには二足歩行のトカゲに、角の生えた青白い肌の人。

獣のような耳と尻尾の生えた少女に、人のような豚。

だけど人は一人もいません。


何故ならここは魔族の国。

魔王が治める魔族の楽園。


そんな国の、路地裏の少し入ったその先に、小さなお店がありました。

木で作られた看板には、紅茶のカップを抱えてころんでいるリスの絵が描かれたそのお店の名前は、「転んだリスの紅茶亭」。

少し古びたそのお店で、この物語は幕を開ける……



古びた店内に入るとほのかに古いヒノキのような香りがした。

紅茶亭、と言う名前から想像できるのは喫茶店だが、店内にはテーブルは一つもない。

代わりに並べられていたのはガラス張りの戸棚たちだった。


戸棚の中には何があるか。

じっくり覗き込んでみれば、そこにはずらりと人形が並べられている。

大きさは30cmくらいのものが多い。

人型の物から、ドラゴンのような人形。

犬に猫、様々なデフォルメされた可愛らしい人形たちが並べられていた。


そんな人形たちには皆”値札”が付いている。

そう、このお店は正に「人形の専門店」だった。

だがしかし、ただの人形の専門店ではない。


その時、かすかに何処か苦味のある匂いが鼻を衝く。

辿って行けば、そこはカウンターの奥。

扉を開けて、沢山の人形が置いてある作業場を通り、奥へと進めばそこにあるのはこの店の主の居住空間だった。


明るい木製のその空間の、その中に、一人の少年が座っていた。


肩まである紫のメッシュの入った黒い髪。

前髪から覗く紫色の瞳を持ったその少年は、一見すると少女のようにも見えた。

彼は左手に本を持ち、右手に持ったカップをゆっくりと口に運……


「あっつっ……⁉」


そう言って盛大にカップをひっくり返した。

ひっくり返ったカップから黒い飲み物が盛大にこぼれ、その一部を少年は思いっきりかぶってしまう。


「あっついいいいいいいいいいいいい!!」


そう言って騒ぐ少年を、無数の目が見た。

それは作業場に、戸棚に置かれた人形たちだった。


「熱い熱いー!たおるぅ……」


そう騒ぐ彼の元へ、ぽてぽてと、可愛らしい足音を立てて近づく影があった。

大きさは50cmくらい。

胸元には赤いリボンと、水玉模様の赤いチョッキを着た、茶色いクマの人形だ。


クマの人形は騒ぐ彼と、床に散らばった”コーヒー”を見てやれやれと肩をすくめた。


「やれやれ、まーたコーヒー零したのか。全く、あれほどお前は猫舌だからちゃんと覚ましてからのめって言ったのに。全く、くまったご主人様だ」


「テディたおるぅ」


「はいはい、今もって来ますよ」


そう言ってテディと言われたクマの人形は、ぽてぽてと脱衣所へと歩いて行った。


そんな彼らを見て、人形たちはゆっくりと首を基の位置へと戻した。

まるで「またか」とでも……いや、「またか」とそう思って。


彼らは生きていた。

確かに思考していた。


彼らはただの人形ではなかった。



魔王の治める小さな島の、小さな国の路地裏に、ひっそりたたずむお店には。

一人の”人間”の魔法使いが暮らしていた。


「メリア―このタオルでいいかー」


「どれでもいいから早く持ってきてー」


メリアと呼ばれたその少年が営む店の名前は「転んだリスの紅茶亭」。

売っている商品は………


「生きた人形」だ。




ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


面白かった、続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価をしていただけると嬉しいです!


コメントも気軽にいただけると励みになります!


応援をいただけると、更新速度が上がる……かもしれません!

今後ともよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ