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「外道」スキルって何? 可愛い彼女とキャッキャ、ウフフしたいだけなのに、世界征服するんですよねと言われて困惑してます  作者: ちくわ天。


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第10話 ダーク、村で外道パッシブ!

 コラリ村の入口に移動しようと俺たちは村の逆茂木を横目に、ゆっくりと歩き始める。逆茂木の高さは3mほどで、なかなかに物々しい。俺は昔見た洋画を思い出し、実際はこんな感じなんだと感慨深く眺めていた。


「ご、ご主人さま。申し訳ありません」


 道を間違えたことをローナが謝ってくるのだが俺は別に何とも思っていない。ただ、こいつが気まずいんじゃないかと考えているだけなのだ。


「えっ? 別に。私はもうご主人さまのものですし」


 いやいやいや。言い方! お前は……ま、まあ、同行者って奴かな。


 ローナのいたコラリ村は、かなり小さな村らしい。外周を100mくらい歩くと、あっという間に門が見えてきた。といっても小さな木製の扉で、盗賊にすぐに突破されそうな弱々しさを感じる。


「と、止まれ! そこの怪しい二人組……。って、ローナじゃねえか」


 門番の若者が、俺たちに槍を向けて話しかけてくる。コミュ障の俺には、うまく説明できる気がしない。ローナとだったら、うまく話せるんだがな。


 黙ったままでいると、中年男性の門番が若者に耳打ちした。


「やめろ! あの黒髪……ペルケレ族だ。それにあの目を見たか? 人殺しなんか平気でやりそうな目だ」

「じゃ、じゃあ。追い返すか?」

「ローナを連れてるってことは、仕返し的なことを……」


 そう話しているのが聞こえてくる。相手に聞かれたくないなら、もっと小さな声で話せばいいのに。それに俺ってそんなに人相が悪いのか。傷つくな……と思っていたら、突如、後ろから大きな声が響く。


「あなたたち、まさかダークさまを村に入れないとか、そういうこと?」


 ずいっとローナが前に出る。腰に手を当てて貧相な胸を反らして、何だか偉そうだ。

 

 待て。お前、何を言い出すんだ。穏便に!


「い、いや。でも、俺たちは門番だし」


 ローナの声に厳しさが混じる。


「そもそもダークさまに槍を向けるなんて、その無礼、万死に値するわ」


 そう言うとローナは俺に跪いた。何でいちいち大げさなんだよ。俺はただ、村に入って食べ物を……。


「ダークさま。この無礼な門番を見せしめにいたしましょう」


 その言葉を聞いた2人は、さすがに槍を構えて俺たちに向かってくる。その瞬間、ローナが魔法を唱えると2人は音を立てて無様に転んでしまった。サイコキネシスって魔法……便利だよな。転ばせて上から押さえつけるコンボがエグイぜ。


「それではダークさま。この二人の首を落としてください。それを掲げて私が先導します」


 ローナ……。何でそんなに物騒なことを言うんだ。そんなことをしたら、俺たちが討伐されちまうぞ! それは断固阻止だ!! それに人殺しなんて絶対に嫌だ。


「いや……」


 一言話すと、ローナは頭を下げたまま謝罪の言葉を口にする。


「ああ、何という寛容のお言葉……。では、どうしたら?」


 俺はただ村に入りたいだけだと告げると、門番たちは必死に声を張り上げた。


「あ、ありがとうございます」

「ど、どうぞ。小さな村ですが入ってください!!」


 俺が手を上げるとローナは二人へのサイコキネシスを解いた。二人はペコペコと何度も頭を下げると一目散にコラリ村の中に入っていった。


「では、ご主人さま。入りましょう」


 ニコリと微笑むローナを見て、俺はヤバイ奴と知り合いになってしまったことを、今更ながらに後悔するのだった。



 先導すると言いながらローナは俺の後ろにまわっていった。何で? けれども、そんな疑問はすぐに吹き飛んだ。


 ファンタジーだ!!!


 ゲームの中で見たような光景がそこには広がっていた。


「ご主人さま、これを持ってください」


 ローナが後ろからヒモを手渡してきたけれど、生返事をしながら目は露店に向けたままだ。果物や野菜を売る店、武器や防具を売る店、畑で使う鍬や犂を売る店、いくら見ても俺の興味はつきない。


 人々の服装は、それこそアニメで見たような中世のヨーロッパのようで、チュニックにズボンの男性、オーバーチュニック(長めのチュニック)を着た女性などが多い。でも、色は薄い青や薄い赤、茶色が多く、何というか素朴な感じなんだよな。


 けれども、やがて周囲の視線が厳しいことに俺は気付いた。まあ、警戒はされるだろうと思っていたが何というか冷たすぎる視線だ。俺は不審に思って後ろを振り返る。


 はあ???? 


 ローナが犬のように首にひもをつけながら、手や膝を地面につけ俺についてきているのだ。


「お、おま! お前、何してるんだ!」


 慌てた俺に向かって、ローナは四つ足状態のまま顔を上げて冷静な声で答える。


「ご主人さま。虹髪のサテンカーリ族は、村で移動する時には首ひもをつけるのがきまりなのです」


 それにしたってお前……。しかも、周りからは容赦のない非難の声が上がっていた。


「ねえ、あれローナじゃない? 何でペルケレ族に?」

「そう言えば、昨日、ダンたちが話してたわ。ペルケレ族にローナを差し出したって」


 お、おい。周囲の話が容赦なく俺の耳に跳び込んでくる。


「でもさあ。虹髪のサテンカーリ族とは言っても、あの犬扱いはどうなの?」

「そうよねえ。私たちだって首輪はつけるけど、普通に立って歩かせるわ」

「さすが悪魔の眷属ね。やることが「外道」すぎるわ」


 ええ? こいつが勝手にやったことなのに俺が外道扱いされてるうう! これもスキルなの? もう訳が分からないよ。


 とにかくローナを立たせることにする。


「ええ? でも」


 戸惑うローナを無理に立たせ、ひもを渡す。


「いいから止めろ!」

「はい」


 戸惑いの中にも喜びが混じった表情で、ローナはひもを握りしめる。


 俺はさっそく食べ物を買おうと露店に並べられた果物の前に移動する。でも、中年のおばさんは顔を背けたまま、そそくさと店先からいなくなってしまう。武器屋もそうだ。これでは村に来た意味がない。


 ローナにギルドの場所を尋ねると、俺たちは人目を避けるようにその建物を目がけて走ったのだった。

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